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第十一章 家族は家族
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「次の他国訪問の前に、二人ともフレイアを連れて出かけてくるように…」
ある日の朝食時。突然のレンドルの発言に、双子は言葉もなく彼を見た。
「〖レンドルの花冠〗として、フレイアの護衛という形ならば、出かけてもバレないだろう?」
にこやかにレンドルはそう言っているが、双子の性別が判明した時点で、勘のいい冒険者達は、双子の正体に気づいているのだ。
気づいていても黙っているのは、自分達では達成不可能な依頼も、〖レンドルの花冠〗としての彼らになら、受けてもらえるからだ。
民に寄り添う双子の気持ちに、冒険者達も同調しているからこそ、騒ぎになっていないだけである。
「それって、五人で旅に出ろってことだよね?何処に行くの?」
ペロリと朝食を平らげ、口直しに水を飲んだレオが首を傾げた。
「行くのは、とある街の救護院だ。内緒のお使いだな♪」
内緒のお使いだと言いながら、フレイアを同行させるという時点で、恐らく自分達の両親に会いに行くのだろうと、レオは予想をしていた。
「……いや。なんで居るの…」
出発当日、急遽一人増えたという同行者を見るなり、レオは溜息をつきながらそう言った。
「なんだ?俺が付いて行くのが不満か?」
髪の色を銀から黒へと変えて、駆け出し冒険者のような姿で立っていたのは、レオの婚約者にして番でもあるガディルだった。
「いや、不満とかじゃなくてね?仕事はどうしたのさ、王太子殿下……」
魔族領の王太子だと言うのに、ガディルは先の他国訪問にも、レオの番として同行していたのだ。
そろそろ仕事がヤバいくらいに溜まっているのではないかと、心配になってくる。
「特に問題は無い。ラムダスも残っているしな…。そもそも、俺以外の男と旅に出るなど許さん!」
「結局、そこかっ!?」
小気味よいくらいに潔く言い切ったガディルに、同伴するアルテとクルトは苦笑した。
そもそもガディルの心配は意味が無いのだ。
エレはレオの双子の弟だし、アルテは新婚。クルトは神官なのである。
まあ、本来の目的は陛下からお聞きしたんだろうなぁ……。
と、護衛二人は心の中で納得する。
ただ一人。ガディルとほとんど接触のなかったフレイアは、どうしたものかと固まっている。
「……フレイア。考えるだけ無駄だし、私と結婚したら殿下はフレイアの義兄になる方だよ?」
「っ!?」
この一言で、フレイアは完全に混乱した。
一介の男爵令嬢の自分が、『聖女』であるエレの婚約者となっただけでも、いっぱいいっぱいだと言うのに、さらに魔族領とは言え、王族も身内になるのだ。
無理です、エレ様……。
既にこの旅から逃げ出したくなっている。
「はあ!?んなわけないでしょっ!馬鹿じゃないのっ!!」
最初の宿で、取れた部屋は二人部屋と四人部屋。ガディルは当たり前のようにレオと二人部屋に入ろうとして殴られた。
「何故だっ!?」
「フレイアがいるんだから、私とフレイアが二人部屋に決まってるでしょうがっ!!」
呆気に取られるフレイアの手を取り、レオはさっさと二人部屋へと入っていく。
「………なるほど?」
あ、これ。理解してないぞ…。
残された三人は、部屋に入ると今後の部屋割りについて、詳しくガディルに説明するのであったーーーー。
ある日の朝食時。突然のレンドルの発言に、双子は言葉もなく彼を見た。
「〖レンドルの花冠〗として、フレイアの護衛という形ならば、出かけてもバレないだろう?」
にこやかにレンドルはそう言っているが、双子の性別が判明した時点で、勘のいい冒険者達は、双子の正体に気づいているのだ。
気づいていても黙っているのは、自分達では達成不可能な依頼も、〖レンドルの花冠〗としての彼らになら、受けてもらえるからだ。
民に寄り添う双子の気持ちに、冒険者達も同調しているからこそ、騒ぎになっていないだけである。
「それって、五人で旅に出ろってことだよね?何処に行くの?」
ペロリと朝食を平らげ、口直しに水を飲んだレオが首を傾げた。
「行くのは、とある街の救護院だ。内緒のお使いだな♪」
内緒のお使いだと言いながら、フレイアを同行させるという時点で、恐らく自分達の両親に会いに行くのだろうと、レオは予想をしていた。
「……いや。なんで居るの…」
出発当日、急遽一人増えたという同行者を見るなり、レオは溜息をつきながらそう言った。
「なんだ?俺が付いて行くのが不満か?」
髪の色を銀から黒へと変えて、駆け出し冒険者のような姿で立っていたのは、レオの婚約者にして番でもあるガディルだった。
「いや、不満とかじゃなくてね?仕事はどうしたのさ、王太子殿下……」
魔族領の王太子だと言うのに、ガディルは先の他国訪問にも、レオの番として同行していたのだ。
そろそろ仕事がヤバいくらいに溜まっているのではないかと、心配になってくる。
「特に問題は無い。ラムダスも残っているしな…。そもそも、俺以外の男と旅に出るなど許さん!」
「結局、そこかっ!?」
小気味よいくらいに潔く言い切ったガディルに、同伴するアルテとクルトは苦笑した。
そもそもガディルの心配は意味が無いのだ。
エレはレオの双子の弟だし、アルテは新婚。クルトは神官なのである。
まあ、本来の目的は陛下からお聞きしたんだろうなぁ……。
と、護衛二人は心の中で納得する。
ただ一人。ガディルとほとんど接触のなかったフレイアは、どうしたものかと固まっている。
「……フレイア。考えるだけ無駄だし、私と結婚したら殿下はフレイアの義兄になる方だよ?」
「っ!?」
この一言で、フレイアは完全に混乱した。
一介の男爵令嬢の自分が、『聖女』であるエレの婚約者となっただけでも、いっぱいいっぱいだと言うのに、さらに魔族領とは言え、王族も身内になるのだ。
無理です、エレ様……。
既にこの旅から逃げ出したくなっている。
「はあ!?んなわけないでしょっ!馬鹿じゃないのっ!!」
最初の宿で、取れた部屋は二人部屋と四人部屋。ガディルは当たり前のようにレオと二人部屋に入ろうとして殴られた。
「何故だっ!?」
「フレイアがいるんだから、私とフレイアが二人部屋に決まってるでしょうがっ!!」
呆気に取られるフレイアの手を取り、レオはさっさと二人部屋へと入っていく。
「………なるほど?」
あ、これ。理解してないぞ…。
残された三人は、部屋に入ると今後の部屋割りについて、詳しくガディルに説明するのであったーーーー。
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