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第四章 騎士団長、ストーカーになる!
兄達は妹が好きすぎる
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エベリウム家の一人娘、アリスティリア・リン・エベリウム。
ピンクがかった銀髪に薄い水色の瞳を持つ美しい少女は、デビュタント前からその姿を知らぬ者達からも有名であった。
『エベリウム家の宝玉』または、『エイデルの幸運の女神』と呼ばれていたからである。
平民からの養子であったが、家族ばかりか使用人にまで愛され、その事をハナにかけることなく、周りを気遣い感謝する彼女に好意を抱かない者はほとんどなく、義母であるマリアステラに特に可愛がられていた。
マリアステラの実家ーエイデル商会に至っては、アリスティリアの話題が商談に出ると、必ず成功すると言われるほどに、他国へもその評判は伝わっていた。
『エイデルの先読み姫』と謳われたマリアステラの見つけた少女。
アリスティリアは5歳の時に行われる【祝福の日】に加護スキル《守護》をレベルMAXで得ていることが判明するなり、各国の王族や上位貴族から、デビュタント前だと言うのに会いたいと請われるほどだった。
《守護》スキルは《耐性》スキルの上位スキルで、存在すれども取得は難しいと言われているスキルだった。
スキル保持者が決めた条件から必ず守り通すと言われているため、暗殺者からは煙たがられているスキルである。
故に、上位の者に求められたのだ。
そんなアリスティリアには、加護スキル《情報》を持つ異父兄と、加護スキル《選別》を持つ義兄がいた。
彼らは大事な妹を守るために各々の持つスキルを駆使し、デビュタントの日まで誰の手にも渡さず守り通したのである。
「「アリス♪」」
「カイン兄様!ラス兄様!」
デビュタントのためとは言え、人目に晒すことになった妹。
父親とのファーストダンスを終えた妹に、ダンスを申し込まれないように、周りを牽制しながら妹に近寄る。
周りから向けられている視線に気づかず、無邪気に微笑んで自分達を呼ぶ妹に兄弟二人の心中は重なっていた。
ーーうちの妹、可愛いすぎかっ!!
父の後にカインベル、ラスティンと続き、彼らはこれ以上は妹を踊らせないために、庭園に下りようと妹を真ん中にして足を運んだ。
「……二人とも。私達には挨拶はさせてくれないのかい?」
残り数歩というところで、呼び止められた兄弟は舌打ちをした。
「兄様?」
首を傾げながら、兄達の顔を交互に見上げるアリスティア。
二人は溜息を一つ零すと、アリスティリアと共に、体の向きを変えた。
「これは失礼しました殿下」
長兄のカインベルが優雅にお辞儀をし、
「王太子殿下ならびに王太子妃殿下には、ご機嫌麗しく…」
続いてラスティンが頭を下げる。
その間、アリスティリアは静かに頭を下げたままであった。
「相変わらず君達の妹好きは見事だね。心配しなくても、私はレティ一筋だよ」
「まあ、恐れ入ります殿下♪」
オーディルの隣には昨年精霊国エスタルディアから迎えた王太子妃レティーシアが並んでいた。
水の大精霊の血を引く彼女は、エスタルディアの侯爵家の娘で、金にも銀にも見える不思議な輝く髪と、七色に輝く瞳を持っていた。
「では、もう一度名乗ってもらえるかな?」
挨拶の列で並んだ時の名乗りとは意味が違うことに気づきつつ、アリスティリアは落ち着いて息を吸うと、ゆっくりと顔を上げ、見る者が思わず息を漏らすほどの美しいお辞儀をしてみせた。
「エベリウム家のアリスティリア・リン・エベリウムと申します」
「ああ。デビュタントおめでとう、アリス。明日からは色々と頼むよ」
「フフ。わたくしの相手もお願いしますね、アリス」
ニッコリと微笑んでそう言った王太子夫妻に、周りがシンと静まり返った。
「はい。明日より両殿下のお役に立てますよう、務めさせていただきます…」
そう言って、頭を下げるエベリウム家の三人。
王太子夫妻に連れられ、そこからいなくなった彼らの話題で、その日は賑わうのであったーーーー。
ピンクがかった銀髪に薄い水色の瞳を持つ美しい少女は、デビュタント前からその姿を知らぬ者達からも有名であった。
『エベリウム家の宝玉』または、『エイデルの幸運の女神』と呼ばれていたからである。
平民からの養子であったが、家族ばかりか使用人にまで愛され、その事をハナにかけることなく、周りを気遣い感謝する彼女に好意を抱かない者はほとんどなく、義母であるマリアステラに特に可愛がられていた。
マリアステラの実家ーエイデル商会に至っては、アリスティリアの話題が商談に出ると、必ず成功すると言われるほどに、他国へもその評判は伝わっていた。
『エイデルの先読み姫』と謳われたマリアステラの見つけた少女。
アリスティリアは5歳の時に行われる【祝福の日】に加護スキル《守護》をレベルMAXで得ていることが判明するなり、各国の王族や上位貴族から、デビュタント前だと言うのに会いたいと請われるほどだった。
《守護》スキルは《耐性》スキルの上位スキルで、存在すれども取得は難しいと言われているスキルだった。
スキル保持者が決めた条件から必ず守り通すと言われているため、暗殺者からは煙たがられているスキルである。
故に、上位の者に求められたのだ。
そんなアリスティリアには、加護スキル《情報》を持つ異父兄と、加護スキル《選別》を持つ義兄がいた。
彼らは大事な妹を守るために各々の持つスキルを駆使し、デビュタントの日まで誰の手にも渡さず守り通したのである。
「「アリス♪」」
「カイン兄様!ラス兄様!」
デビュタントのためとは言え、人目に晒すことになった妹。
父親とのファーストダンスを終えた妹に、ダンスを申し込まれないように、周りを牽制しながら妹に近寄る。
周りから向けられている視線に気づかず、無邪気に微笑んで自分達を呼ぶ妹に兄弟二人の心中は重なっていた。
ーーうちの妹、可愛いすぎかっ!!
父の後にカインベル、ラスティンと続き、彼らはこれ以上は妹を踊らせないために、庭園に下りようと妹を真ん中にして足を運んだ。
「……二人とも。私達には挨拶はさせてくれないのかい?」
残り数歩というところで、呼び止められた兄弟は舌打ちをした。
「兄様?」
首を傾げながら、兄達の顔を交互に見上げるアリスティア。
二人は溜息を一つ零すと、アリスティリアと共に、体の向きを変えた。
「これは失礼しました殿下」
長兄のカインベルが優雅にお辞儀をし、
「王太子殿下ならびに王太子妃殿下には、ご機嫌麗しく…」
続いてラスティンが頭を下げる。
その間、アリスティリアは静かに頭を下げたままであった。
「相変わらず君達の妹好きは見事だね。心配しなくても、私はレティ一筋だよ」
「まあ、恐れ入ります殿下♪」
オーディルの隣には昨年精霊国エスタルディアから迎えた王太子妃レティーシアが並んでいた。
水の大精霊の血を引く彼女は、エスタルディアの侯爵家の娘で、金にも銀にも見える不思議な輝く髪と、七色に輝く瞳を持っていた。
「では、もう一度名乗ってもらえるかな?」
挨拶の列で並んだ時の名乗りとは意味が違うことに気づきつつ、アリスティリアは落ち着いて息を吸うと、ゆっくりと顔を上げ、見る者が思わず息を漏らすほどの美しいお辞儀をしてみせた。
「エベリウム家のアリスティリア・リン・エベリウムと申します」
「ああ。デビュタントおめでとう、アリス。明日からは色々と頼むよ」
「フフ。わたくしの相手もお願いしますね、アリス」
ニッコリと微笑んでそう言った王太子夫妻に、周りがシンと静まり返った。
「はい。明日より両殿下のお役に立てますよう、務めさせていただきます…」
そう言って、頭を下げるエベリウム家の三人。
王太子夫妻に連れられ、そこからいなくなった彼らの話題で、その日は賑わうのであったーーーー。
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