30 / 65
第30話 覚醒
しおりを挟む
「ななななな!何ですと!!魔神リリスを復活させてしまったのですか!?そんな恐ろしい事を……あばばばば」
リリスの封印を解いたと話したら、何故か興奮した理事長が白目をむいて泡を吹き出した。
仕方がないので気付け代わりに頬を叩いたら、首が変な方向に曲がって息が止まってしまったので、慌てて回復魔法でなかった事にしておく。
一件落着。
しかし……ちょっと叩いただけで昇天しかかるとか、まったくひ弱な爺だぜ。
一応手駒として使えるので、強化しておいてやるとするか。
あんまり弱すぎると、なんかの手違い――体罰――で死なせてしまうかもしれないからな。
「さて……覚醒、っと」
理事長の頭に手を置き、能力を発動させる。
――覚醒。
覚醒は、俺が神から授かった力の一つだ。
効果は対象の潜在能力を引き出すという物である。
まあ理事長に潜在能力が無かったら、使っても全く意味はないが。
「ふおおおおお!体から!!体から力が漲ってくるぞおおお!!!」
覚醒させると理事長が意識を取り戻し、感極まった雄叫びを上げる。
余りにも五月蠅いので、思わず頭を殴ったらまた気絶してしまった。
「起きたり寝たり。せわしない奴だ」
何となく、起き上りこぼしを思い起こしながら回復してやる。
戦闘能力を確認すると、元々400万しかなかった物が3,000万まで上がっていた。
どうやら理事長は結構な潜在能力を燻ぶらせてらせていた様だな。
「Bランク勇者以上、Aランク勇者以下って所か」
ビートよりは強いが、アレスとアナコンダよりは若干弱いって感じである。
因みに、勇者連中は全員戦戦闘時に能力が倍以上に膨れ上がっていたため、初期の判定よりも実際は強かった。
「ふおおおお!体から力が!!」
「もうそれはいいっての」
回復させたらまた叫び出したので、今度は気絶しない程度に殴って止めさせる。
数十年ぶりにあそこをおっきさせた枯老人でもあるまいし、感動しすぎだ。
「申し訳ありません。余りの出来事に、ついつい年甲斐もなく興奮してしまいました。しかしこの突如沸き上がって来た力。ひょっとしてこれは墓地様のお力でしょうか」
「ああ、叩く度に死にかけて回復させるのも面倒だからな。潜在能力を引き出しておいてやったぞ。感謝しろ」
「ははあ!有難き幸せ!」
理事長がその場で土下座する。
土下座はこの世界でも、謝罪や感謝の際にする行動だ。
実は異世界ではファック・〇ーのポーズとかではないので、安心して欲しい。
「正に墓地様は神にも等しきお方!齢70にして新たな境地に立てるなど!このご恩は決して忘れません!!」
うざっ。
俺、こういう激しく掌返しする奴って大っ嫌いなんだよな。
大げさに行動すればするほど自分の寿命をゴリゴリ削りかねない事に、この爺さんは気づいているのだろうか?
「このマカレール・ロング!終生貴方に忠誠を誓う事を宣言致します!」
「別に忠誠とかいらん」
俺は理事長の言葉に素っ気なく返した。
そもそも裏切ったら死ぬんだから、今更忠誠とか意味ないしな。
「そんな事より、リリスの事なんだが」
「はっ!そうでした!墓地様!魔神リリスはどうなったのですか!?」
「今は結界を張って部屋に閉じ込めてる。ぶん殴って粉々にしても、死ななかったからな」
「閉じ込めている!?粉々にした!?」
俺の言葉に、理事長が目を白黒させる。
そして口元に手をやり、考え込む様に――
「し、信じられん……魔神帝の娘であるリリスは、SSSランクの不滅の魔神。そんな化け物を粉砕し、結界で封じるなどと……ひょっとして墓地様は埒外《Extra》の……いや、しかしいくら何でも伝説レベルの力を持つというのは……だがそうでもなければそんな出鱈目が出来る訳も……はっ!そういえば墓地様はEランク……もしや測定時にxが抜けて表示された可能性も……もしそうならば、この学園始まって以来の……そうなればワシの評価も……」
――長々と独り言を始めた。
大丈夫かこの爺?
覚醒の影響で頭おかしくなってないだろうな?
「墓地様!以前の勇者鑑定は、間違いだったかと思われます!召喚の間へと向かいましょう!そこで再び鑑定を行えば、今度こそ墓地様の真の力を測定できるかと!」
「面倒臭いしどうでもいい」
急に理事長が再鑑定を意気揚々と進めて来るが、バッサリと断る。
俺が知りたいのはリリスの封印の仕方であって、今更自分のランクなんざどうでもいい事だ。
「あ……そうですか」
興奮気味だった理事長だが、俺の言葉にシュンとなる。
リリスの封印を解いたと話したら、何故か興奮した理事長が白目をむいて泡を吹き出した。
仕方がないので気付け代わりに頬を叩いたら、首が変な方向に曲がって息が止まってしまったので、慌てて回復魔法でなかった事にしておく。
一件落着。
しかし……ちょっと叩いただけで昇天しかかるとか、まったくひ弱な爺だぜ。
一応手駒として使えるので、強化しておいてやるとするか。
あんまり弱すぎると、なんかの手違い――体罰――で死なせてしまうかもしれないからな。
「さて……覚醒、っと」
理事長の頭に手を置き、能力を発動させる。
――覚醒。
覚醒は、俺が神から授かった力の一つだ。
効果は対象の潜在能力を引き出すという物である。
まあ理事長に潜在能力が無かったら、使っても全く意味はないが。
「ふおおおおお!体から!!体から力が漲ってくるぞおおお!!!」
覚醒させると理事長が意識を取り戻し、感極まった雄叫びを上げる。
余りにも五月蠅いので、思わず頭を殴ったらまた気絶してしまった。
「起きたり寝たり。せわしない奴だ」
何となく、起き上りこぼしを思い起こしながら回復してやる。
戦闘能力を確認すると、元々400万しかなかった物が3,000万まで上がっていた。
どうやら理事長は結構な潜在能力を燻ぶらせてらせていた様だな。
「Bランク勇者以上、Aランク勇者以下って所か」
ビートよりは強いが、アレスとアナコンダよりは若干弱いって感じである。
因みに、勇者連中は全員戦戦闘時に能力が倍以上に膨れ上がっていたため、初期の判定よりも実際は強かった。
「ふおおおお!体から力が!!」
「もうそれはいいっての」
回復させたらまた叫び出したので、今度は気絶しない程度に殴って止めさせる。
数十年ぶりにあそこをおっきさせた枯老人でもあるまいし、感動しすぎだ。
「申し訳ありません。余りの出来事に、ついつい年甲斐もなく興奮してしまいました。しかしこの突如沸き上がって来た力。ひょっとしてこれは墓地様のお力でしょうか」
「ああ、叩く度に死にかけて回復させるのも面倒だからな。潜在能力を引き出しておいてやったぞ。感謝しろ」
「ははあ!有難き幸せ!」
理事長がその場で土下座する。
土下座はこの世界でも、謝罪や感謝の際にする行動だ。
実は異世界ではファック・〇ーのポーズとかではないので、安心して欲しい。
「正に墓地様は神にも等しきお方!齢70にして新たな境地に立てるなど!このご恩は決して忘れません!!」
うざっ。
俺、こういう激しく掌返しする奴って大っ嫌いなんだよな。
大げさに行動すればするほど自分の寿命をゴリゴリ削りかねない事に、この爺さんは気づいているのだろうか?
「このマカレール・ロング!終生貴方に忠誠を誓う事を宣言致します!」
「別に忠誠とかいらん」
俺は理事長の言葉に素っ気なく返した。
そもそも裏切ったら死ぬんだから、今更忠誠とか意味ないしな。
「そんな事より、リリスの事なんだが」
「はっ!そうでした!墓地様!魔神リリスはどうなったのですか!?」
「今は結界を張って部屋に閉じ込めてる。ぶん殴って粉々にしても、死ななかったからな」
「閉じ込めている!?粉々にした!?」
俺の言葉に、理事長が目を白黒させる。
そして口元に手をやり、考え込む様に――
「し、信じられん……魔神帝の娘であるリリスは、SSSランクの不滅の魔神。そんな化け物を粉砕し、結界で封じるなどと……ひょっとして墓地様は埒外《Extra》の……いや、しかしいくら何でも伝説レベルの力を持つというのは……だがそうでもなければそんな出鱈目が出来る訳も……はっ!そういえば墓地様はEランク……もしや測定時にxが抜けて表示された可能性も……もしそうならば、この学園始まって以来の……そうなればワシの評価も……」
――長々と独り言を始めた。
大丈夫かこの爺?
覚醒の影響で頭おかしくなってないだろうな?
「墓地様!以前の勇者鑑定は、間違いだったかと思われます!召喚の間へと向かいましょう!そこで再び鑑定を行えば、今度こそ墓地様の真の力を測定できるかと!」
「面倒臭いしどうでもいい」
急に理事長が再鑑定を意気揚々と進めて来るが、バッサリと断る。
俺が知りたいのはリリスの封印の仕方であって、今更自分のランクなんざどうでもいい事だ。
「あ……そうですか」
興奮気味だった理事長だが、俺の言葉にシュンとなる。
1
あなたにおすすめの小説
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
雑魚で貧乏な俺にゲームの悪役貴族が憑依した結果、ゲームヒロインのモデルとパーティーを組むことになった
ぐうのすけ
ファンタジー
無才・貧乏・底辺高校生の稲生アキラ(イナセアキラ)にゲームの悪役貴族が憑依した。
悪役貴族がアキラに話しかける。
「そうか、お前、魂の片割れだな? はははははは!喜べ!魂が1つになれば強さも、女も、名声も思うがままだ!」
アキラは悪役貴族を警戒するがあらゆる事件を通してお互いの境遇を知り、魂が融合し力を手に入れていく。
ある時はモンスターを無双し、ある時は配信で人気を得て、ヒロインとパーティーを組み、アキラの人生は好転し、自分の人生を切り開いていく。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~
風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる