双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第五章 そして新たな神話が生まれた

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[レオノーラ視点]

「…反省する気はないようですね。では、貴方には特別にこれを与えましょう…。『自宅警備員ニート』」

「ぶっ」

   女神様がそう言った瞬間、思わず噴き出してしまった。

   大神殿長がニートって、ニートってぇぇぇっwww

    必死で笑いを堪えてたら、いつの間にか決着ケリがついてて、すぐ目の前に女神様がいた。

「…ディーが色々迷惑かけちゃって、ごめんね?」

「っ!」

    さっきまでと違う口調に驚いてると、肩を竦めて私を見た。

同郷・・のよしみで、私にできる範囲でお願い聞けるけど?」

「え?日本人?あ、それでさっきハリセンそれ出てきたんだ…」

    ハリセンを指さして笑い出すと、同郷だという女神様は、ハリセンを見下ろし差し出した。

「えっと……。いるなら、あげようか?」

「いいんですか?」

    思わず声が大きくなったけど、気にしてらんない。だって、向こうの世界日本の記憶の一つだ。懐かしさも多少なりとある。
    苦笑しながら差し出されたハリセンそれを受け取る。

「そうそう壊れないとは思うけど、本当にこれでいいの?」

「問題ないです!」

   それにストレス解消によさそうなんだもんねぇ…。

   後日。このハリセンを神殿から求められたので、【聖剣】エメルディアにハリセンになれるか聞いてみたら、自分の方が役に立つからさっさと神殿に渡せと文句言われた。

    ……ホントにハリセンに変わったので、本気で驚いたのは内緒である。

※※※※※※※※

   女神様がいなくなってから、レン兄様はさっさと『無職』になった連中邪魔者を退場させて、仕切り直しとして私の手を取る。当然、エレはサラ姉様の手を取っている。
    ど真ん中で二組で踊るのがまた、目立つ目立つ。

「いやぁ。私の予想以上の結果で大変嬉しいねぇ……」

    踊りながらニコニコ笑うレン兄様。

「…わざと黙ってたよね?」

    口を尖らせながらそう言うと、本当に申し訳なさそうな顔になった。

「悪かった…。まさかフレイアまで巻き込まれるとは思わなかったんだ…」‬

「おかげでエレが怒ったけどね……」

    本気で怒ったエレは、私だって止められないのだ。勘弁して欲しい。

「だが、やっとあの無駄に太った能無しを引きずり下ろせた…。しかも自分の利用していた他ならぬ神直々の裁きだ……。いやあ、実に気分がいいな♪ざまあみやがれって叫びたいもんだ♪」

「気持ちは分かるけど、ここではやんないでよね……」

「…レオ。一応、私はこれでもこの国の王なんだが?」

「私やエレにとっては、ただの・・・優しくて悪戯好きな尊敬するレン兄様だよ…」

「………そうか。………そうか……」

   レン兄様の瞳は、少し潤んでいた。

「じゃあ、レオは尊敬する私のお願いを聞いてくれるよな?」

「は?」

   とんでもなくいい笑顔で、踊り終わった瞬間、私はレン兄様に突き飛ばされていた。

「踊っといで♪」

「は?え?」

   ポスンと誰かに受け止められ、慌てて離れようとしたら、手を取られてクルリと回された。

「ごめ「…『勇者』。一曲お相手願いたい…」」

    謝る前に手を引かれ、腰を抱かれてそのまま流れ始めた曲に合わせて、私を誘導したのはガディルだったーーーー。



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