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第147話 キメラ
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天魔の所有するビル。
その一室。
「じゃじゃーん!彼が新たな新メンバーです!」
俺は新メンバーが決まったという事で、その顔合わせ――一応連携してるので――としてそこへやって来ていた。
彼女に紹介された大柄な東洋人の男は――
「ふむ……彼は中国のシーカーだったはず。中国から協力を得る事に成功したのか?」
―—中国でナンバーワンと称され、また竜崎や天魔と並ぶレジェンドランクの一人、ワン・リューミンだった。
言ってみれば、彼は中国の至宝の様な物だ。
そんな人物が天魔達のパーティーに入ったという事は、彼らが中国と手を結んだという事に他ならない。
ぶっちゃけ、あの国はイメージが滅茶苦茶宜しくないんだが……まあ世界を救うためなら仕方ないか。
「あはははは、そんな訳ないじゃん」
俺の言葉に輪廻が笑う。
なにがそんな訳ないじゃんなんだ?
「ワンちゃんは日本に亡命してきたんだよ。脱中国って奴ね!」
俺の知る脱中国とは、全然意味が違う気がするんだが?
まあそんな事より――
「亡命?もしそれが本当だとして……中国がそれを放っておくとは思えないんだが……」
どう考えても放っておかないはず。
絶対何か手を打ってくるはずだ。
中国は。
「うん、思いっきり暗殺者集団が襲って来たよ」
天魔がさらっと恐ろしい事を口にする。
まあ今ぴんぴんしてるって事は、撃退したって事なんだろうが。
「いやーでも、あのキメラっぽいのにはちょっとびっくりさせられたかなぁ」
「キメラ?召喚魔法か?」
魔物はダンジョンから出てこれない。
ので、外で遭遇するのは召喚クラスが呼び出した魔物だろう。
まあ勇気と同じ枠だ。
「んにゃ、シーカーだよ」
「キメラっぽいシーカー……つまり、竜崎の様な変身能力の持ち主か」
「ぶっぶー、はずれ!」
「違うのか?」
召喚でもない。
変身でもない。
じゃあ何だってんだ?
まさかキメラのコスプレでもしたシーカーだったってのか?
俺は獅子舞的なコスプレ姿を思い浮かべる。
ありえない気もするが、まあ中国だしな。
自称4,000年だか5,000年だか謳ってる国だし、それ位あっておかしくはない。
かもしれない。
……いやでも暗殺するのにその恰好は絶対ねぇよな。
仮に1万年の歴史があっても、そんな馬鹿な真似はしないだろう。
「おそらく……中国で開発された不死身の軍団プロジェクトの技術を流用した物だろう」
それまでだんまりだったワンが口を開いた。
当然だが不死身の軍団プロジェクトなる物を俺は知らない。
不死の軍団とか死ぬほど胡散臭いんだが?
「どうもそのイモータルアーミィって――」
天魔が全容を説明してくれる。
要は、本人と全く同じスペックの分身を生み出す事で、本体は死のリスクなく戦えるってシステムらしい。
「そんな事、本当に可能なのか?」
「んー、たぶんね。襲って来たの全部Sランクレベルのシーカーだったんだけど、全員死んでも構わない的な戦い方してたし……何より、全員倒したら消えちゃったからさ。ワンちゃんは嘘ついてないと思うよ」
ごっつい大男にワンちゃんって……いやまあ、そんな事はどうでもいいか。
しかし死体が消えた、か。
ふと、聖達を助けた時の事を思い出す。
たしかあの時も、一人死体が消えてた奴がいたよな。
あの時の奴らは亡命する様な事を言ってたし、そいつも不死の軍団だった可能性がある訳か。
「あ、因みに……回帰前の事は知らないよ。中国とは全くかかわらなかったしね。私が知ってるのは、中国のお抱えシーカーが第2層でほぼ全滅したって事ぐらいかな」
「それはおかしくないか?分身に戦わせてるんだろう?なら、全滅なんて起きようがないはずだが?」
「うーん、まあそうなんだけど……中国自体が、攻略を断念せざるをえない状態にあったのは事実だよ。まあ機械のトラブルとかで駄目になったとかじゃない?ほら、あの国の物ってすーぐ爆発するイメージあるし」
「……」
まあ確かにそういうイメージはあるが、国の体面をがかかってる様な装置がそんな雑なのかって気もするんだが……
まあ考えても仕方ないか。
「で、話し戻すね。キメラってのは、複数のシーカーのコピーを合体させた物なんだって。アイテムで鑑定した時も、複数人の名前が見えたしね」
コピーを合体させる……か。
なんかこう、パッと某ゲームの悪魔合体みたいなのが思い浮かぶな。
コンゴトモヨロシク。
的な。
「結構強かったよ。本気じゃなったとはいえ、伯父さんとそこそこ一対一で戦えてたし。そのキメラ。他の人達は全然大した事なかったし、そう考えると結構強力な……うーん、なんていえばいいんだろう。キメラシステム?まあなんにせよ、中国は強力な切り札があるみたいだね」
「そんな奴らが次々襲い掛かってくる様なら、かなり面倒なんじゃないか?」
「その心配はない。例のキメラは、一度使用すると元になった人間の精神が狂うようだからな。」
「狂うって……」
ワンの言葉に、俺は絶句する。
それって要は、Sランクのシーカー数人を使い捨てにするって事だからな。
「中国はかなりの数のSランクシーカーを揃えてるとは言え、それほど高頻度に使い捨てとして利用する事はないはずだ」
「だ、そう。まあめでたしめでたし……って!全然めでたくないよ!」
天魔が自分の言葉に突っ込みを入れる。
忙しい奴だ。
「まあ……人間を使い捨てにする様なシステムがある時点で、問題ではあるな」
糞みたいなシステムである。
「回帰前は2階層で断念したんだったな、中国は。なら、ダンジョン攻略にそのキメラを投入しまくったせいで……という可能性もありそうだな」
ふと思い浮かんだことを口にする。
不死の軍団を不死としてでなく、強力な消耗品として使ったのなら、全滅したというのなら筋は通らなくもない。
当たっていたならちょっとおバカ過ぎる話な気もするが……それだけラストダンジョンの難易度が高かったのならなくはない。
通常のSランク程度では話にならないのなら、強力なキメラを使用しない事には話にならないだろうからな。
「あー、その可能性はあるねぇ。ラストダンジョンは本気で難易度凄いから」
『ところで……このワン・リューミンは信頼できるのか?』
俺は念話で天魔に語り掛ける。
コイツ自体が中国政府の回し者である可能性は否定できないからだ。
暗殺者が襲って来たそうだが、それすらやらせの可能性もある。
『あー、それなら大丈夫だよ。たぶんね。まあ絶対ではないだろうけど、こっちだって無条件でワンちゃんを信頼してる訳じゃないから安心して』
どうやら、ちゃんとその辺りは考えている様だ。
ま、当たり前か。
天魔の方が俺より頭は切れるし、ワンが余計な事をしない様、竜崎って言う姪っ子大好きおじさんが目を光らせてるだろうしな。
「まあ、なんにせよ……これで新パーティー完成だよ!Gっちも頑張ってメンバー集めてね!」
「ああ、分かってる」
こうして、天魔のパーティーにワン・リューミンが加わった訳だが……
この時、俺は考えもしなかった。
彼を引き抜かれメンツを潰された中国が、とんでもない事態を引き起こす事を。
その一室。
「じゃじゃーん!彼が新たな新メンバーです!」
俺は新メンバーが決まったという事で、その顔合わせ――一応連携してるので――としてそこへやって来ていた。
彼女に紹介された大柄な東洋人の男は――
「ふむ……彼は中国のシーカーだったはず。中国から協力を得る事に成功したのか?」
―—中国でナンバーワンと称され、また竜崎や天魔と並ぶレジェンドランクの一人、ワン・リューミンだった。
言ってみれば、彼は中国の至宝の様な物だ。
そんな人物が天魔達のパーティーに入ったという事は、彼らが中国と手を結んだという事に他ならない。
ぶっちゃけ、あの国はイメージが滅茶苦茶宜しくないんだが……まあ世界を救うためなら仕方ないか。
「あはははは、そんな訳ないじゃん」
俺の言葉に輪廻が笑う。
なにがそんな訳ないじゃんなんだ?
「ワンちゃんは日本に亡命してきたんだよ。脱中国って奴ね!」
俺の知る脱中国とは、全然意味が違う気がするんだが?
まあそんな事より――
「亡命?もしそれが本当だとして……中国がそれを放っておくとは思えないんだが……」
どう考えても放っておかないはず。
絶対何か手を打ってくるはずだ。
中国は。
「うん、思いっきり暗殺者集団が襲って来たよ」
天魔がさらっと恐ろしい事を口にする。
まあ今ぴんぴんしてるって事は、撃退したって事なんだろうが。
「いやーでも、あのキメラっぽいのにはちょっとびっくりさせられたかなぁ」
「キメラ?召喚魔法か?」
魔物はダンジョンから出てこれない。
ので、外で遭遇するのは召喚クラスが呼び出した魔物だろう。
まあ勇気と同じ枠だ。
「んにゃ、シーカーだよ」
「キメラっぽいシーカー……つまり、竜崎の様な変身能力の持ち主か」
「ぶっぶー、はずれ!」
「違うのか?」
召喚でもない。
変身でもない。
じゃあ何だってんだ?
まさかキメラのコスプレでもしたシーカーだったってのか?
俺は獅子舞的なコスプレ姿を思い浮かべる。
ありえない気もするが、まあ中国だしな。
自称4,000年だか5,000年だか謳ってる国だし、それ位あっておかしくはない。
かもしれない。
……いやでも暗殺するのにその恰好は絶対ねぇよな。
仮に1万年の歴史があっても、そんな馬鹿な真似はしないだろう。
「おそらく……中国で開発された不死身の軍団プロジェクトの技術を流用した物だろう」
それまでだんまりだったワンが口を開いた。
当然だが不死身の軍団プロジェクトなる物を俺は知らない。
不死の軍団とか死ぬほど胡散臭いんだが?
「どうもそのイモータルアーミィって――」
天魔が全容を説明してくれる。
要は、本人と全く同じスペックの分身を生み出す事で、本体は死のリスクなく戦えるってシステムらしい。
「そんな事、本当に可能なのか?」
「んー、たぶんね。襲って来たの全部Sランクレベルのシーカーだったんだけど、全員死んでも構わない的な戦い方してたし……何より、全員倒したら消えちゃったからさ。ワンちゃんは嘘ついてないと思うよ」
ごっつい大男にワンちゃんって……いやまあ、そんな事はどうでもいいか。
しかし死体が消えた、か。
ふと、聖達を助けた時の事を思い出す。
たしかあの時も、一人死体が消えてた奴がいたよな。
あの時の奴らは亡命する様な事を言ってたし、そいつも不死の軍団だった可能性がある訳か。
「あ、因みに……回帰前の事は知らないよ。中国とは全くかかわらなかったしね。私が知ってるのは、中国のお抱えシーカーが第2層でほぼ全滅したって事ぐらいかな」
「それはおかしくないか?分身に戦わせてるんだろう?なら、全滅なんて起きようがないはずだが?」
「うーん、まあそうなんだけど……中国自体が、攻略を断念せざるをえない状態にあったのは事実だよ。まあ機械のトラブルとかで駄目になったとかじゃない?ほら、あの国の物ってすーぐ爆発するイメージあるし」
「……」
まあ確かにそういうイメージはあるが、国の体面をがかかってる様な装置がそんな雑なのかって気もするんだが……
まあ考えても仕方ないか。
「で、話し戻すね。キメラってのは、複数のシーカーのコピーを合体させた物なんだって。アイテムで鑑定した時も、複数人の名前が見えたしね」
コピーを合体させる……か。
なんかこう、パッと某ゲームの悪魔合体みたいなのが思い浮かぶな。
コンゴトモヨロシク。
的な。
「結構強かったよ。本気じゃなったとはいえ、伯父さんとそこそこ一対一で戦えてたし。そのキメラ。他の人達は全然大した事なかったし、そう考えると結構強力な……うーん、なんていえばいいんだろう。キメラシステム?まあなんにせよ、中国は強力な切り札があるみたいだね」
「そんな奴らが次々襲い掛かってくる様なら、かなり面倒なんじゃないか?」
「その心配はない。例のキメラは、一度使用すると元になった人間の精神が狂うようだからな。」
「狂うって……」
ワンの言葉に、俺は絶句する。
それって要は、Sランクのシーカー数人を使い捨てにするって事だからな。
「中国はかなりの数のSランクシーカーを揃えてるとは言え、それほど高頻度に使い捨てとして利用する事はないはずだ」
「だ、そう。まあめでたしめでたし……って!全然めでたくないよ!」
天魔が自分の言葉に突っ込みを入れる。
忙しい奴だ。
「まあ……人間を使い捨てにする様なシステムがある時点で、問題ではあるな」
糞みたいなシステムである。
「回帰前は2階層で断念したんだったな、中国は。なら、ダンジョン攻略にそのキメラを投入しまくったせいで……という可能性もありそうだな」
ふと思い浮かんだことを口にする。
不死の軍団を不死としてでなく、強力な消耗品として使ったのなら、全滅したというのなら筋は通らなくもない。
当たっていたならちょっとおバカ過ぎる話な気もするが……それだけラストダンジョンの難易度が高かったのならなくはない。
通常のSランク程度では話にならないのなら、強力なキメラを使用しない事には話にならないだろうからな。
「あー、その可能性はあるねぇ。ラストダンジョンは本気で難易度凄いから」
『ところで……このワン・リューミンは信頼できるのか?』
俺は念話で天魔に語り掛ける。
コイツ自体が中国政府の回し者である可能性は否定できないからだ。
暗殺者が襲って来たそうだが、それすらやらせの可能性もある。
『あー、それなら大丈夫だよ。たぶんね。まあ絶対ではないだろうけど、こっちだって無条件でワンちゃんを信頼してる訳じゃないから安心して』
どうやら、ちゃんとその辺りは考えている様だ。
ま、当たり前か。
天魔の方が俺より頭は切れるし、ワンが余計な事をしない様、竜崎って言う姪っ子大好きおじさんが目を光らせてるだろうしな。
「まあ、なんにせよ……これで新パーティー完成だよ!Gっちも頑張ってメンバー集めてね!」
「ああ、分かってる」
こうして、天魔のパーティーにワン・リューミンが加わった訳だが……
この時、俺は考えもしなかった。
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