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第一章 侯爵家は混乱する
次代に不安はない…多分…
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ラフィンの言葉に、侯爵夫妻はじっとスクロールを見つめていた。
「…あっ!今、幾つか消えて、一つになりましたわ!」
エマリーの指さした箇所の文字が生きているように増減していく。
《体力》、《気力》、《忍耐》、《集中》、の文字がフッと消えると、新たに《気合い》の文字が現れた。
そんな感じで次々と文字が増減していく様は確かにスクロールが生きているようにも見えた。
「これは一体……」
スヴェンはゴクリと固唾を飲んで、スクロールを見続けることしか出来なかった。
「変だ…。レベルが上がらない状態で、何でこんなに複合されてるんだ?」
カフィルの言葉に、ラフィンがスっと変動していない箇所に指を置いた。
「カフィル様。ここ、《開眼》スキルあります。しかも既にレベルが9です…」
「「「は?9ぅ?」」」
三人の視線がそこに向かうと、間違いなくそう記されていた。
「《開眼》スキルは確かスキルの取得率も複合スキルの変換率も高くなるスキルでしたよね?若様は既にレベルが9で…」
話している間に9の文字が消え、MAXと表示される。
「「「「…………」」」」
無言になる四人。
部屋にはコポコポとフェリテがカップに茶を注ぐ音だけが響いた。
「…とりあえずお茶飲んで、一旦落ち着いて下さいませ」
テーブルの側にワゴンを運び、フェリテが声をかける。
「そ、そうだな。見ていても解決しなさそうだし、一旦落ち着こう……」
スヴェンの言葉にカフィルがスクロールをしまうと、手際よくフェリテがカップを置いていく。
「貴女たちもお座りなさいな」
エマリーの言葉に頭を下げるものの、座る場所で二人は悩んだ。
「私はこちらで、若様を見ておりますので…」
フェリテは奥にあった従者用の簡易椅子を持ち、カゴの中で眠っているエヴァンの側に逃げた。
そう。逃げたのである…。
ーーあたしの頭でこれ以上は判断無理!
フェリテは『護衛メイド』ではあるが、武力寄りの脳筋メイドな為、自らの保身に走った。
「んじゃ、ラフィンは僕の隣においで~♪」
ニコニコ笑うカフィルが、自分の隣をポンポンと叩きながら呼ぶ姿に、ラフィンの頬が引き攣った。
ーーフェリテ~~~ッ!あんた、押し付ける気ね!!
キッと一瞬、鋭い視線をフェリテに向ける。
ーーごめん、任せた!あたしは無理!
フッと冷めた笑みを口許に浮かべ、視線で返答するフェリテ。
「ラフィン?早くおいで?」
侯爵夫妻とカフィルの視線に、仕方なく腰を下ろすと、嬉しげにカフィルがラフィンの手を握る。
「ラフィンはホントに『護衛メイド』になったんだねぇ…。あんなに泣き虫だった「いーまーは、昔話をしてる場合じゃないですからねっ!」」
一刀両断である。
「……うちの子が冷たい……」
「まあ、カフィル様。ラフィンは昔からこうですわ?」
首を傾げるエマリーの隣でウンウンと頷くスヴェン。
「そうなの?僕が引き取った時には、だいぶ落ち着いてたけど、昔はほんっとーに「だーかーらー。私の話持ち出して現実逃避してないで、今は若様のことですよ!!」」
「「「……はい。そうでした…」」」
バンとテーブルを叩いたラフィンに、三人は肩を竦めて下を向いた。
※※※※※※※※
「問題は、目だけじゃ駄目ってことなんだよね…」
一息ついて、カフィルが現実問題を口にした。
「目だけってことは、他にも問題が?」
スヴェンの言葉に頷くと、ラフィンを見る。彼女はそれだけで、テーブルの上の食器をワゴンへと片付けて場所を空けた。
「《魅力》がMAXってことは、そこに複合されてある他のスキルもかなりの高レベルってことなんだよ」
「《魅力》に複合されるスキルは、《目力》、《美声》、《容姿端麗》、《愛想》が一般的ですが、若様の場合はさらに《体臭》、《好感度》も入ってます。現時点では目が合うだけですが、獣人にはかなり危険です。現に《耐性》スキル8のフェリテが視線合わずにギリギリでした…」
「「は?」」
侯爵夫妻がフェリテを向くと、こくりと頷き返された。
「今は封印布が仕事してるから大丈夫みたいだけど、成長が進むとスキルが強すぎて難しくなるかもしれないね。これ、今後のことも考えて、聖王に上奏して対応しないとだね」
「下手すりゃ老若男女問わず襲われますね」
ラフィンの言葉にヒクッと片頬を引き攣らせるスヴェン。
「…だが、うちは昔から子が出来にくいからな。一度きりの過ちくらいなら…」
「「……」」
スヴェンの言葉にラフィンとカフィルは視線を反らした。
「…ラフィン?まさか…」
エマリーが顔色を青くしながら、ゴクリと固唾を飲んだ。
「…若様、既に《必中》スキルをお持ちです。確実にその気になってたら一発大当たりです、奥様……」
本来《必中》スキルは《狩人》や《弓使い》に多いスキルなのだが、レベルMAXになった男性には結婚に有利なスキルとなる。
相手の女性が不妊でない限り、確実に妊娠させることの出来るスキルなのだ。
跡取り必須な家庭では大歓迎されるスキルである。
最も、一般男性に比べると、高い確率で浮気もバレるのだが、それは本人の個人的な問題である。
「ま、まあ。若様の次。次代様は安泰ってことだけは良かったんじゃないですかね?………多分」
フェリテの最後の呟きは、誰の耳にも届かなかったーー。
「…あっ!今、幾つか消えて、一つになりましたわ!」
エマリーの指さした箇所の文字が生きているように増減していく。
《体力》、《気力》、《忍耐》、《集中》、の文字がフッと消えると、新たに《気合い》の文字が現れた。
そんな感じで次々と文字が増減していく様は確かにスクロールが生きているようにも見えた。
「これは一体……」
スヴェンはゴクリと固唾を飲んで、スクロールを見続けることしか出来なかった。
「変だ…。レベルが上がらない状態で、何でこんなに複合されてるんだ?」
カフィルの言葉に、ラフィンがスっと変動していない箇所に指を置いた。
「カフィル様。ここ、《開眼》スキルあります。しかも既にレベルが9です…」
「「「は?9ぅ?」」」
三人の視線がそこに向かうと、間違いなくそう記されていた。
「《開眼》スキルは確かスキルの取得率も複合スキルの変換率も高くなるスキルでしたよね?若様は既にレベルが9で…」
話している間に9の文字が消え、MAXと表示される。
「「「「…………」」」」
無言になる四人。
部屋にはコポコポとフェリテがカップに茶を注ぐ音だけが響いた。
「…とりあえずお茶飲んで、一旦落ち着いて下さいませ」
テーブルの側にワゴンを運び、フェリテが声をかける。
「そ、そうだな。見ていても解決しなさそうだし、一旦落ち着こう……」
スヴェンの言葉にカフィルがスクロールをしまうと、手際よくフェリテがカップを置いていく。
「貴女たちもお座りなさいな」
エマリーの言葉に頭を下げるものの、座る場所で二人は悩んだ。
「私はこちらで、若様を見ておりますので…」
フェリテは奥にあった従者用の簡易椅子を持ち、カゴの中で眠っているエヴァンの側に逃げた。
そう。逃げたのである…。
ーーあたしの頭でこれ以上は判断無理!
フェリテは『護衛メイド』ではあるが、武力寄りの脳筋メイドな為、自らの保身に走った。
「んじゃ、ラフィンは僕の隣においで~♪」
ニコニコ笑うカフィルが、自分の隣をポンポンと叩きながら呼ぶ姿に、ラフィンの頬が引き攣った。
ーーフェリテ~~~ッ!あんた、押し付ける気ね!!
キッと一瞬、鋭い視線をフェリテに向ける。
ーーごめん、任せた!あたしは無理!
フッと冷めた笑みを口許に浮かべ、視線で返答するフェリテ。
「ラフィン?早くおいで?」
侯爵夫妻とカフィルの視線に、仕方なく腰を下ろすと、嬉しげにカフィルがラフィンの手を握る。
「ラフィンはホントに『護衛メイド』になったんだねぇ…。あんなに泣き虫だった「いーまーは、昔話をしてる場合じゃないですからねっ!」」
一刀両断である。
「……うちの子が冷たい……」
「まあ、カフィル様。ラフィンは昔からこうですわ?」
首を傾げるエマリーの隣でウンウンと頷くスヴェン。
「そうなの?僕が引き取った時には、だいぶ落ち着いてたけど、昔はほんっとーに「だーかーらー。私の話持ち出して現実逃避してないで、今は若様のことですよ!!」」
「「「……はい。そうでした…」」」
バンとテーブルを叩いたラフィンに、三人は肩を竦めて下を向いた。
※※※※※※※※
「問題は、目だけじゃ駄目ってことなんだよね…」
一息ついて、カフィルが現実問題を口にした。
「目だけってことは、他にも問題が?」
スヴェンの言葉に頷くと、ラフィンを見る。彼女はそれだけで、テーブルの上の食器をワゴンへと片付けて場所を空けた。
「《魅力》がMAXってことは、そこに複合されてある他のスキルもかなりの高レベルってことなんだよ」
「《魅力》に複合されるスキルは、《目力》、《美声》、《容姿端麗》、《愛想》が一般的ですが、若様の場合はさらに《体臭》、《好感度》も入ってます。現時点では目が合うだけですが、獣人にはかなり危険です。現に《耐性》スキル8のフェリテが視線合わずにギリギリでした…」
「「は?」」
侯爵夫妻がフェリテを向くと、こくりと頷き返された。
「今は封印布が仕事してるから大丈夫みたいだけど、成長が進むとスキルが強すぎて難しくなるかもしれないね。これ、今後のことも考えて、聖王に上奏して対応しないとだね」
「下手すりゃ老若男女問わず襲われますね」
ラフィンの言葉にヒクッと片頬を引き攣らせるスヴェン。
「…だが、うちは昔から子が出来にくいからな。一度きりの過ちくらいなら…」
「「……」」
スヴェンの言葉にラフィンとカフィルは視線を反らした。
「…ラフィン?まさか…」
エマリーが顔色を青くしながら、ゴクリと固唾を飲んだ。
「…若様、既に《必中》スキルをお持ちです。確実にその気になってたら一発大当たりです、奥様……」
本来《必中》スキルは《狩人》や《弓使い》に多いスキルなのだが、レベルMAXになった男性には結婚に有利なスキルとなる。
相手の女性が不妊でない限り、確実に妊娠させることの出来るスキルなのだ。
跡取り必須な家庭では大歓迎されるスキルである。
最も、一般男性に比べると、高い確率で浮気もバレるのだが、それは本人の個人的な問題である。
「ま、まあ。若様の次。次代様は安泰ってことだけは良かったんじゃないですかね?………多分」
フェリテの最後の呟きは、誰の耳にも届かなかったーー。
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