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第九章 他国訪問〔グラシア王国〕
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[アルテ視点]
「………天国か……」
【王国会議】はさっさと終わりーそもそも今回の議題は双子の訪問の日付と順番決めがメインだったらしいー、現在は王妃の生国ということで、一番手のグラシア王国に来ております。
そして、現在は歓迎の夜会の真っ最中。
テーブルに並べられていた料理を見たレオは、目を輝かせてます。ええ、料理見て。
「グラシア王国は独特の料理があると聞いていたが、レオはこういうのが好みなのか?」
レオの隣をちゃっかり押さえているガディル殿下が、不思議そうに料理を見ておられます。
一応、レオは女性ということで、本来ならばエスコート役がいない場合は、相手国の王族の方やそれに近い立場の方にエスコートされるのですが、
「俺の番を他の男に触られるのは好かん!」
と、【王国会議】で言い切った殿下は、しっかりと各国訪問に同伴されることが決まりました。
長命な魔族に逆らうのは悪手ですし、実際レオは殿下の番なので認められましたが、一部の王族の方は肩を落としていたそうです。
いや。もうレオは殿下のお手つきですから、殿下付いてなくてもチャンスはないですよ……。
最も、ガディル殿下の同伴を真っ先に賛成されたのはグラシア王国の国王様だったとかで、レオの中では好感度爆上がりの方です。
「前にいた世界の料理に近いから、懐かしい♪」
「「っ!?」」
取り皿にひょいひょいと取っていた料理を口にして、全開の笑顔です。隣で直撃食らった殿下は、耳まで真っ赤です。
対するオレは真っ青です。
おま……。真正面にいた第一王子にまで、被弾してるじゃねえかよっ!!
グラシア王国の第一王子には現在、婚約者が不在です。色々あって、婚約が取り消されたそうですが、本日のレオは『勇者』の装いでなくドレス姿です。
『お前、誰だよ!詐欺だろ、それっ!!』
と、同年代の騎士達に泣き叫ばれたレオのドレス姿。
その姿で全開の笑顔です。場所的に第一王子に微笑んだみたいにも見えた、あれ……。
第一王子は真っ赤になりつつも、視線がずっとレオにクギ付けです。
殿下とダンスを踊っている間も、他の令嬢には目もくれず、ひたすらにレオを目が追っています。
相手にされてない令嬢達の嫉妬の視線が、全部にレオに向いてんのがまた怖ぇぇ………。
対して令嬢方に囲まれてもおかしくないはずのエレは、何とご年配の方々に囲まれてます。
「肩の具合が宜しくないのではありませんか?」
「おや?見ただけで分かるのですか?ええ。最近、特に…」
いや、あれ絶対。スキル使ってるだろ。絶対、令嬢避けにするために、周り囲むように誘導してるだろ……。
フレイア嬢は今回、エレとの婚礼の準備のため同行できず、同行しているのは侍女長のダリヤ殿なので、夜会は参加出来ずに留守番です。なので、入場の際には、ガディル殿下とレオを真ん中にしての入場でした。
軽めの症状の方々を治癒し、症状の深刻な方々が完全に周りを囲んで話してます。深刻な方は当然老齢の方々が多く、たいていお持ちの権力も身分も上の方の方々。
そんな中に割って入るとしたら、王家の方々か、頭の悪い連中です。
「まあ。皆様がそのように囲んでしまわれては、華やかさが足りませんわ♪」
……いました。割って入るご令嬢が。
事前に王妃様からいただいた情報通りなら、あの方は第三王女のサラディナーサ様のはず。
このお名前。王妃様と間違えやすいので、変えるようにとグラシア国王に言われたそうですが、
『我が子に付けたい名前すら付けさせていただけないなら、神殿に入ります!!』
と、駄々をこねられて押し通したのだとか。
当時、皆から『サラ様』と呼ばれていた王妃様は、母親の公爵夫人が『ディール』と呼び始められたので、すぐに混乱することなく収まったのだとか。
そして、『サラ』と我が子を呼ばせて、今までの王妃様の噂をご自身の娘に繋げようとお考えだったのでしょう。
グラシア国王より、『ナーサ』と呼ばれた姫君。
そうなると、側仕え以外はみな、『ナーサ様』と呼び始めたので、またもや陛下達を相手に『サラ』呼びを強要しようとし、夜会の場で公爵夫人の返り討ちにあったとかなかったとか……。
そんな母親に育てられた姫君は、ことある事に王妃様に所謂イチャモンをつけていたそうです。
うちに嫁ぐ時も、本来なら自分が嫁ぐべきだとか騒いだそうですが、我らが陛下の
『我妻に求むはサラディール姫のみ。彼女以外が嫁いで来ると言うなら、今後のグラシア王国との関係は良くないものとなりましょう』
との言葉に、陛下が滞在している間は、お二人は部屋に監禁されていたそうです。
そして、未だに姫君のまま……。
…………ねぇわ。エレ狙ってんだろうけど、エレの一番嫌いなタイプだし、年の差考えてくれって話だろ……。
「………天国か……」
【王国会議】はさっさと終わりーそもそも今回の議題は双子の訪問の日付と順番決めがメインだったらしいー、現在は王妃の生国ということで、一番手のグラシア王国に来ております。
そして、現在は歓迎の夜会の真っ最中。
テーブルに並べられていた料理を見たレオは、目を輝かせてます。ええ、料理見て。
「グラシア王国は独特の料理があると聞いていたが、レオはこういうのが好みなのか?」
レオの隣をちゃっかり押さえているガディル殿下が、不思議そうに料理を見ておられます。
一応、レオは女性ということで、本来ならばエスコート役がいない場合は、相手国の王族の方やそれに近い立場の方にエスコートされるのですが、
「俺の番を他の男に触られるのは好かん!」
と、【王国会議】で言い切った殿下は、しっかりと各国訪問に同伴されることが決まりました。
長命な魔族に逆らうのは悪手ですし、実際レオは殿下の番なので認められましたが、一部の王族の方は肩を落としていたそうです。
いや。もうレオは殿下のお手つきですから、殿下付いてなくてもチャンスはないですよ……。
最も、ガディル殿下の同伴を真っ先に賛成されたのはグラシア王国の国王様だったとかで、レオの中では好感度爆上がりの方です。
「前にいた世界の料理に近いから、懐かしい♪」
「「っ!?」」
取り皿にひょいひょいと取っていた料理を口にして、全開の笑顔です。隣で直撃食らった殿下は、耳まで真っ赤です。
対するオレは真っ青です。
おま……。真正面にいた第一王子にまで、被弾してるじゃねえかよっ!!
グラシア王国の第一王子には現在、婚約者が不在です。色々あって、婚約が取り消されたそうですが、本日のレオは『勇者』の装いでなくドレス姿です。
『お前、誰だよ!詐欺だろ、それっ!!』
と、同年代の騎士達に泣き叫ばれたレオのドレス姿。
その姿で全開の笑顔です。場所的に第一王子に微笑んだみたいにも見えた、あれ……。
第一王子は真っ赤になりつつも、視線がずっとレオにクギ付けです。
殿下とダンスを踊っている間も、他の令嬢には目もくれず、ひたすらにレオを目が追っています。
相手にされてない令嬢達の嫉妬の視線が、全部にレオに向いてんのがまた怖ぇぇ………。
対して令嬢方に囲まれてもおかしくないはずのエレは、何とご年配の方々に囲まれてます。
「肩の具合が宜しくないのではありませんか?」
「おや?見ただけで分かるのですか?ええ。最近、特に…」
いや、あれ絶対。スキル使ってるだろ。絶対、令嬢避けにするために、周り囲むように誘導してるだろ……。
フレイア嬢は今回、エレとの婚礼の準備のため同行できず、同行しているのは侍女長のダリヤ殿なので、夜会は参加出来ずに留守番です。なので、入場の際には、ガディル殿下とレオを真ん中にしての入場でした。
軽めの症状の方々を治癒し、症状の深刻な方々が完全に周りを囲んで話してます。深刻な方は当然老齢の方々が多く、たいていお持ちの権力も身分も上の方の方々。
そんな中に割って入るとしたら、王家の方々か、頭の悪い連中です。
「まあ。皆様がそのように囲んでしまわれては、華やかさが足りませんわ♪」
……いました。割って入るご令嬢が。
事前に王妃様からいただいた情報通りなら、あの方は第三王女のサラディナーサ様のはず。
このお名前。王妃様と間違えやすいので、変えるようにとグラシア国王に言われたそうですが、
『我が子に付けたい名前すら付けさせていただけないなら、神殿に入ります!!』
と、駄々をこねられて押し通したのだとか。
当時、皆から『サラ様』と呼ばれていた王妃様は、母親の公爵夫人が『ディール』と呼び始められたので、すぐに混乱することなく収まったのだとか。
そして、『サラ』と我が子を呼ばせて、今までの王妃様の噂をご自身の娘に繋げようとお考えだったのでしょう。
グラシア国王より、『ナーサ』と呼ばれた姫君。
そうなると、側仕え以外はみな、『ナーサ様』と呼び始めたので、またもや陛下達を相手に『サラ』呼びを強要しようとし、夜会の場で公爵夫人の返り討ちにあったとかなかったとか……。
そんな母親に育てられた姫君は、ことある事に王妃様に所謂イチャモンをつけていたそうです。
うちに嫁ぐ時も、本来なら自分が嫁ぐべきだとか騒いだそうですが、我らが陛下の
『我妻に求むはサラディール姫のみ。彼女以外が嫁いで来ると言うなら、今後のグラシア王国との関係は良くないものとなりましょう』
との言葉に、陛下が滞在している間は、お二人は部屋に監禁されていたそうです。
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