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第八章 魔導具の聖地?
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「ガンツ会頭。手続きが終わりましたか?」
話しかけてきた老人に、クルトが声をかける。
「ええ。護衛の皆さんの分も終わりましたのでな。そろそろ宿に移動するのでお声をかけに参ったのですよ」
「……商会の会頭自らがしなくてもいいのに……」
パッと見、商人と言うより、隠居の老人に見える格好をしているが、エルナンド商会の会頭であるガンツは、商人仲間からは変わり者として有名であった。
商会のトップながら、下っ端に混じって店の掃除はするし、店の前で呼び込みもする。
当然、トップがするのだからと、上層部の者達も掃除や呼び込みに加わるのだ。そして、偉ぶるわけでもない彼らに、下の者達も付いていくのだ。
さらには全員に決まった休日もあり、勤めている年数によっては、有給休暇なるものもある。
年二回。会頭の出資による慰労会も有名である。何しろ、勤めている者だけでなく、その家族も招いてのもの。王都にある会頭の屋敷が開放されて行われるのだ。
商会内だけの特別価格で店員や家族達が購入できるサービスもしており、他の商会と比べると待遇の良さは雲泥の差であり、勤める側からも人気の商会であった。
「いえいえ。他の者達はみな、仕事がありますからな。暇をしているワシがこれぐらいしなくてどうしますか」
カラカラと笑うガンツに、肩を竦めたレオノーラがエレオノール達を見た。
「まあ、そういうことだから、もう行くね!」
「…こっちはまあ、気にすんな…」
「ええ。お守りは任せてください…」
三者三葉の言葉をかけ、歩き出したガンツの後に続いていく。
「……本当に良かったのでしょうか?」
「大丈夫だよ。元々、平民の出なんだ。宿に泊まるくらいなんともないよ…」
そうして馬車に戻った二人は、門をくぐり抜けてトワレ男爵領へと到着した。
「……何か想像してたのと違う…」
窓から見える景色に、ポツリとエレオノールが呟く。
魔導具の聖地と呼ばれる場所だ。きっとあちこちに珍しい物が並んでいると思っていたのだが、見えるのは普通の街並み。いや、どちらかと言えば、他と比べて店らしき物が見当たらないのだ。
目につくのは、ほとんど食べ物の屋台や店である。
「……魔導具は用途ごとに売る店が別れてるんです。盗難防止や故障を防ぐために、全部室内での取引ですし、その……」
説明するフレイアの視線が泳ぎ始めた。
「そうですね。直接体験なさった方が分かりやすいと思います。時間が取れましたら、街を案内いたしますね」
大きく息を吐き出し、諦めるようにそう言ったフレイアに首を傾げながら、エレオノール達の乗った馬車は男爵家へと向かうのであったーーーー。
話しかけてきた老人に、クルトが声をかける。
「ええ。護衛の皆さんの分も終わりましたのでな。そろそろ宿に移動するのでお声をかけに参ったのですよ」
「……商会の会頭自らがしなくてもいいのに……」
パッと見、商人と言うより、隠居の老人に見える格好をしているが、エルナンド商会の会頭であるガンツは、商人仲間からは変わり者として有名であった。
商会のトップながら、下っ端に混じって店の掃除はするし、店の前で呼び込みもする。
当然、トップがするのだからと、上層部の者達も掃除や呼び込みに加わるのだ。そして、偉ぶるわけでもない彼らに、下の者達も付いていくのだ。
さらには全員に決まった休日もあり、勤めている年数によっては、有給休暇なるものもある。
年二回。会頭の出資による慰労会も有名である。何しろ、勤めている者だけでなく、その家族も招いてのもの。王都にある会頭の屋敷が開放されて行われるのだ。
商会内だけの特別価格で店員や家族達が購入できるサービスもしており、他の商会と比べると待遇の良さは雲泥の差であり、勤める側からも人気の商会であった。
「いえいえ。他の者達はみな、仕事がありますからな。暇をしているワシがこれぐらいしなくてどうしますか」
カラカラと笑うガンツに、肩を竦めたレオノーラがエレオノール達を見た。
「まあ、そういうことだから、もう行くね!」
「…こっちはまあ、気にすんな…」
「ええ。お守りは任せてください…」
三者三葉の言葉をかけ、歩き出したガンツの後に続いていく。
「……本当に良かったのでしょうか?」
「大丈夫だよ。元々、平民の出なんだ。宿に泊まるくらいなんともないよ…」
そうして馬車に戻った二人は、門をくぐり抜けてトワレ男爵領へと到着した。
「……何か想像してたのと違う…」
窓から見える景色に、ポツリとエレオノールが呟く。
魔導具の聖地と呼ばれる場所だ。きっとあちこちに珍しい物が並んでいると思っていたのだが、見えるのは普通の街並み。いや、どちらかと言えば、他と比べて店らしき物が見当たらないのだ。
目につくのは、ほとんど食べ物の屋台や店である。
「……魔導具は用途ごとに売る店が別れてるんです。盗難防止や故障を防ぐために、全部室内での取引ですし、その……」
説明するフレイアの視線が泳ぎ始めた。
「そうですね。直接体験なさった方が分かりやすいと思います。時間が取れましたら、街を案内いたしますね」
大きく息を吐き出し、諦めるようにそう言ったフレイアに首を傾げながら、エレオノール達の乗った馬車は男爵家へと向かうのであったーーーー。
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