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第七章 世界を回すは女達
『護衛メイド』は仕事する
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ドスッと屋敷の裏口で、大きな物音がした。
「どこのどちら様か存じませんがぁ、こぉんな時間にこぉんな大勢でぇ、こぉんな所からの無断訪問は困るんですけどぉ…」
闇の中、キラリと光る瞳を浮かべてクスクス笑う女は、メイド服を身に纏い、その手からは長く赤い爪が伸びていた。
足元には一人の男が倒れている。
「エ、『エイデルの護衛メイド』か……」
「『護衛メイド』たって、猫獣人一人じゃねえか…。問題ねぇ、こっちには20人いるんだ。やっちま…「当家に『護衛メイド』は二人おりますわ」」
バタッと話していた男が倒れたそこにもメイド服の女が一人。
「いらっしゃいませ、招かれざるお客様方。こちらをグランラディア中央侯グランディバルカス家と承知の上でのご訪問でございましょうか?」
ザッと女が右腕を振ると、そこには薄らと青く光るレイピアが握られていた。
「ご承知の上でのご来訪と仰いますならば…」
フッと姿が消えたかと思うと、猫獣人の隣に姿が現れる。
「『エイデルの護衛メイド』たる〈閃光〉のラフィンと…」
「同じく〈赤爪〉のフェリテがお相手しますよぉ♪」
闇の中に青と赤の光線が幾筋か浮かんでは消えると、そこに立っているのは二人のメイドだけだった。
「二つ名持ちの『護衛メイド』って、巷じゃ逆らっちゃいけない三大職なのにねぇ…」
「上がヤバいとこか、単に数だけのバカなのかのどっちかでしょ。とりあえず《看破》かけてくから、避けてってくれる?」
ラフィンは《看破》スキルで必要な情報を、持っているかを判断し、フェリテは結果を聞いて、男達を分けていく。
「何か出てきたかい?」
物陰から楽しそうに一人のエルフが顔を出した。
「カフィル様、いらっしゃーい。今んとこ雑魚ばっかですよぉ」
積み上げた男達を指さす。
「バカだなぁ。二つ名持ちの『護衛メイド』でも歴代上位に入る君達相手に勝てるわけないのにねぇ」
「それ、平民は知らない情報ですからね…。裏世界の連中、それ以外は各国の上位貴族や王族しか知りませんよ…」
最後の一人に《鑑定》を使っていたラフィンは、口元に薄い笑みを浮かべた。
「カフィル様。出番です♪この方、ブランディアからのお客様です」
「へえ。何処からなのかなぁ?」
カフィルは興味津々で男に近寄った。
「『不死鳥』の部族の者みたいですね…」
「……あ~。これは、バレたのかなぁ?」
「えー?バレてたら、もっとマシな連中使いません?」
三人はチラリと闇の中に浮かぶ白壁の屋敷を見上げた。
屋敷の主人は今日も幸せを噛みしめてる最中であろうと、共に考えて再び視線を地に戻す。
「入れるかどうか確認したとかでしょうか?」
「何。それ?」
「うちにはカフィル様がいるのは知ってるでしょうから、警備状況とかの諸々を調べるのに、使っただけじゃないかなあ?と…」
「調べたって無駄じゃない。建物自体が魔導具みたいなもんだよぉ、どうやって入んのさ?」
「いや、だから。それを調べるためじゃないのかって話…」
「……あ、そういう……」
ジト目で見てくる相方から、気まずそうに視線を逸らす。
「まあ。ブランディアからなら、元大神官の僕の出番には違いない…。久しぶりにがんばるかなぁ…」
「頑張ったら、大好きな奥様からご褒美貰えますよ♪」
フェリテがニヤニヤ笑いながら、カフィルに向かって言う。
「はあ!?フェリテ、あんた何勝手に「よおし、頑張るぞー!!」」
反論しようとしたラフィンの言葉を遮り、カフィルは男を連れて転移陣を起動させて姿を消した。
「……フェリテ……。あんた、覚えときなさいよ……」
「……アハハハ……」
残された二人は、残る男達の移動を始めるのだったーーーー。
「どこのどちら様か存じませんがぁ、こぉんな時間にこぉんな大勢でぇ、こぉんな所からの無断訪問は困るんですけどぉ…」
闇の中、キラリと光る瞳を浮かべてクスクス笑う女は、メイド服を身に纏い、その手からは長く赤い爪が伸びていた。
足元には一人の男が倒れている。
「エ、『エイデルの護衛メイド』か……」
「『護衛メイド』たって、猫獣人一人じゃねえか…。問題ねぇ、こっちには20人いるんだ。やっちま…「当家に『護衛メイド』は二人おりますわ」」
バタッと話していた男が倒れたそこにもメイド服の女が一人。
「いらっしゃいませ、招かれざるお客様方。こちらをグランラディア中央侯グランディバルカス家と承知の上でのご訪問でございましょうか?」
ザッと女が右腕を振ると、そこには薄らと青く光るレイピアが握られていた。
「ご承知の上でのご来訪と仰いますならば…」
フッと姿が消えたかと思うと、猫獣人の隣に姿が現れる。
「『エイデルの護衛メイド』たる〈閃光〉のラフィンと…」
「同じく〈赤爪〉のフェリテがお相手しますよぉ♪」
闇の中に青と赤の光線が幾筋か浮かんでは消えると、そこに立っているのは二人のメイドだけだった。
「二つ名持ちの『護衛メイド』って、巷じゃ逆らっちゃいけない三大職なのにねぇ…」
「上がヤバいとこか、単に数だけのバカなのかのどっちかでしょ。とりあえず《看破》かけてくから、避けてってくれる?」
ラフィンは《看破》スキルで必要な情報を、持っているかを判断し、フェリテは結果を聞いて、男達を分けていく。
「何か出てきたかい?」
物陰から楽しそうに一人のエルフが顔を出した。
「カフィル様、いらっしゃーい。今んとこ雑魚ばっかですよぉ」
積み上げた男達を指さす。
「バカだなぁ。二つ名持ちの『護衛メイド』でも歴代上位に入る君達相手に勝てるわけないのにねぇ」
「それ、平民は知らない情報ですからね…。裏世界の連中、それ以外は各国の上位貴族や王族しか知りませんよ…」
最後の一人に《鑑定》を使っていたラフィンは、口元に薄い笑みを浮かべた。
「カフィル様。出番です♪この方、ブランディアからのお客様です」
「へえ。何処からなのかなぁ?」
カフィルは興味津々で男に近寄った。
「『不死鳥』の部族の者みたいですね…」
「……あ~。これは、バレたのかなぁ?」
「えー?バレてたら、もっとマシな連中使いません?」
三人はチラリと闇の中に浮かぶ白壁の屋敷を見上げた。
屋敷の主人は今日も幸せを噛みしめてる最中であろうと、共に考えて再び視線を地に戻す。
「入れるかどうか確認したとかでしょうか?」
「何。それ?」
「うちにはカフィル様がいるのは知ってるでしょうから、警備状況とかの諸々を調べるのに、使っただけじゃないかなあ?と…」
「調べたって無駄じゃない。建物自体が魔導具みたいなもんだよぉ、どうやって入んのさ?」
「いや、だから。それを調べるためじゃないのかって話…」
「……あ、そういう……」
ジト目で見てくる相方から、気まずそうに視線を逸らす。
「まあ。ブランディアからなら、元大神官の僕の出番には違いない…。久しぶりにがんばるかなぁ…」
「頑張ったら、大好きな奥様からご褒美貰えますよ♪」
フェリテがニヤニヤ笑いながら、カフィルに向かって言う。
「はあ!?フェリテ、あんた何勝手に「よおし、頑張るぞー!!」」
反論しようとしたラフィンの言葉を遮り、カフィルは男を連れて転移陣を起動させて姿を消した。
「……フェリテ……。あんた、覚えときなさいよ……」
「……アハハハ……」
残された二人は、残る男達の移動を始めるのだったーーーー。
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