双子の姉は『勇者』ですが、弟の僕は『聖女』です。

ミアキス

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第九章 他国訪問〔グラシア王国〕

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[エレオノール視点]

「ガディル!ガディル、ガディル、ガディルーーーッ!!」

「ふおっ!どどど、どうした、レオ??」

    本日。ヒューゲル王国で十年に一度開催されるという 【王国会議】に魔族領から魔王様と共に参加するために来た殿下を見るなり、名前を連呼しながらレオから・・・・殿下に抱きついた。多分、レオからは初めてのはず。
    その証拠に殿下の手が抱きしめていいのか分からずに、ワタワタしています。

「……あれ。絶対、殿下で遊んでっだろ……」

    ボソッと呟くアルテの声が聞こえます。正解です。ストレス溜まってたから、八つ当たりも兼ねてる気がします。

    前回の【王国会議】。私達は王都ここに慣れたのか分からない微妙な時期であり、緊急の討伐依頼が出ていたこともあって不在でした。
    そもそもド田舎の平民の子供が【王国会議】の存在なんて知るわけもなく。まして、それに参加させられるなんて思ってなかったのに、ミカナ様の降臨やきんちゃんの話が各国に広まり、さらには『勇者』であるレオが、魔族領の王太子の番と判明したために、何故か・・・各国を回ることが決定していました。

    つまり、訪問する先に必要な知識を詰め込んどけって事だったんだけど……。

    じっとしているのが耐えられなくなったレオが、涙目で逃亡したのは、ミカナ様の神殿。丸一日立てこもり。戻ってきた時には何故か、全部答えられるようになっていた。

「«困った時の神頼み»!で、新しいスキル貰ってきた!!」

   胸を張って自慢したレオの後ろには、イイ笑顔の・・・・・バル様が立ってることにも気づいてませんでした。

    どんだけ嫌だったんだろ、詰め込み学習……。

    あの後、手に入れた《状態ステータス》というスキルの確認を行われ、終わった頃には屍のようになってました。まあ、翌日にはミカナ様から《神託オラクル》で私も貰ってしまって助かったのだけど……。

「あれ?」

    ふと気づけば、殿下の側にステータス画面が浮かんでいた。見えるのは私達双子だけなので、レオが殿下を見ていたのだろうけれど。

    なんか、最後にすごいのあるなぁ…………。

    レオもそこを見終わったらしく、真っ赤になって口をはくはくさせながら、殿下の顔を見上げていた。

「?どうした、レオ?」

「~~~~っ!!…何でもない………」

    悔しそうに俯いてそう答えるレオ。

    そうだよね。殿下は私達がステータス画面が見えるなんて知らないんだから、レオが見た物それで文句を言うことは出来ないわけで……。

    つまり、レオは知らないふりをするしかないのだ。
    ちなみに私がすごいと思ったのは、殿下のステータス画面に表示されていた【今後の目標】というところ。

    【今後の目標】
    ・結婚したら、数年置きに子供を作る。最低でも十人は産ませる!

    うん。産ませる!・・・・・って断言してるよね。番は両者が望まなければ子供を作れないと言ってたから、レオの意識をそちらに持っていかせるようにできるってことなんだろう。

    ……レオ。頑張って…………。

    私も見なかったことにしたーーーー。






    
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