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第十章 アリスティリアは人気者
神獣VS大精霊VS…
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伝説の神獣四体による空からの精霊国エスタルディア訪問。
到着前から大騒ぎである。
精霊達が神獣達を遠巻きに見守っていたが、黒獅子の背でエヴァンにもたれかかっていたアリスティリアに気づくなり、どんどん精霊の数が増えていったのである。
どっちが物珍しいのか分からない状況になっている。
「……もうやだ、帰りたいです…」
エヴァンの胸に持たれかかり、横乗りしていたアリスティリアは、メソメソとしながら呟いた。
「……リア。私が側にいますからね?さっさと終わらせて帰りましょう。戻ったら、リアの好きなお菓子を作りますからね」
髪を優しく撫でながら、見上げるアリスティリアの額に軽く口付ける。
少し前に《料理人》と《薬剤師》、《調香師》の【職業スキル】を取得したエヴァン。
《鑑定》持ちの使用人は、もう彼が何を極めようと気にしたら負けだと思っていることを新婚夫婦は知らない。
「…うぅ…。これ終わったら、二度と来たくないです…」
「そうですね。これっきりにしてもらいましょう…」
辛そうなアリスティリアを気の毒にと思いつつも、自分にだけ甘えてくれる彼女に、エヴァンは天国満喫中である。
最終的に大所帯での到着となったわけだが、黒獅子の背から降ろされたアリスティリアは、出迎えの貴族の数にドン引きした。
ぶしつけな視線の数に眉を顰めると、エヴァンのマントの中に隠された。
「この度はよくおいで下さいました…」
宰相のヘーゼル・アーシェル・スタルディは、げっそりとやつれた姿で現れた。
ネイゼルの後始末は多岐に渡ったため、寝る間も惜しんで働いていたのだ。
「……はぁ。あれほど集まらないようにと伝えていたと言うのに……」
溜息をつく宰相の姿に、一行は気の毒に思いつつ、労うことはしなかった。
「どうぞ、こちらに…」
招かれるままに歩き出すと、後ろからゾロゾロと付いてくる人種無差別の集団。
ステリナとカルステッドは、ちらりとそちらを確認して頷きあった。
何かあれば、容赦なく制圧することを決めた瞬間である。
「迷惑をかけたな…」
玉座には紫色の透けた体の男がいた。
現在の精霊王は、雷の大精霊らしい。
エスタルディアは、精霊の血を引く者達が、国の方針を精霊王に確認して統治する国であった。
精霊王に謁見して意見を伝えるのが宰相の仕事とも言える。
嘘をつこうにも、城のあちこちにいる精霊達からは筒抜けなので、誰もそんなことをしない。
但し、精霊の気質はその血筋の人間達にはしっかりと受け継がれており、その事が度々問題になるのであった。
「一先ず休んでもらって、夕暮れ時にでも皆の前で確認という事ですが、よろしいですかな?」
宰相の言葉に全員が頷き、一先ずの休息を得てから再び集まることになった。
「この娘には火の血筋は流れていないと我は宣言する!」
無事に火の大精霊からの確認宣言を受け、ホッと一安心のアリスティリア一行に対し、集まった貴族の何人かはガックリと肩を落としている。
「吾の血筋が迷惑をかけたの。詫びとして、【風の加護】を与えてやろう」
風の大精霊がそう言って近寄ると、黒獅子がアリスティリア達の前に立ち塞がった。
「このチビには、オレ達が付いてんだ。てめらの出番なんざ必要ねえ」
ーえ?それ、知らないぞ?
アリスティリア一行の心中は揃っていた。
「そもそもあたくしの加護があるのですから、精霊の加護など不要なのですよ!」
ツンと顎を逸らして言った不死鳥。
「我等精霊の加護を不要と申されるかっ!!」
大精霊達と神獣達の張り合う様に、エスタルディアの住人は慌てた。
「…これ、何が起きてんだ?」
「ぶっちゃけて言えば【加護】の押し売り…かしら?」
カルステッドとステリナの言葉に、エヴァンはアリスティリアを見下ろした。
「……」
完全に表情が消えているアリスティリアがそこにいた。
ー不味いです…。リアが本気で怒りかけてます…。
アリスティリアの体調を気遣い、エヴァンは揉めてる中へと意見しようと入っていったが、相手にされずに吹っ飛ばされた。
「っ!」
「「「あ…」」」
これには流石にアリスティリアも正気に戻り、ツカツカと騒ぎの中心へと向かった。
その手に〖ハリセン〗を携えて……。
「わたしの旦那様に、何してくれてんですかーっ!!」
スパパパーン!!!!
【神器】〖ハリセン〗は見事に大精霊達と神獣達を吹っ飛ばし、それを見ていたエスタルディアの国民は、今後、絶対にアリスティリア達に手を出しては行けないと、魂に刻まれたのであったーーーー。
到着前から大騒ぎである。
精霊達が神獣達を遠巻きに見守っていたが、黒獅子の背でエヴァンにもたれかかっていたアリスティリアに気づくなり、どんどん精霊の数が増えていったのである。
どっちが物珍しいのか分からない状況になっている。
「……もうやだ、帰りたいです…」
エヴァンの胸に持たれかかり、横乗りしていたアリスティリアは、メソメソとしながら呟いた。
「……リア。私が側にいますからね?さっさと終わらせて帰りましょう。戻ったら、リアの好きなお菓子を作りますからね」
髪を優しく撫でながら、見上げるアリスティリアの額に軽く口付ける。
少し前に《料理人》と《薬剤師》、《調香師》の【職業スキル】を取得したエヴァン。
《鑑定》持ちの使用人は、もう彼が何を極めようと気にしたら負けだと思っていることを新婚夫婦は知らない。
「…うぅ…。これ終わったら、二度と来たくないです…」
「そうですね。これっきりにしてもらいましょう…」
辛そうなアリスティリアを気の毒にと思いつつも、自分にだけ甘えてくれる彼女に、エヴァンは天国満喫中である。
最終的に大所帯での到着となったわけだが、黒獅子の背から降ろされたアリスティリアは、出迎えの貴族の数にドン引きした。
ぶしつけな視線の数に眉を顰めると、エヴァンのマントの中に隠された。
「この度はよくおいで下さいました…」
宰相のヘーゼル・アーシェル・スタルディは、げっそりとやつれた姿で現れた。
ネイゼルの後始末は多岐に渡ったため、寝る間も惜しんで働いていたのだ。
「……はぁ。あれほど集まらないようにと伝えていたと言うのに……」
溜息をつく宰相の姿に、一行は気の毒に思いつつ、労うことはしなかった。
「どうぞ、こちらに…」
招かれるままに歩き出すと、後ろからゾロゾロと付いてくる人種無差別の集団。
ステリナとカルステッドは、ちらりとそちらを確認して頷きあった。
何かあれば、容赦なく制圧することを決めた瞬間である。
「迷惑をかけたな…」
玉座には紫色の透けた体の男がいた。
現在の精霊王は、雷の大精霊らしい。
エスタルディアは、精霊の血を引く者達が、国の方針を精霊王に確認して統治する国であった。
精霊王に謁見して意見を伝えるのが宰相の仕事とも言える。
嘘をつこうにも、城のあちこちにいる精霊達からは筒抜けなので、誰もそんなことをしない。
但し、精霊の気質はその血筋の人間達にはしっかりと受け継がれており、その事が度々問題になるのであった。
「一先ず休んでもらって、夕暮れ時にでも皆の前で確認という事ですが、よろしいですかな?」
宰相の言葉に全員が頷き、一先ずの休息を得てから再び集まることになった。
「この娘には火の血筋は流れていないと我は宣言する!」
無事に火の大精霊からの確認宣言を受け、ホッと一安心のアリスティリア一行に対し、集まった貴族の何人かはガックリと肩を落としている。
「吾の血筋が迷惑をかけたの。詫びとして、【風の加護】を与えてやろう」
風の大精霊がそう言って近寄ると、黒獅子がアリスティリア達の前に立ち塞がった。
「このチビには、オレ達が付いてんだ。てめらの出番なんざ必要ねえ」
ーえ?それ、知らないぞ?
アリスティリア一行の心中は揃っていた。
「そもそもあたくしの加護があるのですから、精霊の加護など不要なのですよ!」
ツンと顎を逸らして言った不死鳥。
「我等精霊の加護を不要と申されるかっ!!」
大精霊達と神獣達の張り合う様に、エスタルディアの住人は慌てた。
「…これ、何が起きてんだ?」
「ぶっちゃけて言えば【加護】の押し売り…かしら?」
カルステッドとステリナの言葉に、エヴァンはアリスティリアを見下ろした。
「……」
完全に表情が消えているアリスティリアがそこにいた。
ー不味いです…。リアが本気で怒りかけてます…。
アリスティリアの体調を気遣い、エヴァンは揉めてる中へと意見しようと入っていったが、相手にされずに吹っ飛ばされた。
「っ!」
「「「あ…」」」
これには流石にアリスティリアも正気に戻り、ツカツカと騒ぎの中心へと向かった。
その手に〖ハリセン〗を携えて……。
「わたしの旦那様に、何してくれてんですかーっ!!」
スパパパーン!!!!
【神器】〖ハリセン〗は見事に大精霊達と神獣達を吹っ飛ばし、それを見ていたエスタルディアの国民は、今後、絶対にアリスティリア達に手を出しては行けないと、魂に刻まれたのであったーーーー。
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