44 / 110
第五章 そして新たな神話が生まれた
3
しおりを挟む
[レオノーラ視点]
「…反省する気はないようですね。では、貴方には特別にこれを与えましょう…。『自宅警備員』」
「ぶっ」
女神様がそう言った瞬間、思わず噴き出してしまった。
大神殿長がニートって、ニートってぇぇぇっwww
必死で笑いを堪えてたら、いつの間にか決着がついてて、すぐ目の前に女神様がいた。
「…ディーが色々迷惑かけちゃって、ごめんね?」
「っ!」
さっきまでと違う口調に驚いてると、肩を竦めて私を見た。
「同郷のよしみで、私にできる範囲でお願い聞けるけど?」
「え?日本人?あ、それでさっきハリセン出てきたんだ…」
ハリセンを指さして笑い出すと、同郷だという女神様は、ハリセンを見下ろし差し出した。
「えっと……。いるなら、あげようか?」
「いいんですか?」
思わず声が大きくなったけど、気にしてらんない。だって、向こうの世界の記憶の一つだ。懐かしさも多少なりとある。
苦笑しながら差し出されたハリセンを受け取る。
「そうそう壊れないとは思うけど、本当にこれでいいの?」
「問題ないです!」
それにストレス解消によさそうなんだもんねぇ…。
後日。このハリセンを神殿から求められたので、【聖剣】エメルディアにハリセンになれるか聞いてみたら、自分の方が役に立つからさっさと神殿に渡せと文句言われた。
……ホントにハリセンに変わったので、本気で驚いたのは内緒である。
※※※※※※※※
女神様がいなくなってから、レン兄様はさっさと『無職』になった連中を退場させて、仕切り直しとして私の手を取る。当然、エレはサラ姉様の手を取っている。
ど真ん中で二組で踊るのがまた、目立つ目立つ。
「いやぁ。私の予想以上の結果で大変嬉しいねぇ……」
踊りながらニコニコ笑うレン兄様。
「…わざと黙ってたよね?」
口を尖らせながらそう言うと、本当に申し訳なさそうな顔になった。
「悪かった…。まさかフレイアまで巻き込まれるとは思わなかったんだ…」
「おかげでエレが怒ったけどね……」
本気で怒ったエレは、私だって止められないのだ。勘弁して欲しい。
「だが、やっとあの無駄に太った能無しを引きずり下ろせた…。しかも自分の利用していた他ならぬ神直々の裁きだ……。いやあ、実に気分がいいな♪ざまあみやがれって叫びたいもんだ♪」
「気持ちは分かるけど、ここではやんないでよね……」
「…レオ。一応、私はこれでもこの国の王なんだが?」
「私やエレにとっては、ただの優しくて悪戯好きな尊敬するレン兄様だよ…」
「………そうか。………そうか……」
レン兄様の瞳は、少し潤んでいた。
「じゃあ、レオは尊敬する私のお願いを聞いてくれるよな?」
「は?」
とんでもなくいい笑顔で、踊り終わった瞬間、私はレン兄様に突き飛ばされていた。
「踊っといで♪」
「は?え?」
ポスンと誰かに受け止められ、慌てて離れようとしたら、手を取られてクルリと回された。
「ごめ「…『勇者』。一曲お相手願いたい…」」
謝る前に手を引かれ、腰を抱かれてそのまま流れ始めた曲に合わせて、私を誘導したのはガディルだったーーーー。
「…反省する気はないようですね。では、貴方には特別にこれを与えましょう…。『自宅警備員』」
「ぶっ」
女神様がそう言った瞬間、思わず噴き出してしまった。
大神殿長がニートって、ニートってぇぇぇっwww
必死で笑いを堪えてたら、いつの間にか決着がついてて、すぐ目の前に女神様がいた。
「…ディーが色々迷惑かけちゃって、ごめんね?」
「っ!」
さっきまでと違う口調に驚いてると、肩を竦めて私を見た。
「同郷のよしみで、私にできる範囲でお願い聞けるけど?」
「え?日本人?あ、それでさっきハリセン出てきたんだ…」
ハリセンを指さして笑い出すと、同郷だという女神様は、ハリセンを見下ろし差し出した。
「えっと……。いるなら、あげようか?」
「いいんですか?」
思わず声が大きくなったけど、気にしてらんない。だって、向こうの世界の記憶の一つだ。懐かしさも多少なりとある。
苦笑しながら差し出されたハリセンを受け取る。
「そうそう壊れないとは思うけど、本当にこれでいいの?」
「問題ないです!」
それにストレス解消によさそうなんだもんねぇ…。
後日。このハリセンを神殿から求められたので、【聖剣】エメルディアにハリセンになれるか聞いてみたら、自分の方が役に立つからさっさと神殿に渡せと文句言われた。
……ホントにハリセンに変わったので、本気で驚いたのは内緒である。
※※※※※※※※
女神様がいなくなってから、レン兄様はさっさと『無職』になった連中を退場させて、仕切り直しとして私の手を取る。当然、エレはサラ姉様の手を取っている。
ど真ん中で二組で踊るのがまた、目立つ目立つ。
「いやぁ。私の予想以上の結果で大変嬉しいねぇ……」
踊りながらニコニコ笑うレン兄様。
「…わざと黙ってたよね?」
口を尖らせながらそう言うと、本当に申し訳なさそうな顔になった。
「悪かった…。まさかフレイアまで巻き込まれるとは思わなかったんだ…」
「おかげでエレが怒ったけどね……」
本気で怒ったエレは、私だって止められないのだ。勘弁して欲しい。
「だが、やっとあの無駄に太った能無しを引きずり下ろせた…。しかも自分の利用していた他ならぬ神直々の裁きだ……。いやあ、実に気分がいいな♪ざまあみやがれって叫びたいもんだ♪」
「気持ちは分かるけど、ここではやんないでよね……」
「…レオ。一応、私はこれでもこの国の王なんだが?」
「私やエレにとっては、ただの優しくて悪戯好きな尊敬するレン兄様だよ…」
「………そうか。………そうか……」
レン兄様の瞳は、少し潤んでいた。
「じゃあ、レオは尊敬する私のお願いを聞いてくれるよな?」
「は?」
とんでもなくいい笑顔で、踊り終わった瞬間、私はレン兄様に突き飛ばされていた。
「踊っといで♪」
「は?え?」
ポスンと誰かに受け止められ、慌てて離れようとしたら、手を取られてクルリと回された。
「ごめ「…『勇者』。一曲お相手願いたい…」」
謝る前に手を引かれ、腰を抱かれてそのまま流れ始めた曲に合わせて、私を誘導したのはガディルだったーーーー。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる