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【二部】侯爵令嬢は今日もあざやかに断罪する
18.
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婚姻証明書にサインをし終わると、ラクトはユリアナをヒョイと肩に担ぎあげた。
「……へ?」
間抜けな声を上げたユリアナは、何が起こっているのか分からない。
「んじゃ。俺、帰るわ」
「道中、お気をつけて♪」
「後は引き受けたよ」
「え?え?」
にこやかに手を振る二人に見送られながら、ラクトは肩にユリアナを担いだまま、スタスタと部屋を後にした。
残された侯爵は、呆気に取られている。
「それでは、侯爵様。急ぎ戻られましたら、婚姻証明書の提出をお願いしますね」
にっこり微笑むアディエルの隣で、やはりにっこりと穏やかな笑みを浮かびたカイエンが指をパチンと鳴らした。
「っ!!」
バン!と勢いよく扉が開かれ、数人の騎士が旅装束で現れた。
「…あ、あの彼らは一体…?」
恐る恐る尋ねる侯爵に、にこやかにアディエルが微笑みかける。
「武の名門トワイデン家の誇る騎馬隊の精鋭の皆様ですわ♪」
「はっ!王太子殿下からの御要望により、これより我等一同が急ぎ侯爵様をターラッセンの王都までお連れ致します!」
ザッと敬礼をする騎士達に目を向け、国からだと渡された手の中の手紙の内容を思い出す。
『全てカイエン殿下の申すとおりに従うように…』
なるほど。自分は逃亡をしないように見張られるのか…と、肩を落とした。
「馬車の方は我がノクタール家の知識の詰まった最新式の物ですわ。明日の朝、遅くとも昼までには王都に戻ることができることをお約束致しますわ♪」
「…は?」
侯爵家はパカッと、間抜けな程に口を開けたままになった。
ここから自国の王都まで、普通に馬車で二日半はかかる距離だ。
それを今から半日で着くと言われたのだ。
どんな速さで走る気だ?馬車の車輪が脱輪するのではないか?
侯爵がそんな恐怖を感じているのを、知ってか知らずか、カイエンの頷きによって、侯爵は騎士達に連れられ、早々にリーゼンブルクを後にすることとなった。
翌日の昼前。
無事に帰国した彼は、真っ青な顔で謁見を果たした王へ渡された書状を渡し、帰国に関しての感想を聞かれた。
彼は遠い目をして語った。
馬車はとても軽く、何をどうやっているのか、車輪も脱輪することなく、曲がり角もスピードが出たまま軽々と曲がり、揺れも少なかった。
使われていたのが軍馬であったせいか、普通の馬より速度も早く、馬が疲れる前に要所要所で交換されて、ひたすら走り続けていた。
馬車の中に座っているだけなら、気にならなかったが、窓から外を見た時は、流れ去っていく景色に、自分は天上の階段を馬車で上っているのではないかと錯覚するほど恐ろしかった。
リーゼンブルクは絶対に敵に回してはいけない国だと。
「カイエン殿下の治世では、我が国は何もかも筒抜けになっていることでしょう……」
かの方の側に、彼女がいる限り……。
侯爵は最後の言葉は口に出せないままであったーーーー。
「……へ?」
間抜けな声を上げたユリアナは、何が起こっているのか分からない。
「んじゃ。俺、帰るわ」
「道中、お気をつけて♪」
「後は引き受けたよ」
「え?え?」
にこやかに手を振る二人に見送られながら、ラクトは肩にユリアナを担いだまま、スタスタと部屋を後にした。
残された侯爵は、呆気に取られている。
「それでは、侯爵様。急ぎ戻られましたら、婚姻証明書の提出をお願いしますね」
にっこり微笑むアディエルの隣で、やはりにっこりと穏やかな笑みを浮かびたカイエンが指をパチンと鳴らした。
「っ!!」
バン!と勢いよく扉が開かれ、数人の騎士が旅装束で現れた。
「…あ、あの彼らは一体…?」
恐る恐る尋ねる侯爵に、にこやかにアディエルが微笑みかける。
「武の名門トワイデン家の誇る騎馬隊の精鋭の皆様ですわ♪」
「はっ!王太子殿下からの御要望により、これより我等一同が急ぎ侯爵様をターラッセンの王都までお連れ致します!」
ザッと敬礼をする騎士達に目を向け、国からだと渡された手の中の手紙の内容を思い出す。
『全てカイエン殿下の申すとおりに従うように…』
なるほど。自分は逃亡をしないように見張られるのか…と、肩を落とした。
「馬車の方は我がノクタール家の知識の詰まった最新式の物ですわ。明日の朝、遅くとも昼までには王都に戻ることができることをお約束致しますわ♪」
「…は?」
侯爵家はパカッと、間抜けな程に口を開けたままになった。
ここから自国の王都まで、普通に馬車で二日半はかかる距離だ。
それを今から半日で着くと言われたのだ。
どんな速さで走る気だ?馬車の車輪が脱輪するのではないか?
侯爵がそんな恐怖を感じているのを、知ってか知らずか、カイエンの頷きによって、侯爵は騎士達に連れられ、早々にリーゼンブルクを後にすることとなった。
翌日の昼前。
無事に帰国した彼は、真っ青な顔で謁見を果たした王へ渡された書状を渡し、帰国に関しての感想を聞かれた。
彼は遠い目をして語った。
馬車はとても軽く、何をどうやっているのか、車輪も脱輪することなく、曲がり角もスピードが出たまま軽々と曲がり、揺れも少なかった。
使われていたのが軍馬であったせいか、普通の馬より速度も早く、馬が疲れる前に要所要所で交換されて、ひたすら走り続けていた。
馬車の中に座っているだけなら、気にならなかったが、窓から外を見た時は、流れ去っていく景色に、自分は天上の階段を馬車で上っているのではないかと錯覚するほど恐ろしかった。
リーゼンブルクは絶対に敵に回してはいけない国だと。
「カイエン殿下の治世では、我が国は何もかも筒抜けになっていることでしょう……」
かの方の側に、彼女がいる限り……。
侯爵は最後の言葉は口に出せないままであったーーーー。
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