吾輩は時々、黒猫である。

やまとゆう

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第2章 ロボ子と優子

#12.

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            ✳︎ 

 目が覚めた。朝はいつも鉛が体の中に入っているようにずっしりと体が重い。私はゆっくり上体を起こすと、ズキズキと頭が痛んだ。その痛みに耐えつつベッドの側に置いている水の入ったペットボトルに手を伸ばして喉を潤した。重い腰を上げ、一通り朝にするルーティンを終え、外に出る準備をする。いつもよりスムーズに進んだ化粧を終えて、いつもより早い時間におばあちゃんに行ってきますと言って家を出た。今日の街はいつもより人通りが少なくて私の気持ちもゆったりしていた。私はいつも行くネットカフェに行き、いつものやり取りをした。それもいつもより早く終わった。体の調子は良くないが、今日の私の頭は冴えている。
 時間を持て余した私は、少し前からお気に入りの公園へ向かった。あの日、生きることが疲れた私に師匠が手を差し伸べてくれた場所。師匠に救われたあの日から、あの公園は私にとって特別な場所になっている。そこへ着くと、普段は見ないような黒猫がのんびりと歩いていた。その猫と目が合うと、私は無意識のうちに猫に駆け足で近づいていた。そしてそのままの流れでその猫を抱き上げた。私はどうしてこんな行動をしたのだろう。猫は好きだけれど、いつもはこんな大胆な行動はしない。

 「お前も1人なの?」

 目が合う黒猫と私。どこか人間のような表情に見えなくもないその顔をじっと見つめて猫の体を撫でた。猫が満更でもない声を出したので私も安堵した。

 「私も1人なんだ。お前と一緒」

綺麗で滑らかな黒い毛並みを撫でていると、猫はじっと私の顔を見つめた。あどけない顔で見つめられ、私は自分でも分かるくらい顔の力が緩んだ。

 「ふふ、何だよ。お前って言ったこと、怒ってるの?」

猫が人間の言葉を理解出来るとは考え難いけれど、私の言葉を聞いた猫は照れた顔を隠すようにそっぽを向いた。

 「そういう態度、何だか私の知ってる人に似てるよ」

猫はそっぽを向いたまま、私の座るベンチの隣に寝転んだ。

 「まぁお前に言っても分からないよね」

猫に子守唄を歌うように私は呟きながら背中の黒い毛並みを撫で続けた。しばらくすると猫はリラックスしたのか、気持ちよさそうに眠っていた。気がつくと、少し遠い所に茶色の毛並みの猫と、真っ白な毛並みの猫が私を見ていた。ここは猫の憩い場だったのだろうか。いい事を知った気がした私は、またここに来ようと心の中で決めた。その時はまた、この黒猫がここにいるといいな。私はそう思い黒猫の頭を優しく撫でてベンチから立ち上がった。

 「あとは任せるね」

私は遠くの2匹にそう伝え、公園を後にした。なんだろう、とてもリラックス出来た気分だ。充実、という言葉が一番しっくりくる気持ちで心の中が満たされた。やっぱり私は猫が好きだ。特別な場所がさらに好きな場所になった。

           
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