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第八章 波乱ばかりの婚姻式
騎士団長は〖待て〗ができない
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[ラフィン視点]
「……若様。我慢ですよ、我慢…」
「そうですよ。ここで我慢しなきゃ、これからお作りになるドレスが全部無駄になりますよ!」
「…………」
若様はソファに座り、ピクリとも動きません。
お膝の上に、アリスティリアお嬢様を乗せて抱きしめたまんま……。
どうして、こんな事態になったのかーーーー。
事の起こりはほんの数十分前のことでした。
「……足りない……」
集まったお嬢様のドレスのデザイン画を見つめていた若様が、突然ポツリとそう呟かれたのです。
「足りない?材料で何か足りないのがあるんですか!?」
フェリテが慌ててそう訊ねました。
婚姻式まで残りひと月半。これから、若様はお一人でお嬢様のドレスを作られるのだそうです。
騎士団の仕事しながら……。
つくづく謎でございます。
若様。貴方、騎・士・団・長!
国中の少年や貴婦人達の憧れの騎士団のトップ!
それが何故に。剣ではなく針とハサミを手に、無双なさっておいでるのか……。
騎士に憧れている方々には、全くもって見せれません!
そんな若様は、超絶溺愛されておいでのお嬢様と、引き離されて三日。
明日はサイズの確認をして、型紙の作成から始まるからと、材料の揃い具合の確認作業をしておりました。
「リアが足りない……。リアに会いたい。触りたい…」
仮面の奥からは虚ろな目が覗いております、やだ恐い……。
「会いたいって仰られてもですね…」
どうしたものかと口にした途端、突然若様が立ち上がられました。
「「若様?」」
フェリテと二人首を傾げると、
「リアが来た!リアの匂いがする!」
と、部屋から走り出て行かれました。
「匂いがする?」
フェリテを見ると、彼女は首をブンブンと横に振ります。
獣人のフェリテが分からないというのに、若様はどうされたのかと思っていると、バタバタと足音が聞こえてきました。
「何事?」
バタンと開かれた扉からは、お嬢様を横抱きにされた若様が戻られました。
え?ほんとにお嬢様、いらっしゃってたの?
ーードン引きです。
獣人上回る嗅覚って、もう人間止めてませんか、若様?
案の定、フェリテの口の端がヒクヒクと引き攣ってました。
「リア。リア、会いたかった……」
「ちょっ!ま、待って、エヴァン様!人目あるし、色々ま…」
そのままソファに腰を下ろし、お嬢様に口づけをされています。
こちらの存在は無視ですか、そうですか。
これきっと、うちの夫の悪影響かもしれませんね。最悪だ……。
「~~っ!!」
中々止まらない口づけに、お嬢様は必死で若様の腕を叩いたり、服を引っ張ったりされてます。
「ひゃん!やだ、やだ…」
しかもどんどんとんでもない事になりそうです。
若様の手が、お嬢様のドレスを脱がそうとしているのです。
首筋に顔を埋め、ドレスをまさぐる若様に、お嬢様は必死で抗っておいでです。
っていうか、私共の目の前で始めるな!
そして、冒頭に戻るのです…。
「……若様。我慢ですよ、我慢…」
「そうですよ。ここで我慢しなきゃ、これからお作りになるドレスが全部無駄になりますよ!」
フェリテと二人、必死で説得します。
お嬢様は既にフラフラな状態で、若様の胸に持たれていらっしゃいます。
しばらく黙り込んでいた若様でしたが、突然お嬢様を抱えたまま立ち上がりました。
「若様!!〖待て〗ですよ、〖待て〗!」
寝室へと足が向いたのを確認するなり、フェリテがそう叫んでいます。
犬猫じゃないんだから、若様に〖待て〗はないでしょう…と思いますが、心境的には全く同意でございます。
「……サイズは明日測るのだから、今夜は問題ないです!」
「「ああっ!!」」
言うなり若様は寝室に逃亡なされました。
これは確実に朝までお籠りコースです。
こんな調子で、お嬢様は出産まで大丈夫なのかと、少々不安でございます。
とりあえず、明日の朝には、お嬢様のご無事な姿を拝見させていただきたいとだけ、今はお祈りするのみですーーーー。
「……若様。我慢ですよ、我慢…」
「そうですよ。ここで我慢しなきゃ、これからお作りになるドレスが全部無駄になりますよ!」
「…………」
若様はソファに座り、ピクリとも動きません。
お膝の上に、アリスティリアお嬢様を乗せて抱きしめたまんま……。
どうして、こんな事態になったのかーーーー。
事の起こりはほんの数十分前のことでした。
「……足りない……」
集まったお嬢様のドレスのデザイン画を見つめていた若様が、突然ポツリとそう呟かれたのです。
「足りない?材料で何か足りないのがあるんですか!?」
フェリテが慌ててそう訊ねました。
婚姻式まで残りひと月半。これから、若様はお一人でお嬢様のドレスを作られるのだそうです。
騎士団の仕事しながら……。
つくづく謎でございます。
若様。貴方、騎・士・団・長!
国中の少年や貴婦人達の憧れの騎士団のトップ!
それが何故に。剣ではなく針とハサミを手に、無双なさっておいでるのか……。
騎士に憧れている方々には、全くもって見せれません!
そんな若様は、超絶溺愛されておいでのお嬢様と、引き離されて三日。
明日はサイズの確認をして、型紙の作成から始まるからと、材料の揃い具合の確認作業をしておりました。
「リアが足りない……。リアに会いたい。触りたい…」
仮面の奥からは虚ろな目が覗いております、やだ恐い……。
「会いたいって仰られてもですね…」
どうしたものかと口にした途端、突然若様が立ち上がられました。
「「若様?」」
フェリテと二人首を傾げると、
「リアが来た!リアの匂いがする!」
と、部屋から走り出て行かれました。
「匂いがする?」
フェリテを見ると、彼女は首をブンブンと横に振ります。
獣人のフェリテが分からないというのに、若様はどうされたのかと思っていると、バタバタと足音が聞こえてきました。
「何事?」
バタンと開かれた扉からは、お嬢様を横抱きにされた若様が戻られました。
え?ほんとにお嬢様、いらっしゃってたの?
ーードン引きです。
獣人上回る嗅覚って、もう人間止めてませんか、若様?
案の定、フェリテの口の端がヒクヒクと引き攣ってました。
「リア。リア、会いたかった……」
「ちょっ!ま、待って、エヴァン様!人目あるし、色々ま…」
そのままソファに腰を下ろし、お嬢様に口づけをされています。
こちらの存在は無視ですか、そうですか。
これきっと、うちの夫の悪影響かもしれませんね。最悪だ……。
「~~っ!!」
中々止まらない口づけに、お嬢様は必死で若様の腕を叩いたり、服を引っ張ったりされてます。
「ひゃん!やだ、やだ…」
しかもどんどんとんでもない事になりそうです。
若様の手が、お嬢様のドレスを脱がそうとしているのです。
首筋に顔を埋め、ドレスをまさぐる若様に、お嬢様は必死で抗っておいでです。
っていうか、私共の目の前で始めるな!
そして、冒頭に戻るのです…。
「……若様。我慢ですよ、我慢…」
「そうですよ。ここで我慢しなきゃ、これからお作りになるドレスが全部無駄になりますよ!」
フェリテと二人、必死で説得します。
お嬢様は既にフラフラな状態で、若様の胸に持たれていらっしゃいます。
しばらく黙り込んでいた若様でしたが、突然お嬢様を抱えたまま立ち上がりました。
「若様!!〖待て〗ですよ、〖待て〗!」
寝室へと足が向いたのを確認するなり、フェリテがそう叫んでいます。
犬猫じゃないんだから、若様に〖待て〗はないでしょう…と思いますが、心境的には全く同意でございます。
「……サイズは明日測るのだから、今夜は問題ないです!」
「「ああっ!!」」
言うなり若様は寝室に逃亡なされました。
これは確実に朝までお籠りコースです。
こんな調子で、お嬢様は出産まで大丈夫なのかと、少々不安でございます。
とりあえず、明日の朝には、お嬢様のご無事な姿を拝見させていただきたいとだけ、今はお祈りするのみですーーーー。
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