88 / 154
第十一章 なりきり、やりきり、これっきり
災難は忘れた頃にやってくる
しおりを挟む
「……………無理」
「………………パス」
「…………………諦めよう」
次々とプリンターから出されてくる用紙を手に、三人は座っていたソファに沈みこんだ。
「これ、もう人間辞めてね?」
チュンタが天井を仰ぎながら呟く。
「こっちが対策取る前に、どんどん増えてくんだよ?どのタイミングで抑え込んだらいいわけ?」
夢乃も半泣きで叫んだ。
「そろそろ御影も戻ってくんだろ?あいつに判断任せるしかねえだろ…」
頭を振りながら、アッキーがそう言うと、他の二人も頷いた。
「今、ディーの創った世界って幾つだっけ?」
ボーッと背もたれに凭れて夢乃が聞く。
「オレらんとこ、ヒナちゃんとこ。んで、今やってるとこと…」
指を折りながらチュンタが数える。
「『今度こそ、絶対に大丈夫!』って、宣言した途端に、崩壊しかけたとこ入れて、四つだな…」
「あー、あれね…」
「御影が喋んなくなったヤツなぁ…」
アッキーの言葉に当時を振り返る。
ーーあれはホントに怖かった……。
世界観に矛盾を与えすぎていた結果、世界を保つことが出来なくて、崩壊寸前のその世界の矛盾を潰していくために、説明する間も惜しんで、ひたすら御影が無言で、世界構成を確認しながらやってのけた。
その背後で処理が終わるまで、ディアルが土下座していたのもお約束であった。
自分達も余りにも鬼気迫る御影の姿に、声をかけれず怯えていた。
「ごめん、戻った」
ぶるりと体を震わせたタイミングで、御影が戻ってきた。
「……何かあった?」
目の死んでいる三人に気づき、御影が恐る恐る尋ねた。
「例の人物……。スキルが未だに増えてくんだ…」
「は?スキルが付かないように、残りのやば気なのロックしてったよね?漏れてた?」
アッキーの差し出した用紙を手に取り、素早く視線を動かしていく。
「…《千里眼》?《魔法の指》?何、これ?こんなのあったっけ?」
ひくりと口の端を引き攣らせながら、未だに用紙を吐き出すプリンターに目を向ける。
「ねえ、あの動いてるの……」
「うん、まだ増えてんだよ…」
チュンタが遠い目で続ける。
「こっちがスキル把握してる間に。次から次へと新しいスキルが発生してんだよ……」
「………何て?」
アッキーの言葉に、御影はどんどん表情を無くしていく。
「ナナちゃん。これ見てよ。《感覚同調》ってあるでしょ?これ、他の人達が使えるようになるとヤバくない?」
夢乃から渡されたスキル内容を確認すると、無言で顔を覆った。
「「「…………」」」
三人の視線が御影に集まった。
そうする間にも、プリンターは無常にも打ち出した内容を吐き出していく。
「……しよう……」
ポツリと御影が呟いた言葉に、三人は耳を済ませた。
「…今後、ディーが創造をする時は、計画書を書かせて、チェックしてからにしよう!」
拳を握りしめ、そう言いきった御影に、うんうんと三人も頷く。
「とりあえずは…。ヤバそうなのだけは、これっきりになるように制限かけよう…」
御影の話す側で、新たに打ち出された用紙を手にしたアッキーの視線が泳ぐ。
「……御影……。遅かったわ……」
「「「?」」」
テーブルの上に置かれた用紙を全員で見つめる。
「「「ーっ!!」」」
そこに記された情報に、三人は声無き悲鳴を上げた。
「な、何で?何がどーして、こーなんだよ!」
チュンタが頭を抱えて叫んだ。
「ハハ…。ゆーの努力が霧散してく…。死んでからの方がブラック過ぎる…」
夢乃は目の焦点が合わなくなっている。
「これ、絶対にディーがなんかしてっだろ!?絶対にディーだろっ!?」
アッキーが拳を握って力説する。
「…しょ、初期設定!世界の初期設定、確認するよ!!」
御影は書類棚から、『アグローシア』とラベルの付いたバインダーを取り出した。
読み耽ること数時間。
「………あった……」
御影の言葉に全員でそこを見た。
『《祝福》を産まれる前に取得した人物は、同時に望むスキルを【ギフト】として両親から継承できることとする。』
「「「「あんの残念神ーーーーっ!!」」」」
例え留守にしていても、何処までも残念要素の消えないディアル・マディルなのであったーーーー。
「………………パス」
「…………………諦めよう」
次々とプリンターから出されてくる用紙を手に、三人は座っていたソファに沈みこんだ。
「これ、もう人間辞めてね?」
チュンタが天井を仰ぎながら呟く。
「こっちが対策取る前に、どんどん増えてくんだよ?どのタイミングで抑え込んだらいいわけ?」
夢乃も半泣きで叫んだ。
「そろそろ御影も戻ってくんだろ?あいつに判断任せるしかねえだろ…」
頭を振りながら、アッキーがそう言うと、他の二人も頷いた。
「今、ディーの創った世界って幾つだっけ?」
ボーッと背もたれに凭れて夢乃が聞く。
「オレらんとこ、ヒナちゃんとこ。んで、今やってるとこと…」
指を折りながらチュンタが数える。
「『今度こそ、絶対に大丈夫!』って、宣言した途端に、崩壊しかけたとこ入れて、四つだな…」
「あー、あれね…」
「御影が喋んなくなったヤツなぁ…」
アッキーの言葉に当時を振り返る。
ーーあれはホントに怖かった……。
世界観に矛盾を与えすぎていた結果、世界を保つことが出来なくて、崩壊寸前のその世界の矛盾を潰していくために、説明する間も惜しんで、ひたすら御影が無言で、世界構成を確認しながらやってのけた。
その背後で処理が終わるまで、ディアルが土下座していたのもお約束であった。
自分達も余りにも鬼気迫る御影の姿に、声をかけれず怯えていた。
「ごめん、戻った」
ぶるりと体を震わせたタイミングで、御影が戻ってきた。
「……何かあった?」
目の死んでいる三人に気づき、御影が恐る恐る尋ねた。
「例の人物……。スキルが未だに増えてくんだ…」
「は?スキルが付かないように、残りのやば気なのロックしてったよね?漏れてた?」
アッキーの差し出した用紙を手に取り、素早く視線を動かしていく。
「…《千里眼》?《魔法の指》?何、これ?こんなのあったっけ?」
ひくりと口の端を引き攣らせながら、未だに用紙を吐き出すプリンターに目を向ける。
「ねえ、あの動いてるの……」
「うん、まだ増えてんだよ…」
チュンタが遠い目で続ける。
「こっちがスキル把握してる間に。次から次へと新しいスキルが発生してんだよ……」
「………何て?」
アッキーの言葉に、御影はどんどん表情を無くしていく。
「ナナちゃん。これ見てよ。《感覚同調》ってあるでしょ?これ、他の人達が使えるようになるとヤバくない?」
夢乃から渡されたスキル内容を確認すると、無言で顔を覆った。
「「「…………」」」
三人の視線が御影に集まった。
そうする間にも、プリンターは無常にも打ち出した内容を吐き出していく。
「……しよう……」
ポツリと御影が呟いた言葉に、三人は耳を済ませた。
「…今後、ディーが創造をする時は、計画書を書かせて、チェックしてからにしよう!」
拳を握りしめ、そう言いきった御影に、うんうんと三人も頷く。
「とりあえずは…。ヤバそうなのだけは、これっきりになるように制限かけよう…」
御影の話す側で、新たに打ち出された用紙を手にしたアッキーの視線が泳ぐ。
「……御影……。遅かったわ……」
「「「?」」」
テーブルの上に置かれた用紙を全員で見つめる。
「「「ーっ!!」」」
そこに記された情報に、三人は声無き悲鳴を上げた。
「な、何で?何がどーして、こーなんだよ!」
チュンタが頭を抱えて叫んだ。
「ハハ…。ゆーの努力が霧散してく…。死んでからの方がブラック過ぎる…」
夢乃は目の焦点が合わなくなっている。
「これ、絶対にディーがなんかしてっだろ!?絶対にディーだろっ!?」
アッキーが拳を握って力説する。
「…しょ、初期設定!世界の初期設定、確認するよ!!」
御影は書類棚から、『アグローシア』とラベルの付いたバインダーを取り出した。
読み耽ること数時間。
「………あった……」
御影の言葉に全員でそこを見た。
『《祝福》を産まれる前に取得した人物は、同時に望むスキルを【ギフト】として両親から継承できることとする。』
「「「「あんの残念神ーーーーっ!!」」」」
例え留守にしていても、何処までも残念要素の消えないディアル・マディルなのであったーーーー。
0
あなたにおすすめの小説
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
Emerald
藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。
叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。
自分にとっては完全に新しい場所。
しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。
仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。
〜main cast〜
結城美咲(Yuki Misaki)
黒瀬 悠(Kurose Haruka)
※作中の地名、団体名は架空のものです。
※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。
※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。
ポリン先生の作品はこちら↓
https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911
https://www.comico.jp/challenge/comic/33031
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる