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【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する
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「知恵をお貸しください、お義姉様っ!」
お妃教育後の王太子妃(予定)と第三王子妃(予定)の恒例と化した二人だけのお茶会に、突然乱入してきた人物は、アディエルの手を握るなりそう叫んだ。
「まあまあ。突然、どうされましたの?」
色鮮やかな瞳をぱちくりとさせながら、アディエルは目の前の人物ー第一王女シルフィアに目を向けた。
ちなみに向かい側に座っていた伯爵令嬢にして、第三王子の婚約者、リネット・リズベットは恨めしそうにそれを見ている。
「あんの大バカ野郎に天誅を下したいのですっ!」
王女らしからぬ発言に、さすがのアディエルもきょとんとした顔になった。
リネットはそんな彼女の表情を、初めて見た喜びに震えている。
「…シルフィア様。とにかくお話をお聞かせくださいな。落、ち、着、い、て、ね?」
右頬に手を当て、コテンと軽く左側に首を傾げてアディエルが微笑む。
「っ!お、お見苦しいところをお見せいたしましたわ。申し訳ございません、お義姉様方…」
自分の失態に気づき、頬を赤らめながらも謝罪をする。
そして、ゆっくりと息を吐き出し、気を落ち着かせると、シルフィアは勧められた席についた。
「それで?シルフィア様の仰るおバカさんとは何方かしら?」
にっこり微笑むアディエルに、シルフィアは再び怒りが込み上げてきた。
「それは…。それは…」
拳を握りしめ、フルフルと身体を震わせている様子に、アディエルとリネットは顔を見合せた。
シルフィア王女は、どちらかと言えば物静かで口数の少ない少女だ。
その彼女が、こんなに感情を乱すことなど見たことがなかった。
これは余程のことであろうと、二人は気を引き締めた。
「実は…「シルフィア姉上!ちょっと待ったーーーっ!!」」
話出そうとしたシルフィアの言葉を遮ったのは、王位継承権二位の第四王子ユエインだった。
「……あらまぁ……」
「ア、アディエル義姉上。リネット義姉上。このような非礼をお詫び申し上げます!ですが、シルフィア姉上の相談に乗るならば、私の話も聞いていただきたいのですっ!!」
いつもなら礼儀正しい義弟の様子に、アディエルはシルフィアの相談事の見当がついていた。
彼女の持つ情報の中で、この二人が慌てる事など一つしか思い当たらなかったからだ。
「もしかして、お二人のお話はとある伯爵ご夫婦の事でしょうか?」
「「っ!?」」
アディエルの言葉に、二人は目を大きく見開き、ゴクリと固唾を飲んだ。
話してないのに、話す前から内容を予測できるだけの情報を持つアディエルに。そして、家族から聞かされている彼女自身の能力の高さと手腕に頼るしかないと強く思い知る。
何より、あの腹黒な兄である王太子の唯一などと呼ばれるのだ。
味方にすれば頼もしいが、敵にすればどれほど恐ろしいかを、二人は目にしたこともある。
だからこそ、シルフィアは天誅をと望み、ユエインは助力をと望んだのだ。
「御二方の相談内容がそのご夫婦の事でしたら、私もお聞きしたいことがございましたのよ」
にっこりと微笑むアディエルの隣で、彼女の崇拝者の一人でもあるリネットは、テーブルの下でグッと拳を握りしめていたのだったーーーー。
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宜しければ、感想一言でもいいのでお願いします。やる気になります!←調子に乗るとも言う。
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王女らしからぬ発言に、さすがのアディエルもきょとんとした顔になった。
リネットはそんな彼女の表情を、初めて見た喜びに震えている。
「…シルフィア様。とにかくお話をお聞かせくださいな。落、ち、着、い、て、ね?」
右頬に手を当て、コテンと軽く左側に首を傾げてアディエルが微笑む。
「っ!お、お見苦しいところをお見せいたしましたわ。申し訳ございません、お義姉様方…」
自分の失態に気づき、頬を赤らめながらも謝罪をする。
そして、ゆっくりと息を吐き出し、気を落ち着かせると、シルフィアは勧められた席についた。
「それで?シルフィア様の仰るおバカさんとは何方かしら?」
にっこり微笑むアディエルに、シルフィアは再び怒りが込み上げてきた。
「それは…。それは…」
拳を握りしめ、フルフルと身体を震わせている様子に、アディエルとリネットは顔を見合せた。
シルフィア王女は、どちらかと言えば物静かで口数の少ない少女だ。
その彼女が、こんなに感情を乱すことなど見たことがなかった。
これは余程のことであろうと、二人は気を引き締めた。
「実は…「シルフィア姉上!ちょっと待ったーーーっ!!」」
話出そうとしたシルフィアの言葉を遮ったのは、王位継承権二位の第四王子ユエインだった。
「……あらまぁ……」
「ア、アディエル義姉上。リネット義姉上。このような非礼をお詫び申し上げます!ですが、シルフィア姉上の相談に乗るならば、私の話も聞いていただきたいのですっ!!」
いつもなら礼儀正しい義弟の様子に、アディエルはシルフィアの相談事の見当がついていた。
彼女の持つ情報の中で、この二人が慌てる事など一つしか思い当たらなかったからだ。
「もしかして、お二人のお話はとある伯爵ご夫婦の事でしょうか?」
「「っ!?」」
アディエルの言葉に、二人は目を大きく見開き、ゴクリと固唾を飲んだ。
話してないのに、話す前から内容を予測できるだけの情報を持つアディエルに。そして、家族から聞かされている彼女自身の能力の高さと手腕に頼るしかないと強く思い知る。
何より、あの腹黒な兄である王太子の唯一などと呼ばれるのだ。
味方にすれば頼もしいが、敵にすればどれほど恐ろしいかを、二人は目にしたこともある。
だからこそ、シルフィアは天誅をと望み、ユエインは助力をと望んだのだ。
「御二方の相談内容がそのご夫婦の事でしたら、私もお聞きしたいことがございましたのよ」
にっこりと微笑むアディエルの隣で、彼女の崇拝者の一人でもあるリネットは、テーブルの下でグッと拳を握りしめていたのだったーーーー。
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