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【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する
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「……アディエル義姉上。どうしてボク達の相談が、とある伯爵夫妻の事だと気づかれたのでしょうか?」
全員が席につき、目の前にカップを置かれると、すぐにユエインがそう尋ねた。向かいのシルフィアは、ウンウンと頷いている。
「まあ、それは分かりますよ。伯爵はユエイン様の筆頭護衛騎士になられた方ですし、その奥様はシルフィア様の親友の令嬢でしたもの。政略的なものとは言え、仲睦まじいとお噂の御二方が、婚姻から半年の間。まったく社交界にお二人でお姿を見せないともなれば……ということでしょうか?」
にこやかに話される内容に、二人は呆気に取られ、リネットは満足気に頷いている。
この義姉は本当にどれだけの情報を持っているのかと、恐ろしくもなる。
「……それで?御二方はどうされたいのかしら?」
右頬に手を当て、首を右に傾げたアディエルに、リネットは自分の出番もありそうだと気を引きしめる。
「もちろん!伯爵に天誅「姉上、待って!」」
拳を握りしめて語ろうとするシルフィアの話をユエインが即座に遮った。
「何ですか、ユエイン?自分の護衛騎士だから庇おうというのかしら?」
「…いえ。ランディに非があるなら、ボクだって止めません。…ですが、彼を良く知る身としては、どうも納得出来ません…」
睨み合う姉弟を、アディエル達は静かに見守っている。
「それは…、まあアタクシだって、多少は変だなとは思ってますわよ…。でも、ロゼッタが手紙の返事すらまともに返せないなんて、おかしいではないですか!?」
「まともに返せないとは?」
リネットが不思議そうにそう言うと、シルフィアは背後に控えていた侍女に手を差し出し、一通の手紙を受け取った。
「これは最近、ロゼッタの体調を心配してアタクシが出した手紙への返事ですわ…」
「あら。見させていただいても宜しいのかしら?」
差し出されたアディエルが、受け取りながらシルフィアの顔を見た。
「…それを見て。御二方がどう思われるかお教えくださいな…」
真剣な顔のシルフィアに、リネットと目を合わせて頷くと、アディエルは手紙を広げて目にしていく。
「…………」
読み終えてリネットに手渡すと、彼女もザッと手早く目を通していった。
「……これは。貴族令嬢の書く手紙としては、何と申しますか…」
言葉を濁すリネットに対し、アディエルは握った拳を口元に当てていた。
「私。ロゼッタ様からお手紙を頂いたことがございますけど、随分お粗末な手ですわね…」
「「???」」
アディエルの言葉に首を傾げたのはユエインとリネットだけだった。
「…はい。明らかにロゼッタが書いた物ではないとアタクシも思います…」
シルフィアは悔しそうな顔でそう言うと、アディエルを縋るような目で見つめた。
「お義姉様…。ロゼッタは元気にしているのでしょうか…?調べたくとも、アタクシにはそれだけの力はありません…」
母である二妃エリアナに頼めば、その影を借りれるかもしれないが、それはあくまでも母親の人脈であって、己のものではないとシルフィアは堪え、自身の知る中で最も人脈に優れた義姉であるアディエルを頼ることに決めたのだった。
「…お義姉様。助けを求められない状況に彼女がいるなら、助けたいのです!どうかお力をお貸しくださいませ!」
全員が席につき、目の前にカップを置かれると、すぐにユエインがそう尋ねた。向かいのシルフィアは、ウンウンと頷いている。
「まあ、それは分かりますよ。伯爵はユエイン様の筆頭護衛騎士になられた方ですし、その奥様はシルフィア様の親友の令嬢でしたもの。政略的なものとは言え、仲睦まじいとお噂の御二方が、婚姻から半年の間。まったく社交界にお二人でお姿を見せないともなれば……ということでしょうか?」
にこやかに話される内容に、二人は呆気に取られ、リネットは満足気に頷いている。
この義姉は本当にどれだけの情報を持っているのかと、恐ろしくもなる。
「……それで?御二方はどうされたいのかしら?」
右頬に手を当て、首を右に傾げたアディエルに、リネットは自分の出番もありそうだと気を引きしめる。
「もちろん!伯爵に天誅「姉上、待って!」」
拳を握りしめて語ろうとするシルフィアの話をユエインが即座に遮った。
「何ですか、ユエイン?自分の護衛騎士だから庇おうというのかしら?」
「…いえ。ランディに非があるなら、ボクだって止めません。…ですが、彼を良く知る身としては、どうも納得出来ません…」
睨み合う姉弟を、アディエル達は静かに見守っている。
「それは…、まあアタクシだって、多少は変だなとは思ってますわよ…。でも、ロゼッタが手紙の返事すらまともに返せないなんて、おかしいではないですか!?」
「まともに返せないとは?」
リネットが不思議そうにそう言うと、シルフィアは背後に控えていた侍女に手を差し出し、一通の手紙を受け取った。
「これは最近、ロゼッタの体調を心配してアタクシが出した手紙への返事ですわ…」
「あら。見させていただいても宜しいのかしら?」
差し出されたアディエルが、受け取りながらシルフィアの顔を見た。
「…それを見て。御二方がどう思われるかお教えくださいな…」
真剣な顔のシルフィアに、リネットと目を合わせて頷くと、アディエルは手紙を広げて目にしていく。
「…………」
読み終えてリネットに手渡すと、彼女もザッと手早く目を通していった。
「……これは。貴族令嬢の書く手紙としては、何と申しますか…」
言葉を濁すリネットに対し、アディエルは握った拳を口元に当てていた。
「私。ロゼッタ様からお手紙を頂いたことがございますけど、随分お粗末な手ですわね…」
「「???」」
アディエルの言葉に首を傾げたのはユエインとリネットだけだった。
「…はい。明らかにロゼッタが書いた物ではないとアタクシも思います…」
シルフィアは悔しそうな顔でそう言うと、アディエルを縋るような目で見つめた。
「お義姉様…。ロゼッタは元気にしているのでしょうか…?調べたくとも、アタクシにはそれだけの力はありません…」
母である二妃エリアナに頼めば、その影を借りれるかもしれないが、それはあくまでも母親の人脈であって、己のものではないとシルフィアは堪え、自身の知る中で最も人脈に優れた義姉であるアディエルを頼ることに決めたのだった。
「…お義姉様。助けを求められない状況に彼女がいるなら、助けたいのです!どうかお力をお貸しくださいませ!」
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