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第44話 主力
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――村の集会所。
「カンカンは相変わらずかい?」
「はい」
俺の問いに、アリンが困った様に答えた。
彼の母親が訪ねて既に一週間が経つが、いまだに彼は抜け殻のままの様だ。
食事もほとんど口にしていないそうなので、ダイエットにはもってこいなのだろうが……どう考えても健康に悪い痩せ方だよな。
「頑張ればいいだけだってのに、困った人ですねぇ」
村まで一緒についてきていたカッパーが、首をすくめた。
カンカンには、5年頑張って更生出来たなら、両親が再度後継者として受け入れてくれると俺から伝えてある――オルブス夫人は顔を見ると決意が鈍るそうなので。
「ふぉっふぉっふぉ、頑張ること自体嫌だという訳ですな。性根が完全に腐っております」
「ゴミだな」
タゴルとタニヤンが、カンカンに辛辣な評価を下す。
まあでも流石に落ち込んでる期間が長いから、そういう評価になるのは仕方なくはある。
親に厳しく接されてショックなのは分かるが、どうにでもなる事で一週間もうじうじしてたらな……
因みに、カンカンの面倒を見ているのはアリンである。
面倒見がいい性格だってのと、カンカンが最低限心を開いているのが彼女だけだったからだ――他の人達は、明らかに腫れもの扱いしているからそのためだろうと思われる。
なので、彼女には一時的に護衛の仕事を外れて貰っていた。
ああ、言うまでもなく……タゴルからの信頼度は下がってるぞ。
別々の仕事になると職場が離れてしまったから。
小さな事からコツコツとじゃないが、順調に下がり過ぎて、シスコンからの信頼度が0になる日も近いと俺は確信している。
「まあもう少し様子を見よう」
とりあえず、カンカンに関しては様子見だ。
このまま本格的な引き篭もりになってしまう様なら荒療治も必要だが、一応、大型投資家の御子息だからな。
出来ればあんまり手荒な真似はしたくないので、もう少しだけ猶予を取っておく。
「悪いけど、引き続き世話を頼むよアリン」
「任せてください!」
「ちっ……」
タゴルが舌打ちするが聞かなかった事にする。
あと、信頼度ももう確認はしない。
下がってる確信があるし。
「村長、例の畑の方はどうなってます?」
「順調に育っております」
村では新しい畑を用意していた。
普通の農作物ではない、特別な物を育てる為の畑——
特大精霊になったカッパーが霊水を生み出し。
同じく特大精霊になったジャガリックが大地を霊地へと変化させ。
そこに特大精霊になったタニヤンが、霊気を空間に留める事で生まれる特殊な畑で育てるのは、精霊草とよばれる植物だ。
精霊草は精霊の加護の元でのみ育つ特殊な薬草らしく、精霊が一時期この世界からいなくなった事で世界から姿を消したものだ。
なのでもうこの世にない。
のだが……
タニヤンに言われて薬草——彼が死の森から引っこ抜いて来た――をBまでランクアップ(五千ポイント必要)させたら、なんと精霊草になったので、いくつかランクアップさせたものを株分けして育てていく予定となっている。
流石神のスキル。
さすかみである。
「うんうん。あれはいずれこの村の主力特産物になるから、順調なのはいい事だ」
因みに、精霊草の葉は通常より遥かに強力なポーションの原材料になり。
根は煎じると、大抵の毒や病気すら治ってしまうという万能薬となるそうだ。
世界的に需要が出そうな効果ではあるが、まずは知名度を上げる必要がある。
いくらいい物でも、知られてなきゃ売れないからな。
なので、しばらくは新しくできる冒険者達の街で格安で販売していく予定だ。
そしてその効果の噂が広がったところで、がっつり値段を釣り上げて流通って訳よ。
……ぐふふふ。
オルブス商会からの融資があるとはいえ、金なんて物はあればある程いいからな。
「カンカンは相変わらずかい?」
「はい」
俺の問いに、アリンが困った様に答えた。
彼の母親が訪ねて既に一週間が経つが、いまだに彼は抜け殻のままの様だ。
食事もほとんど口にしていないそうなので、ダイエットにはもってこいなのだろうが……どう考えても健康に悪い痩せ方だよな。
「頑張ればいいだけだってのに、困った人ですねぇ」
村まで一緒についてきていたカッパーが、首をすくめた。
カンカンには、5年頑張って更生出来たなら、両親が再度後継者として受け入れてくれると俺から伝えてある――オルブス夫人は顔を見ると決意が鈍るそうなので。
「ふぉっふぉっふぉ、頑張ること自体嫌だという訳ですな。性根が完全に腐っております」
「ゴミだな」
タゴルとタニヤンが、カンカンに辛辣な評価を下す。
まあでも流石に落ち込んでる期間が長いから、そういう評価になるのは仕方なくはある。
親に厳しく接されてショックなのは分かるが、どうにでもなる事で一週間もうじうじしてたらな……
因みに、カンカンの面倒を見ているのはアリンである。
面倒見がいい性格だってのと、カンカンが最低限心を開いているのが彼女だけだったからだ――他の人達は、明らかに腫れもの扱いしているからそのためだろうと思われる。
なので、彼女には一時的に護衛の仕事を外れて貰っていた。
ああ、言うまでもなく……タゴルからの信頼度は下がってるぞ。
別々の仕事になると職場が離れてしまったから。
小さな事からコツコツとじゃないが、順調に下がり過ぎて、シスコンからの信頼度が0になる日も近いと俺は確信している。
「まあもう少し様子を見よう」
とりあえず、カンカンに関しては様子見だ。
このまま本格的な引き篭もりになってしまう様なら荒療治も必要だが、一応、大型投資家の御子息だからな。
出来ればあんまり手荒な真似はしたくないので、もう少しだけ猶予を取っておく。
「悪いけど、引き続き世話を頼むよアリン」
「任せてください!」
「ちっ……」
タゴルが舌打ちするが聞かなかった事にする。
あと、信頼度ももう確認はしない。
下がってる確信があるし。
「村長、例の畑の方はどうなってます?」
「順調に育っております」
村では新しい畑を用意していた。
普通の農作物ではない、特別な物を育てる為の畑——
特大精霊になったカッパーが霊水を生み出し。
同じく特大精霊になったジャガリックが大地を霊地へと変化させ。
そこに特大精霊になったタニヤンが、霊気を空間に留める事で生まれる特殊な畑で育てるのは、精霊草とよばれる植物だ。
精霊草は精霊の加護の元でのみ育つ特殊な薬草らしく、精霊が一時期この世界からいなくなった事で世界から姿を消したものだ。
なのでもうこの世にない。
のだが……
タニヤンに言われて薬草——彼が死の森から引っこ抜いて来た――をBまでランクアップ(五千ポイント必要)させたら、なんと精霊草になったので、いくつかランクアップさせたものを株分けして育てていく予定となっている。
流石神のスキル。
さすかみである。
「うんうん。あれはいずれこの村の主力特産物になるから、順調なのはいい事だ」
因みに、精霊草の葉は通常より遥かに強力なポーションの原材料になり。
根は煎じると、大抵の毒や病気すら治ってしまうという万能薬となるそうだ。
世界的に需要が出そうな効果ではあるが、まずは知名度を上げる必要がある。
いくらいい物でも、知られてなきゃ売れないからな。
なので、しばらくは新しくできる冒険者達の街で格安で販売していく予定だ。
そしてその効果の噂が広がったところで、がっつり値段を釣り上げて流通って訳よ。
……ぐふふふ。
オルブス商会からの融資があるとはいえ、金なんて物はあればある程いいからな。
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