スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一

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第139話 禁則事項

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97レイド終了後、ダンジョンから脱出した俺達はキャッスルギルドの会議室に集まる。
まあ俺は一瞬なので、聖達撮影班を連れた天魔達の脱出を丸一日程待つことになった訳だが。

「正直、話半分程度に考えていました。ですけど……世界が滅びるというのは本当だったんですね」

大城恵さんは、天魔輪廻の話を丸々信じてはいなかった。
彼女だけじゃない。
たぶんこの場にいる殆どの人間が、半信半疑だったはずだ。
俺だって、勇気の存在が無ければ同じ様な物だったろう。

だが、全世界に鳴り響いたアナウンス。
そして、脳内に流れ込んできた情報。
更には、本能が告げるのだ。
全て真実であり、このまま行けば人類は滅びると。

「だいぶ早まったみたいだけどね。原因は……まあたぶんレベル97のボスを倒しちゃったせいだとは思うけど」

タイミング的に、それ以外は考えられないだろう。
まあ他の可能性が絶対ないとは言い切れないが、仮に理由はなんにせよ、始まってしまったのだからもう後の祭りである。

「という訳でGっち、私達のパーティーに入ってくれない?状況的に、狙ってた新人の子を獲得するのはちょっと厳しそうだからさ」

ラストダンジョンは全人類にとって、必ず越えなければならない課題だ。
なにせ失敗すれば人類が滅びる訳だからな。
そりゃ必死に取り組むさ。

だが、そうであっても、国や組織という垣根は消して消えない。

人間というのは欲深い生き物で、クリアは大前提として――厚かましい思考だが、失敗を基本としては考えない――どこがクリアしたかを気に掛ける。

するとどうなるか?
各国で、優秀な人材の囲い込みが始まるのだ。
優秀な人材を集め、自分達の手で世界を救ったという栄誉を手にするために。

まあ何が言いたいのかというと……天魔が狙ってる最後のメンツは国外の人間で、ラストダンジョン出現後だとスカウトは難しくなるって訳だ。
シヴァティやアレックスだって、きっと出現後なら引き入れられなかっただろう。

因みに、その状態は回帰前の世界で実際起きた事なので、今回もほぼ同じような状態になると思われる。

「悪いが、私は私でパーティーを作らせて貰う」

期間が縮まった。
なので改めて勇気に尋ねたのだが、答えは『私のお勧めは変わりません』だ。
つまり、状況が変わっても、1パーティーではなく複数のパーティーで挑むべきだという訳だ。

「ええ、断っちゃう?この状況で?」

俺の言葉に、天魔輪廻が顔を顰める。

「Gさんは、なんでそこまで頑なにパーティー入りを断るんですか?」

俺の返事に、大城光が尋ねて来た。

「ふむ……私の相棒であるGシャドーは、召喚した存在だとは知っているだろう」

Gシャドーってのは勇気の事だ。
天魔達には勇気が人間ではなく、召喚した存在である事を既に話してある。

Gシャドー呼びなのは、名前を伝える気がないためだ。
情報を下手に垂れ流すと、俺の正体に繋がる可能性があるからな。
なので隠せる部分は基本的に全隠しだ。

「あ、はい」

「彼は……ダンジョンを生み出した、恐らく神と思われる存在やそれに関する情報を持っている」

アナウンスでは、グヴェルという名が出ていた。
それが恐らく、ダンジョン関連を想像した神の名だろう。

「なんですって!?」

「ほ、本当なんですか!?」

「ああ、間違いない」

これに関しては疑いようがない事実だ。

「そうか。でもそうよね。シーカーの力も、たぶんダンジョンを生み出した神が擁した物だと思うし……その力で呼び出されたシャドーっちが、神やダンジョンについて知っていてもおかしくはない、か」

シーカーの力がダンジョンと関わり合いがある事は明白だ。
なにせダンジョンと同時に出て来た訳だからな。
関係なかったら逆にびっくりである。

そしてその力で呼び出された未知の生物なら、多くの事を知っていてもおかしくない。

実際俺は、勇気からいくつもその手の情報を供与されてるからな。
ズバリではなく、遠回しに匂わせる形のものも多かったが。

「じゃ、じゃあシャドーさんにお話を伺いましょう!ラストダンジョンの事!」

「そうですね。Gさん。シャドーさんと会話できるようにして頂いて宜しいですか?」

大城光の言葉に恵が相槌を打ち、省エネモードを解く様に言って来る。
まあ俺がモニターを介して喋るよりその方が手っ取り早いだろうし、会話程度なら別にたいしてエネルギーは消耗しないだろう。

「色々話が聞きたい。省エネモードを解除してくれ」

そう思って勇気に伝えたが、返って来たのは―—

『本日の面会時間は終了しました』

というふざけた物だった。
じゃあ明日になったら面会できるのかよと言いたくなるが、まあ要は、ラストダンジョンやその他の情報は話せないって事なのだろう。
いわゆる禁則事項だ。

まあ当然か……

「悪いんだが――」

俺はその旨を、この場にいるメンツに伝えるのだった。
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