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EP:117 アンバランスな関係
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唐突ともなく、ゲイリーの生理が終わりを告げた。
本来ならば――あと4日はあったはずなのに、だ。
「っそ、相談を…されてもな~~」
思いもしなかったゲイリーの相談に安住も、少し引きつった笑い顔を向けてしまう。
「アズミにしか相談できないんだもー~~ん!」
「…ボスのところに行ったクセに」
「アズミぃー~~!」
がばっとゲイリーが安住に飛びついて、ベッドに押し倒した。
「わ゛!」
そして見下ろされる安住は、見下ろしているゲイリーの顔を見上げた。
「ゲイリー…お前はどうしたいんだ?」
手を上げてゲイリーの頬を優しく摘まんだ。
ゲイリーも困ったような表情を浮かべていた。
しかし。それ以上に。
「…エッチしたいのはよぉ~~く分かるんだけどね」
頬が朱に染まり緩む口許。
安住は頬から指を離すと額にデコピンをした。
ビシ! と。
「!? った、ったったったァー~~アズミぃー」
弾かれたゲイリーは安住から身体を離して、額を擦った。
「だらしない顔するからだからな! もう!」
安住は腕を組み。
そう言うと頬を膨らませた。
「意地悪ぅー~~暴力反対ぃー~~」
目を潤ませるゲイリーに、
「はいはい。たっく! も~~!」
安住は額を乱暴に叩いた。
「っだ!」
「俺は。あと4日は騙して。見極めた方がいいと…思う」
「見極めるって…何をー? アズミー」
首を傾げるゲイリーに、
「ゲイリー。お前は…よくも悪くもさ。馬鹿正直過ぎるんだよ」
安住が言いきった。
言われた本人はといえば。
「え゛」
唖然とした表情を安住に向けていた。
そして安住も、また続けた。
「処女ってのは本来は結婚相手に捧げるもんじゃん。童貞は違うけど」
「えぇー」
「妊娠もあるし。こんな場所でデキちゃったらどうすんだよってこと!」
熱く言っていた安住の言葉をラバーが遮った。
「そんな心配なんざ。いらねぇなァー」
冷たい声が安住も否定するかのように。
嘲笑うかのように、
「私が全部、見るからなァ」
そう吐き捨てた。
それに対して安住も。
「それじゃあ駄目なんだよ! ボス‼」
横やりを入れたラバーに鼻息荒く言い捨てた。
「ボスがしようとしているのは過保護なことだし! いいことなんかじゃない‼」
「あァ゛ー~~?? 日本人ィ???」
鉄格子に寄り掛かっていたラバーの表情が曇り、鋭利な眼光が安住を見据えた。
「あんたが死んだあとのこととかも考えたことあんのかよ‼」
「!?」
安住の言葉にゲイリーの目が大きく見開かれた。だが肝心のラバーは動じない。
「んなこたぁー百も承知よ。だからって過保護にして何が悪ィんだよぉ」
「箱入り息――娘になってもいいのかよ!」
「ああ。別にいいさ」
「ラバー~~ッッ‼」
ベッドから飛び出そうとする安住の腕をゲイリーが咄嗟に掴んで止め、ギシ! とベッドが軋む音を鳴った。
そのままベッドに組み敷いた。
「ぅおぉい! ゲイリーー~~ッッ‼」
「あ゛。っご、ゴメンーアズミー~~」
慌てて安住の上から降りるゲイリーの顔を見ていたラバーがはにかんだ。
「生きてる内に会えるなんざ思わなかった息――娘だ。死んじまうまでは甘やかすのさ」
「そんなのはダメだ。絶対!」
起き上がりながら安住も、
「――あんたが死んで。ゲイリーが1人きりになったら…誰にでも甘えるし、相手だって勘違いをする!」
早口にラバーへと、
「甘えた考えで生きていけるほど、この世界は甘くなんかないんだ!」
マシンガンのように言葉を紡ぎ。
吐き出していく。
ぜはぜは、と息を吐く安住にラバーは聞く。
「気が済んだかよ? 日本人」
余裕染みた言い方に、安住がラバーを睨み返した。
「平和ボケしたお前らに言われたかねぇよ。こちとら戦争の中で産まれて育ったんだよ」
「かも! かもしれないけど! しれないけどさぁッッ‼」
「貴様みてぇな野郎が。息子の友達でなってくれてありがてェなぁー」
ほくそくみながらラバーも吐き捨てる。
「だから。私が甘やかしても貴様が居りゃあ大丈夫だろうがよぉ」
安住に肩を竦ませると、横に来たアイジと歩き出した。
「あ! ちょ、ちょっと! ボスー~~‼」
行ってしまったラバーに声をかけるも、返事はなかった。
本来ならば――あと4日はあったはずなのに、だ。
「っそ、相談を…されてもな~~」
思いもしなかったゲイリーの相談に安住も、少し引きつった笑い顔を向けてしまう。
「アズミにしか相談できないんだもー~~ん!」
「…ボスのところに行ったクセに」
「アズミぃー~~!」
がばっとゲイリーが安住に飛びついて、ベッドに押し倒した。
「わ゛!」
そして見下ろされる安住は、見下ろしているゲイリーの顔を見上げた。
「ゲイリー…お前はどうしたいんだ?」
手を上げてゲイリーの頬を優しく摘まんだ。
ゲイリーも困ったような表情を浮かべていた。
しかし。それ以上に。
「…エッチしたいのはよぉ~~く分かるんだけどね」
頬が朱に染まり緩む口許。
安住は頬から指を離すと額にデコピンをした。
ビシ! と。
「!? った、ったったったァー~~アズミぃー」
弾かれたゲイリーは安住から身体を離して、額を擦った。
「だらしない顔するからだからな! もう!」
安住は腕を組み。
そう言うと頬を膨らませた。
「意地悪ぅー~~暴力反対ぃー~~」
目を潤ませるゲイリーに、
「はいはい。たっく! も~~!」
安住は額を乱暴に叩いた。
「っだ!」
「俺は。あと4日は騙して。見極めた方がいいと…思う」
「見極めるって…何をー? アズミー」
首を傾げるゲイリーに、
「ゲイリー。お前は…よくも悪くもさ。馬鹿正直過ぎるんだよ」
安住が言いきった。
言われた本人はといえば。
「え゛」
唖然とした表情を安住に向けていた。
そして安住も、また続けた。
「処女ってのは本来は結婚相手に捧げるもんじゃん。童貞は違うけど」
「えぇー」
「妊娠もあるし。こんな場所でデキちゃったらどうすんだよってこと!」
熱く言っていた安住の言葉をラバーが遮った。
「そんな心配なんざ。いらねぇなァー」
冷たい声が安住も否定するかのように。
嘲笑うかのように、
「私が全部、見るからなァ」
そう吐き捨てた。
それに対して安住も。
「それじゃあ駄目なんだよ! ボス‼」
横やりを入れたラバーに鼻息荒く言い捨てた。
「ボスがしようとしているのは過保護なことだし! いいことなんかじゃない‼」
「あァ゛ー~~?? 日本人ィ???」
鉄格子に寄り掛かっていたラバーの表情が曇り、鋭利な眼光が安住を見据えた。
「あんたが死んだあとのこととかも考えたことあんのかよ‼」
「!?」
安住の言葉にゲイリーの目が大きく見開かれた。だが肝心のラバーは動じない。
「んなこたぁー百も承知よ。だからって過保護にして何が悪ィんだよぉ」
「箱入り息――娘になってもいいのかよ!」
「ああ。別にいいさ」
「ラバー~~ッッ‼」
ベッドから飛び出そうとする安住の腕をゲイリーが咄嗟に掴んで止め、ギシ! とベッドが軋む音を鳴った。
そのままベッドに組み敷いた。
「ぅおぉい! ゲイリーー~~ッッ‼」
「あ゛。っご、ゴメンーアズミー~~」
慌てて安住の上から降りるゲイリーの顔を見ていたラバーがはにかんだ。
「生きてる内に会えるなんざ思わなかった息――娘だ。死んじまうまでは甘やかすのさ」
「そんなのはダメだ。絶対!」
起き上がりながら安住も、
「――あんたが死んで。ゲイリーが1人きりになったら…誰にでも甘えるし、相手だって勘違いをする!」
早口にラバーへと、
「甘えた考えで生きていけるほど、この世界は甘くなんかないんだ!」
マシンガンのように言葉を紡ぎ。
吐き出していく。
ぜはぜは、と息を吐く安住にラバーは聞く。
「気が済んだかよ? 日本人」
余裕染みた言い方に、安住がラバーを睨み返した。
「平和ボケしたお前らに言われたかねぇよ。こちとら戦争の中で産まれて育ったんだよ」
「かも! かもしれないけど! しれないけどさぁッッ‼」
「貴様みてぇな野郎が。息子の友達でなってくれてありがてェなぁー」
ほくそくみながらラバーも吐き捨てる。
「だから。私が甘やかしても貴様が居りゃあ大丈夫だろうがよぉ」
安住に肩を竦ませると、横に来たアイジと歩き出した。
「あ! ちょ、ちょっと! ボスー~~‼」
行ってしまったラバーに声をかけるも、返事はなかった。
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