【続編完結】侯爵令嬢は今日もにこやかに断罪する

ミアキス

文字の大きさ
49 / 82
【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する

10.

しおりを挟む
それは紛れもなく運命なのだと彼女は感じた。

隣国の第四王子を招いての夜会に参加して、彼女は自分の運命の相手に出会ったのだ。

「失礼、ご令嬢?ご気分が宜しくないのでは?」

王子の護衛として控えていた彼は、少し離れた場所で人に酔った彼女に気づき、声をかけてくれたのだ。

誰一人気づいてくれなかったのに、が自分に気がついてくれた……。

何故か?

決まっている!彼が自分を見ていたからだ!!

自分達は運命の恋人だからこそ、彼は自分に気がついたのだ!

その頃、彼女の読んでいた小説は、騎士と令嬢の恋物語が多かった。
自分もいつか素敵な騎士との恋に…と、夢見ていたのだ。
そして、彼女は男ばかりの侯爵家に生まれた待望の女児であったので、家族から甘やかされて育っていた。
望めば何でも与えられる生活をしていたがために、当然、件の騎士もになると信じていた。

何より自分達は運命の二人なのだ。
拒まれる理由がないと、彼女は滞在している間、彼に何度も押しかけた。

「申し訳ありませんが、自分は護衛の任務中ですので…」

そう断られても、仕事熱心なのはいい事だと感動していた。

しかし、来賓の王子の行く先々に現れるため、父親経由で控えるようにと伝えられた。

「嫌ですわ!あの方はあたくしと結ばれる運命の方ですのよ!!」

この発言に父親達は慌てた。
相手には産まれた時から決まっていた婚約者がいるのだと説明したのだ。

「そんなの政略的な物なのでしょう?隣国の侯爵家の娘であるあたくしとの婚姻の方が、あの方のお役に立てますもの。婚約を破棄して、あたくしと婚約をするように申し込めばよいのですわっ!!」

可愛い娘のお願いでも、叶えることは出来ないと侯爵は理解していた。
彼は愛娘が隣国の騎士に好意を寄せていると知った時から、情報を集めた。
相手の令嬢は、隣国の王女の親友だと聞いていたから、無理やりにそんな話を押し通せば、隣国との関係が悪化する可能性があったのだ。

「ひどいわ、お父様っ!!」

父親を散々詰って、彼女は部屋に籠って泣き過ごした。
そうしてる間に、一行は国へと戻ってしまった。
毎日毎日泣き過ごし、とうとう部屋から出てこなくなった。
そんな彼女をどうすることも出来ず、気分を変えさせるために、別の者との婚約の話を進めようかということになった。

「イヤよ!あの方以外だなんて、死んだ方がマシですわっ!!」

部屋中のモノをひっくり返しまくり、使用人にまで当たり散らかし始めた彼女に、とうとう父親は娘を怒鳴った。

「待望の娘だからと甘やかしすぎた。婚約しないというのならば、修道院に行きなさいっ!!」

その言葉に、彼女はショックのあまり食事を取らなくなった。
窶れていく娘に、折れたのは母親だけだった。
彼女は隣国との関係よりも、娘の方が大事なのだ。大事な愛娘を傷つけた夫と息子達に、母親は見切りをつけた。

二人は信用のできる使用人を使い、夫や息子達に内緒で闇ギルドを頼ったのだーーーー。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

雪の女王を追って消えた、あんたは私と婚約してない!

さんけい
ファンタジー
「雪の女王」を追って村から消えたエイナル。 「君は僕の足かせだ?」ふざけんな、私はあんたの婚約者じゃない!

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした

しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」 十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。 会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。 魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。 ※小説家になろう様にも投稿しています※

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

処理中です...