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第2章 ロボ子と優子
#19.
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✳︎
「おはようございます」
「おはよう優子。今日も早いね」
「はい。早めに来たくなったので」
「お、そんなにここが好きになったか?」
「はい、好きです」
「そうかそうか!良かったなぁ二ケェ!」
師匠がキッチンの方へ大きめの声で彼を呼ぶと、ハンカチで手を拭きながら苦虫を潰したような顔で彼が出てきた。
「なんて? 師匠声でかすぎて逆に聞き取れないっていつも言ってんじゃん。おぉ!? 優子! お、おはよう」
「おはようございます」
「よかったな、ニケ。今日から優子は3日連続出勤だ」
「そ、そうなんだ。店も儲かるね」
「そうだなぁ!」
あからさまに何かを楽しむ師匠は、私を見ては彼の方もジロジロと見てニヤニヤする。
「なんだよ師匠」
「別にぃ? あ、そうだ。オレ、部屋ですることあるんだった! 2人に掃除任せるわぁ!」
師匠は私たちにそう言い残し、そそくさと2階へ登っていった。
「何だあのムカつく話し方」
「何だか今日の師匠、楽しそうですね」
「舞い上がりすぎてトラブルとかにならないといいけどね」
「ふふ、本当に」
私たちが掃除をしていると、今日出勤予定の仲良しコンビである風花さんと真希さんが一緒にバーへやって来た。
「おはようございまぁす!」
「はよござまーす」
いつも通りの華やかな服装の2人。
「おはようございます」
「あ、優子ちゃん。おはようー」
「おはよー、あれ、優子ちゃん。メイク変えた?」
「はい。目元と口元に新しい色を取り入れてみました」
「めっちゃ可愛い! 私にも今度そのメイク教えて!」
「ええ、もちろんです」
風花さんはそう言うと、私の顔にスマホのカメラを向けた。ほぼ目の前にあるそれを見て私の顔は自然と力が入った。
「やったー! 優子ちゃんの顔、参考にさせていただきます!」
「恥ずかしいのであまり多くは撮らないで下さいね」
優子の整った顔に合ったメイクしてんだからあんたが参考にしてもしょうがないでしょ、と真希さんや私の声には聞く耳を持たず彼女はカシャカシャと写真を撮っていく。
「優子ちゃん、会うのちょっと久しぶりだけどメイク以外も変わらなかった?」
「いえ? 特に何も変わりませんよ」
「そうなんだ? 彼氏でも出来たのかなって思うぐらい、雰囲気が柔らかくなった気がしてさ。あ、ごめんね。前の優子ちゃんを悪く言ってるつもりはないよ」
女の人の勘はやはり鋭い。彼氏ができたわけではないけれど、私の中で大きく変わった事はある。
「優子、今日もここに灰皿、2枚いる?」
「え? あぁうん。2枚お願い」
「はーい。うわぁ! 真希いたんだ! お、おはよう」
驚いて飛び跳ねたニケさんは真希さんの姿に驚く前に、何かに違和感を感じていたような顔をした。私、何か変なこと言ったかな。そう考えていると、
「優子ちゃん、そういうことね」
彼女が私の右肩に手を回してニシシと笑っていた。まるで師匠が私と彼を見るような目で。
「おぉ、おはよう。みんな揃ったね。今日も穏やかになりそうだ」
のしのしと師匠が2階から降りて来た。私は彼の表情の違和感を考えていると、突然その答えを導くことが出来てしまった。
「ん? 優子、顔赤いけど大丈夫か?」
「はい、問題ありませぬ」
不覚にもちょっと噛んで武士みたいな返事をしてしまった。
「そっか。それなら良かった。みんな、今日もヨロシクね」
みんなには多分、噛んだことは気付かれていない。が、私の近くに再び真希さんが来た。
「私はお似合いだと思うよ。姉目線で見守ってる。私、口めっちゃカタいから安心して♪」
彼女は私にしか聞こえないぐらいの小さな声で私の耳元で囁き、風花さんの隣に行ってお酒の蓋を開けた。
「風花ぁ! そろそろ春だねぇ!」
「何言ってんの? 来週はゴールデンウィークだよ。寝ぼけてんの?」
風花さんが鈍感な人でよかった。真希さんと目が合うと、ニヤっと笑ってウインクをされたので私は咄嗟に目を逸らした。逸らした流れでニケさんの方へ視線を向けると、テーブルを拭く彼の顔が赤くなっている気がした。それにつられるように私の心臓も慌ただしく音を鳴らす。恥ずかしいけれど、私の中では嬉しさの方がそれを圧倒した。
彼の物語を読む習慣がついてちょうど1ヶ月程が経った5月の夜。窓から外を見ると、いつものように優しく光る月が今日も私を、私たちを見守りながら夜の空に浮かんでいる気がした。
「おはようございます」
「おはよう優子。今日も早いね」
「はい。早めに来たくなったので」
「お、そんなにここが好きになったか?」
「はい、好きです」
「そうかそうか!良かったなぁ二ケェ!」
師匠がキッチンの方へ大きめの声で彼を呼ぶと、ハンカチで手を拭きながら苦虫を潰したような顔で彼が出てきた。
「なんて? 師匠声でかすぎて逆に聞き取れないっていつも言ってんじゃん。おぉ!? 優子! お、おはよう」
「おはようございます」
「よかったな、ニケ。今日から優子は3日連続出勤だ」
「そ、そうなんだ。店も儲かるね」
「そうだなぁ!」
あからさまに何かを楽しむ師匠は、私を見ては彼の方もジロジロと見てニヤニヤする。
「なんだよ師匠」
「別にぃ? あ、そうだ。オレ、部屋ですることあるんだった! 2人に掃除任せるわぁ!」
師匠は私たちにそう言い残し、そそくさと2階へ登っていった。
「何だあのムカつく話し方」
「何だか今日の師匠、楽しそうですね」
「舞い上がりすぎてトラブルとかにならないといいけどね」
「ふふ、本当に」
私たちが掃除をしていると、今日出勤予定の仲良しコンビである風花さんと真希さんが一緒にバーへやって来た。
「おはようございまぁす!」
「はよござまーす」
いつも通りの華やかな服装の2人。
「おはようございます」
「あ、優子ちゃん。おはようー」
「おはよー、あれ、優子ちゃん。メイク変えた?」
「はい。目元と口元に新しい色を取り入れてみました」
「めっちゃ可愛い! 私にも今度そのメイク教えて!」
「ええ、もちろんです」
風花さんはそう言うと、私の顔にスマホのカメラを向けた。ほぼ目の前にあるそれを見て私の顔は自然と力が入った。
「やったー! 優子ちゃんの顔、参考にさせていただきます!」
「恥ずかしいのであまり多くは撮らないで下さいね」
優子の整った顔に合ったメイクしてんだからあんたが参考にしてもしょうがないでしょ、と真希さんや私の声には聞く耳を持たず彼女はカシャカシャと写真を撮っていく。
「優子ちゃん、会うのちょっと久しぶりだけどメイク以外も変わらなかった?」
「いえ? 特に何も変わりませんよ」
「そうなんだ? 彼氏でも出来たのかなって思うぐらい、雰囲気が柔らかくなった気がしてさ。あ、ごめんね。前の優子ちゃんを悪く言ってるつもりはないよ」
女の人の勘はやはり鋭い。彼氏ができたわけではないけれど、私の中で大きく変わった事はある。
「優子、今日もここに灰皿、2枚いる?」
「え? あぁうん。2枚お願い」
「はーい。うわぁ! 真希いたんだ! お、おはよう」
驚いて飛び跳ねたニケさんは真希さんの姿に驚く前に、何かに違和感を感じていたような顔をした。私、何か変なこと言ったかな。そう考えていると、
「優子ちゃん、そういうことね」
彼女が私の右肩に手を回してニシシと笑っていた。まるで師匠が私と彼を見るような目で。
「おぉ、おはよう。みんな揃ったね。今日も穏やかになりそうだ」
のしのしと師匠が2階から降りて来た。私は彼の表情の違和感を考えていると、突然その答えを導くことが出来てしまった。
「ん? 優子、顔赤いけど大丈夫か?」
「はい、問題ありませぬ」
不覚にもちょっと噛んで武士みたいな返事をしてしまった。
「そっか。それなら良かった。みんな、今日もヨロシクね」
みんなには多分、噛んだことは気付かれていない。が、私の近くに再び真希さんが来た。
「私はお似合いだと思うよ。姉目線で見守ってる。私、口めっちゃカタいから安心して♪」
彼女は私にしか聞こえないぐらいの小さな声で私の耳元で囁き、風花さんの隣に行ってお酒の蓋を開けた。
「風花ぁ! そろそろ春だねぇ!」
「何言ってんの? 来週はゴールデンウィークだよ。寝ぼけてんの?」
風花さんが鈍感な人でよかった。真希さんと目が合うと、ニヤっと笑ってウインクをされたので私は咄嗟に目を逸らした。逸らした流れでニケさんの方へ視線を向けると、テーブルを拭く彼の顔が赤くなっている気がした。それにつられるように私の心臓も慌ただしく音を鳴らす。恥ずかしいけれど、私の中では嬉しさの方がそれを圧倒した。
彼の物語を読む習慣がついてちょうど1ヶ月程が経った5月の夜。窓から外を見ると、いつものように優しく光る月が今日も私を、私たちを見守りながら夜の空に浮かんでいる気がした。
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