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閑話 11
そして、彼らは凝りもせず…
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ヒューゲル王国の近衛騎士団と言えば、騎士職に憧れる者達の最終目標である。
そんな近衛騎士団も、現在は国内に『勇者』と『聖女』を王家に迎え、彼らの討伐に同伴する者達と、王族に仕える者達へと別れている。
「討伐隊の皆を王族近衛騎士団と同じに思うのは、ものすご~く失礼だと思うんだけどね」
そんな彼らにこんな事を言うのは、女性の身なれど『勇者』であるレオノーラである。
「近衛騎士団って言うと、ピシッと決まった貴族の騎士達って感じだもんねぇ…」
そして、そう返すのは男なのに創造神の手違いにより『聖女』とされてしまったエレオノールであった。
「仕方ないだろ…。討伐隊には平民上がりが多く入ってるんだから…」
討伐隊の分隊長を務め、近衛騎士団長を父に持っているアルテは、今日も今日とて双子のお守りであった。
「まあ、お陰でものすごく、気が楽~♪」
気が楽というより、容赦ないというのが実情である。何せ、双子は一時期性別不詳の状態で、華奢な少年『勇者』と清楚な『聖女』が、実は美少女『勇者』と手違い『聖女』と判明した時の、討伐隊所属の騎士達の動揺はすごかったのである。
ある者は詐欺だと嘆き、ある者は歓喜した。
ちなみに後者の者達は、レオが女性と分かるなり、練習中にちょっかいをかけて、ド派手に痛い目に合っている。
レオに絡もうとする新入り達は、彼女を娘や妹のように可愛がっていた先輩達に、とことんまで扱かれ、追い討ちでレオにまとめてぶっ飛ばされる日々を過ごす羽目になった。
ぶっ飛ばされる回数が減る頃には、レオに対して、
「もう少し色気出せ。殿下、かわいそーだろーがよー」
とか。
「お前に恥じらいや優しさはないのかっ!」
などと言うほどにまでなった。
そして、彼らは久しぶりにやらかしたのである。
ユーディアナでの女郎蜘蛛討伐の際、夜這い大歓迎と待ち構えていたら、男としてのプライドをズタボロにされ、レオに対して口を滑らせたが為に、魔物と二人きりの密着討伐などという生き地獄をもたらされたのである。
さらには、その後の一言により、各自の部屋に女郎蜘蛛の上半身を飾られるという体験をし、やっと手に入れた給料を手にした彼らは、休みの前日の夜。馴染みの娼館へと繰り出したのである。
そして、彼らは久々の生身の女性に、いい気になったのである。
「他の連中は二人か三人じゃねえと、倒せない魔物をオレ達は一人で倒せるんだぜっ!」
倒せたのは範囲内に《自動回復》を仕込んでいたレオのおかげであることを、彼らは忘れていた。
「えー。騎士様。すごぉいっ♪」
チヤホヤされて、さらにいい気になった彼らは、さらに大口をたたいた。
「『勇者』や『聖女』っつーても、所詮ガキだからな!オレらが支えてやんなきゃ、無理なんだよ!」
「………」
彼らは知らなかった。男の憧れの集まった娼館のお姉さん方が、実は『勇者』を妹のように可愛がってるほどの付き合いをしている事を。
そして、レオが体調を崩した彼女達を無償で治療していたために、背後に立っていたことにも気づいていなかった。
酒を飲んでいい気分になった彼らは、それぞれのお気に入りのお姉さんと部屋に行こうとした途端、軽く目眩がした事に気が付かなかった。
「う………」
いつの間に気を失っていたのか、彼らは目を覚ますと何も無い空間にいた。
「何だ、ここ?」
「オレら、娼館にいなかったか?」
周りには霧が充満しており、足元が見えにくくなっていた。
「あー。騎士様、見ぃつけた♪」
さっきまで一緒にいたお姉さん方の声に、彼らは顔をだらしない程に緩ませた。
「何処行ってたん…」
近づいてきたお姉さん方の姿に、彼らは目を擦り始めた。
「騎士様達ってぇ、一人であたし達を倒せるんでしょぉー?だったら、ちゃあんと倒してねぇ♪」
「「「ひいいいっ!!」」」
好みのお姉さん方の下半身は、彼らがもう二度と見たくないと思っていた女郎蜘蛛と同じ、蜘蛛だった。
カサカサと近寄るお姉さん方に、武器も何も無い彼らは悲鳴をあげて逃げ回る。
「ねーぇ。どーして逃げるのぉ?楽しみましょーよー♪」
「か、勘弁してくれぇっ!!」
必死で逃げてる内に、彼らの足はもつれ始め、次第にお姉さん方の腕の中に捕らわれていく。
「た、たすけてくれぇぇっ!!」
彼らの叫びに助けは現れなかったーーーー。
「………で?」
部下達の馴染みの娼館に呼び出されたアルテは、ニコニコ笑いながら、目の前に座るレオを見た。笑っているのは顔だけで、目はかなり本気で怒っている。
「……ちょっとしたガキの悪戯です…」
彼らの発言に少ーしだけムカついたレオは、彼らが夢心地に浸る手前で、《睡眠》をかけた。
しかも律義に《悪夢》まで上掛けしたのだ。
結果。
恐怖のあまり、白目を向いたまま、朝になっても起きない彼らを引き取って欲しいと呼び出されたのが、アルテである。
「…そもそもガキは娼館には来ねえからな…」
「やあね。分隊長さん♪それを言ったら、レオちゃんみたいな女の子もお客さんでは来ないのが普通よォ」
『ねー?』
売れっ子の娼婦がレオを自分の胸に抱き寄せると、周りの娼婦達も手を伸ばしてレオを触りまくった。
「このお客さん達。あんまり行儀のいいお客さんじゃなかったのよねぇ。これを機に反省してくれると助かるわぁ♪」
仕方なく連れ帰られた彼らは、目を覚ましたのが各自の部屋であったため、あれは夢かと喜んだものの、しばらくは娼館に行かなくなったらしいーーーー。
そんな近衛騎士団も、現在は国内に『勇者』と『聖女』を王家に迎え、彼らの討伐に同伴する者達と、王族に仕える者達へと別れている。
「討伐隊の皆を王族近衛騎士団と同じに思うのは、ものすご~く失礼だと思うんだけどね」
そんな彼らにこんな事を言うのは、女性の身なれど『勇者』であるレオノーラである。
「近衛騎士団って言うと、ピシッと決まった貴族の騎士達って感じだもんねぇ…」
そして、そう返すのは男なのに創造神の手違いにより『聖女』とされてしまったエレオノールであった。
「仕方ないだろ…。討伐隊には平民上がりが多く入ってるんだから…」
討伐隊の分隊長を務め、近衛騎士団長を父に持っているアルテは、今日も今日とて双子のお守りであった。
「まあ、お陰でものすごく、気が楽~♪」
気が楽というより、容赦ないというのが実情である。何せ、双子は一時期性別不詳の状態で、華奢な少年『勇者』と清楚な『聖女』が、実は美少女『勇者』と手違い『聖女』と判明した時の、討伐隊所属の騎士達の動揺はすごかったのである。
ある者は詐欺だと嘆き、ある者は歓喜した。
ちなみに後者の者達は、レオが女性と分かるなり、練習中にちょっかいをかけて、ド派手に痛い目に合っている。
レオに絡もうとする新入り達は、彼女を娘や妹のように可愛がっていた先輩達に、とことんまで扱かれ、追い討ちでレオにまとめてぶっ飛ばされる日々を過ごす羽目になった。
ぶっ飛ばされる回数が減る頃には、レオに対して、
「もう少し色気出せ。殿下、かわいそーだろーがよー」
とか。
「お前に恥じらいや優しさはないのかっ!」
などと言うほどにまでなった。
そして、彼らは久しぶりにやらかしたのである。
ユーディアナでの女郎蜘蛛討伐の際、夜這い大歓迎と待ち構えていたら、男としてのプライドをズタボロにされ、レオに対して口を滑らせたが為に、魔物と二人きりの密着討伐などという生き地獄をもたらされたのである。
さらには、その後の一言により、各自の部屋に女郎蜘蛛の上半身を飾られるという体験をし、やっと手に入れた給料を手にした彼らは、休みの前日の夜。馴染みの娼館へと繰り出したのである。
そして、彼らは久々の生身の女性に、いい気になったのである。
「他の連中は二人か三人じゃねえと、倒せない魔物をオレ達は一人で倒せるんだぜっ!」
倒せたのは範囲内に《自動回復》を仕込んでいたレオのおかげであることを、彼らは忘れていた。
「えー。騎士様。すごぉいっ♪」
チヤホヤされて、さらにいい気になった彼らは、さらに大口をたたいた。
「『勇者』や『聖女』っつーても、所詮ガキだからな!オレらが支えてやんなきゃ、無理なんだよ!」
「………」
彼らは知らなかった。男の憧れの集まった娼館のお姉さん方が、実は『勇者』を妹のように可愛がってるほどの付き合いをしている事を。
そして、レオが体調を崩した彼女達を無償で治療していたために、背後に立っていたことにも気づいていなかった。
酒を飲んでいい気分になった彼らは、それぞれのお気に入りのお姉さんと部屋に行こうとした途端、軽く目眩がした事に気が付かなかった。
「う………」
いつの間に気を失っていたのか、彼らは目を覚ますと何も無い空間にいた。
「何だ、ここ?」
「オレら、娼館にいなかったか?」
周りには霧が充満しており、足元が見えにくくなっていた。
「あー。騎士様、見ぃつけた♪」
さっきまで一緒にいたお姉さん方の声に、彼らは顔をだらしない程に緩ませた。
「何処行ってたん…」
近づいてきたお姉さん方の姿に、彼らは目を擦り始めた。
「騎士様達ってぇ、一人であたし達を倒せるんでしょぉー?だったら、ちゃあんと倒してねぇ♪」
「「「ひいいいっ!!」」」
好みのお姉さん方の下半身は、彼らがもう二度と見たくないと思っていた女郎蜘蛛と同じ、蜘蛛だった。
カサカサと近寄るお姉さん方に、武器も何も無い彼らは悲鳴をあげて逃げ回る。
「ねーぇ。どーして逃げるのぉ?楽しみましょーよー♪」
「か、勘弁してくれぇっ!!」
必死で逃げてる内に、彼らの足はもつれ始め、次第にお姉さん方の腕の中に捕らわれていく。
「た、たすけてくれぇぇっ!!」
彼らの叫びに助けは現れなかったーーーー。
「………で?」
部下達の馴染みの娼館に呼び出されたアルテは、ニコニコ笑いながら、目の前に座るレオを見た。笑っているのは顔だけで、目はかなり本気で怒っている。
「……ちょっとしたガキの悪戯です…」
彼らの発言に少ーしだけムカついたレオは、彼らが夢心地に浸る手前で、《睡眠》をかけた。
しかも律義に《悪夢》まで上掛けしたのだ。
結果。
恐怖のあまり、白目を向いたまま、朝になっても起きない彼らを引き取って欲しいと呼び出されたのが、アルテである。
「…そもそもガキは娼館には来ねえからな…」
「やあね。分隊長さん♪それを言ったら、レオちゃんみたいな女の子もお客さんでは来ないのが普通よォ」
『ねー?』
売れっ子の娼婦がレオを自分の胸に抱き寄せると、周りの娼婦達も手を伸ばしてレオを触りまくった。
「このお客さん達。あんまり行儀のいいお客さんじゃなかったのよねぇ。これを機に反省してくれると助かるわぁ♪」
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