双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第七章 神獣様と一緒!

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[エレオノール視点]

「嫌ですわっ!三日もきんちゃんと離れるなんてっ!!」

    エマが討伐に付いてこようとしたきんちゃんにしがみつき、泣いて訴えている。
    三日離れるだけでこれである。神界に帰る日なんか、どうなることかと今から心配だ。

「そもそも何できんちゃん、付いてこようと思ったの?」

    誰も口を挟めずにオロオロしていたところに、空気を読まずにそう言ったのはレオだ。誰かが小声で「さすが『勇者』…」とか言ってるけど、それ、違うんじゃない?

「最近、食べすぎで太ったクパ…」

    ものすごーく神妙そうな声でそう答えるきんちゃん。
    そう言われても見ている限り、太ったようには思えない。
    騎士のみんなも、きんちゃんを見ては首を傾げている。

「んー。言われてみれば、太ったのかな?」

   しれっときんちゃんを持ち上げて、レオはあちこちを見ている。

「レオ…。さすがに恥ずかしいクパ……」

    抱き上げられたきんちゃんは、そのままモジモジとしている。

    ……これ、もしかして恥じらってる?恥じらってるのっ!?

「え?恥ずかしかったの?ごめん、分かんなかったよ…」

    そっと地面に降ろされたきんちゃんは、トテトテとエマの側に行った。

「エマ。太り過ぎはよくないクパ!死ぬかもしれないんだクパ」

    突然の発言に、周囲も呆気に取られている。

「…いや。エマ、太ってないよね?」

    マイペースなレオはそう言いながら首を傾げている。

「食べたら動くクパ!健康第一クパッ!!」
 
    ドヤアと言わんばかりでそう言い切ったきんちゃんに、私達はどう答えるべきか分かりません。何でいきなり健康談議始まった!?

「エマは育ち盛りなんだクパ。よく食べ、よく寝て、よく動くと、健やかな成長にも繋がるクパ!」

「健やかな成長?」

「レオを見るクパ!」

    二人でじーっとレオを見る。

「え…、何……?」

   それはもう、上から下まで何往復も視線を巡らせて見るものだから、レオの口元が引きつってた。

「……成長……」

    エマは自分の胸に両手を当てて、視線をそこへ向けた。

『………』

    そこにいた皆はレオ以外、視線を逸らした。
    だってねぇ…。言いたいことが分かったとはいえ、私達男が口に出すのは………。

「分かりましたわ!健やかな成長目指して、きんちゃんの留守の間はがんばりますわっ!」

「美は一日にしてならず、クパ!」

    きんちゃんがグンとシッポを立てて体を縦に持ち上げると、ガシッと二人が手を取りあった。

『………』

   どこから突っ込めばいいのか、誰にも分からない。いや、本当に留守にしても大丈夫なのか不安がよぎる。

「レオ姉様っ!」

「はいっ!?」

    突然エマに名を呼ばれ、レオは姿勢を正して返事をする。

「わたくし、これより毎日、ドルビットと走り込み・・・・を致しますわ!走り込んで、たくさん食べて、ぐっすりと眠って、お姉様のようになりましてよ!!」

「……んん?」

    ビシッとレオを指差し、声高々に叫んだエマに、レオは首を傾げている。

    ………魔犬のドルビットと走り込むのは、レオみたいに《身体強化》と《瞬速》がないとキツいと思うよエマ…………。

    一抹の不安を残したまま、私達は討伐に向かったのだったーーーー。






   


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