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第1話 手遅れ
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「ああ、まじか……」
目の前に横たわる、血まみれの女性をみてそう呟く。
俺の名は山田太郎。
この世界での名は、エヴァン・ゲリュオン。
そう、俺は転生者だ。
そしてこの世界は、ゲーム『ジャスティスヒーロー』の世界である。
所謂、ゲーム転生って奴だな。
ジャスティスヒーローは、主人公のレイヤとその仲間達が悪を容赦なく倒す勧善懲悪物のストーリーになっている。
「どう考えてもこれ、もうリカバリー無理だよな」
そのゲームの中で、エヴァン・ゲリュオンは悪名高きゲリュオン山賊団の統領をしている悪党だ。
そして目の前で倒れている女性――ヘレナこそ、主人公のレイヤの義理の姉であり、彼が心から愛した女性である。
ヘレナは血まみれで倒れており、もはや息をしていない。
その肩には、斧でざっくりと斬られた痛ましい傷跡が残っていた。
何処からどう見ても殺人。
犯人は誰か?
俺は片手で斧を持ち、肩に担いでいる状態だ。
その刃先は、べっとりと血にぬれ汚れている。
――そう、俺が彼女を殺した犯人だ。
ジャスティスヒーローは、前半は騎士学園に通う主人公の成長物語になっている。
騎士学園は故郷から遠く離れており、レイヤが姉のヘレナのいる実家へと帰宅するのは年に1回、夏の長期休暇――要は夏休みの時だけだ。
そしてレイヤが3年の夏休み、事件は起こる。
これは血の殺戮と呼ばれるイベントで、彼の中に眠る邪神の血――闇の属性を引き出すイベントとなっていた。
内容は、彼の帰郷直前に故郷の村が山賊に襲われ壊滅状態になり、愛する義姉ヘレナの死を知るという物だ。
そのことが切っ掛けでレイヤは悪を心から憎む様になり、復讐を誓う。
誰に対する復讐?
当然、故郷であるアイルー村を襲ったゲリュオン山賊団。
そして、最愛の義姉をその手にかけた山賊の頭、エヴァン・ゲリュオンへのだ。
「最悪だな……」
何故ゲームの世界なのか?
それも致命的な状況の悪役に自分がなっているのかは分からない。
だが、このままだと近い将来自分は確実にレイヤによって殺される事になる。
因みに現在の状況を冷静に判断出来ているのは、ゲリュオンの記憶と、俺の記憶が混ざっての事だ。
「兄貴!めぼしい物はだいたい積み終わりやしたぜ!」
如何にも悪党といった感じの、顎のしゃくれた人相の悪そうな男が俺に報告して来た。
略奪完了、と。
それも嬉しそうに。
こっちはこの先、主人公による処刑待ち状態に憂鬱だってのに……
取り敢えず逃げたら?
うん、無理。
この世界には魔法がある。
そして主人公のみが扱う事の出来る正義系統の魔法には、悪を見つけ出すという物があった。
ゲーム的には、善悪の基準となるカルマ値が悪人寄り――マイナスの存在を探し出す魔法だ。
これがある以上、ヘレナ殺害の犯人が俺である事は絶対にバレるし、何処までも追いかけられ続けてしまう。
詰みも良い所。
けど……一つだけ手がない訳じゃない。
「はぁ……手下どもを此処に集めろ」
俺は溜息を吐いてから、山賊の頭としてそう下っ端に命じた。
まずは山賊団を――
「わかりやした!」
俺の命令に従い、そいつは他の山賊達を俺の目の前に集める。
「どうかしたんですか?お頭?」
「いいから、黙って一列に並べ!」
ゲリュオン山賊団の構成員は、俺を除いて12人。
奴らは俺が強く恫喝すると、一目散に一列に並んだ。
「さて……」
意識を集中し、自分のステータスを確認する。
確認したかったのは俺のカルマ値だ。
「マイナス682か……」
カルマ値は0以上が一般人。
それ以下は、要はマイナスが悪人を指す。
マイナス999が負のカンストである事を考えると、ゲリュオンはとんでもない大悪党と言えるだろう。
「まあ、取り敢えずやってみるか」
何を?
――もちろん処刑を、だ。
「デビルブーメラン!」
俺は斧を水平に構え、それを勢いよくぶん投げる。
一列に並んだゲリュオン山賊団に向かって。
「ぎゃあああ!!」
「ぎぇあ!?」
「ひゃあがか……」
俺の斧が、一列に並んだ手下どもを纏めて薙ぎ倒す。
かなり高威力なスキルなので、下っ端程度ならこの一撃で倒せる。
「お、お頭……なんで……」
ゲリュオンの右腕。
副頭だったパッツが、地面で血まみれになりながらも懸命に顔を上げ、息も絶え絶えに俺に疑問を投げかけて来た。
「なんで?理由は簡単だ。お前らが悪党だからだ」
そう、至極単純な理由である。
こいつらは悪党だ。
だから殺した。
因みに、罪悪感とか嫌悪感は一切感じていない。
まあ相手はゲリュオン程ではないとはいえ、とんでもない悪人共だったしな。
悪人に一々かける情けなんざ、悪いが持ち合わせちゃいない。
「あんただって……悪党……だろう……が……」
「そうだな。けど、少しはましになったぞ。お前らのお陰でな……って、聞いてないか」
俺のカルマ値を確認すると、681へと上がっていた。
山賊団員12人も殺してたった1しか上がらないのが若干あれだが、それでも――
「まあこれで、プレイアブルキャラじゃなくてもカルマ値を上げられる事が確定したな」
レイヤの魔法は、カルマ値マイナスの人間にしか作用しない。
つまり、カルマ値を上げて0以上にすれば奴は俺を見つけられなくなるという訳だ。
「罪のない人間殺して逃げ切るってシュチュエーションはあれだけど……ま、死にたくないししょうがないよな」
ゲーム世界だから、死んだら元の自分に戻れるって可能性は勿論ある。
だがそうじゃなかった場合を考えると、とてもじゃいがそれを試す気にはなれない。
という訳で、死ぬ気で逃げ回らせて貰う。
悪く思うなよ。
レイヤ。
目の前に横たわる、血まみれの女性をみてそう呟く。
俺の名は山田太郎。
この世界での名は、エヴァン・ゲリュオン。
そう、俺は転生者だ。
そしてこの世界は、ゲーム『ジャスティスヒーロー』の世界である。
所謂、ゲーム転生って奴だな。
ジャスティスヒーローは、主人公のレイヤとその仲間達が悪を容赦なく倒す勧善懲悪物のストーリーになっている。
「どう考えてもこれ、もうリカバリー無理だよな」
そのゲームの中で、エヴァン・ゲリュオンは悪名高きゲリュオン山賊団の統領をしている悪党だ。
そして目の前で倒れている女性――ヘレナこそ、主人公のレイヤの義理の姉であり、彼が心から愛した女性である。
ヘレナは血まみれで倒れており、もはや息をしていない。
その肩には、斧でざっくりと斬られた痛ましい傷跡が残っていた。
何処からどう見ても殺人。
犯人は誰か?
俺は片手で斧を持ち、肩に担いでいる状態だ。
その刃先は、べっとりと血にぬれ汚れている。
――そう、俺が彼女を殺した犯人だ。
ジャスティスヒーローは、前半は騎士学園に通う主人公の成長物語になっている。
騎士学園は故郷から遠く離れており、レイヤが姉のヘレナのいる実家へと帰宅するのは年に1回、夏の長期休暇――要は夏休みの時だけだ。
そしてレイヤが3年の夏休み、事件は起こる。
これは血の殺戮と呼ばれるイベントで、彼の中に眠る邪神の血――闇の属性を引き出すイベントとなっていた。
内容は、彼の帰郷直前に故郷の村が山賊に襲われ壊滅状態になり、愛する義姉ヘレナの死を知るという物だ。
そのことが切っ掛けでレイヤは悪を心から憎む様になり、復讐を誓う。
誰に対する復讐?
当然、故郷であるアイルー村を襲ったゲリュオン山賊団。
そして、最愛の義姉をその手にかけた山賊の頭、エヴァン・ゲリュオンへのだ。
「最悪だな……」
何故ゲームの世界なのか?
それも致命的な状況の悪役に自分がなっているのかは分からない。
だが、このままだと近い将来自分は確実にレイヤによって殺される事になる。
因みに現在の状況を冷静に判断出来ているのは、ゲリュオンの記憶と、俺の記憶が混ざっての事だ。
「兄貴!めぼしい物はだいたい積み終わりやしたぜ!」
如何にも悪党といった感じの、顎のしゃくれた人相の悪そうな男が俺に報告して来た。
略奪完了、と。
それも嬉しそうに。
こっちはこの先、主人公による処刑待ち状態に憂鬱だってのに……
取り敢えず逃げたら?
うん、無理。
この世界には魔法がある。
そして主人公のみが扱う事の出来る正義系統の魔法には、悪を見つけ出すという物があった。
ゲーム的には、善悪の基準となるカルマ値が悪人寄り――マイナスの存在を探し出す魔法だ。
これがある以上、ヘレナ殺害の犯人が俺である事は絶対にバレるし、何処までも追いかけられ続けてしまう。
詰みも良い所。
けど……一つだけ手がない訳じゃない。
「はぁ……手下どもを此処に集めろ」
俺は溜息を吐いてから、山賊の頭としてそう下っ端に命じた。
まずは山賊団を――
「わかりやした!」
俺の命令に従い、そいつは他の山賊達を俺の目の前に集める。
「どうかしたんですか?お頭?」
「いいから、黙って一列に並べ!」
ゲリュオン山賊団の構成員は、俺を除いて12人。
奴らは俺が強く恫喝すると、一目散に一列に並んだ。
「さて……」
意識を集中し、自分のステータスを確認する。
確認したかったのは俺のカルマ値だ。
「マイナス682か……」
カルマ値は0以上が一般人。
それ以下は、要はマイナスが悪人を指す。
マイナス999が負のカンストである事を考えると、ゲリュオンはとんでもない大悪党と言えるだろう。
「まあ、取り敢えずやってみるか」
何を?
――もちろん処刑を、だ。
「デビルブーメラン!」
俺は斧を水平に構え、それを勢いよくぶん投げる。
一列に並んだゲリュオン山賊団に向かって。
「ぎゃあああ!!」
「ぎぇあ!?」
「ひゃあがか……」
俺の斧が、一列に並んだ手下どもを纏めて薙ぎ倒す。
かなり高威力なスキルなので、下っ端程度ならこの一撃で倒せる。
「お、お頭……なんで……」
ゲリュオンの右腕。
副頭だったパッツが、地面で血まみれになりながらも懸命に顔を上げ、息も絶え絶えに俺に疑問を投げかけて来た。
「なんで?理由は簡単だ。お前らが悪党だからだ」
そう、至極単純な理由である。
こいつらは悪党だ。
だから殺した。
因みに、罪悪感とか嫌悪感は一切感じていない。
まあ相手はゲリュオン程ではないとはいえ、とんでもない悪人共だったしな。
悪人に一々かける情けなんざ、悪いが持ち合わせちゃいない。
「あんただって……悪党……だろう……が……」
「そうだな。けど、少しはましになったぞ。お前らのお陰でな……って、聞いてないか」
俺のカルマ値を確認すると、681へと上がっていた。
山賊団員12人も殺してたった1しか上がらないのが若干あれだが、それでも――
「まあこれで、プレイアブルキャラじゃなくてもカルマ値を上げられる事が確定したな」
レイヤの魔法は、カルマ値マイナスの人間にしか作用しない。
つまり、カルマ値を上げて0以上にすれば奴は俺を見つけられなくなるという訳だ。
「罪のない人間殺して逃げ切るってシュチュエーションはあれだけど……ま、死にたくないししょうがないよな」
ゲーム世界だから、死んだら元の自分に戻れるって可能性は勿論ある。
だがそうじゃなかった場合を考えると、とてもじゃいがそれを試す気にはなれない。
という訳で、死ぬ気で逃げ回らせて貰う。
悪く思うなよ。
レイヤ。
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