双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第八章 魔導具の聖地?

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「………いや、何で先に来てるの?」

    レンドルに相談し、エレオノールとフレイアだけで挨拶に行けば良いという結論になり、二人でーー護衛騎士達は一応付いているーートワレ男爵領へと向かった。
    留守の間、三人で冒険者活動をしていると言っていたはずのレオノーラ達が、到着した男爵領の門の側で並んでいるのを見つけてしまい、冒頭の発言になる。

「ん?仕事だよ?魔導具の仕入れに来た商人の護衛の仕事・・・・・だね」

    にっこりと笑って答えるレオノーラの背後には、申し訳なさそうに立つアルテとクルトの姿があった。

「………兄様もグルだね…」

    『勇者』であるレオが、『聖女』の不在時に、王都から離れた国境の近くにある男爵領への仕事を、無許可で受けれるわけがないのだ。

    これ。始めからの計画だったのか。レオの粘り勝ちでこうなったのかが判断に困るよね……。

    己の半身のしつこさと、国王であるレンドルのイタズラ好き。どちらも有り得るので、判断に困るところである。救いはどちらも、無責任ではないということだろう。

「レオ様。宿泊先はどうされましたか?」

    エレオノールの後ろから、いつもの侍女服ではなく簡易なドレスを身につけたフレイアが現れ、レオノーラにそう訊ねる。

「帰りも護衛の仕事があるしね。商人の手配した宿に泊まるよ」

「そんな!狭くて古いですが、良ければ皆様も…」

「いやいやいや。フレイア殿。オレ達は仕事で来てるからね。冒険者としての仕事中だから、貴族の屋敷に泊まるわけにはいかないからね」

    仕えている主であるレオノーラのことを思っての発言だったが、アルテにより止められる。

「フレイア殿。ノーラは野営も野宿も慣れてます……。ええ、神官の僕より慣れてますよ…」

「そりゃそうでしょ。クルトと私じゃ、経験値違うもん。幾つから討伐してたと思ってんの?」

    自虐っぽく語るクルトに、レオノーラが呆れて言葉を返す。
    『勇者』と判明した七歳の日から、十年近く討伐に加わっているのだ。一人でだって余裕なのである。

「私達は仕事がてら、観光するだけ!エレとフレイアは婚約の挨拶をちゃんとして、家族として交流する!何の問題もないよね!」

    にっこり笑いながら、両側に並んだアルテ達の腕に、自身の腕を絡める。
    
「ですが、家族というのなら、やはりワタシはレオ様にも両親に会っていただきたいのですが…」

    少し残念そうに言うフレイアに、双子は何とも言えない顔をした。

「……お話中、よろしいですかな?」

   場が気まずい沈黙に沈む前に、飄々としてこ好々爺然とした風貌の老人が割り込んできた。
    


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