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第一章 『供物』の姫は食べられない
1.
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「いたぞ!こっちだっ!!」
それは突然の出来事でした。
身分の低い側室の子である私は、第六王女として産まれたものの、最も離れた場所にある朽ちかけた離宮で、病気で母が亡くなった後、管理人の老夫婦に育てられながら、忘れられた存在として過ごしていました。
そんなある日。突然、大勢の騎士達が離宮に現れ、私の周りを囲んだのです。
「????」
突然の事で訳も分からず怯える私に、彼らは気の毒そうな視線を向けていました。
「……第六王女エリシア様でございますか?」
その中でも一際目立った騎士様に声をかけられ、頷きました。
途端に周りの方々が、ホッと息を吐き出すのがわかりました。
「国王陛下がお呼びでございます。どうか我等と共にお越しください」
その言葉に、私は思わず首を横に振りました。
今の私は王女とは名ばかりで、老夫婦から与えてもらった平民の服を着ているのです。
何より、恐らく初めて会う父親である国王陛下に、このような姿で会えるはずもありません。
ですが、それは彼らも理解していたようです。
「王宮にお着替えと世話をする侍女も用意しております。どうぞご心配なさりませんように……」
そう言われては断ることも出来ません。そもそも彼らは陛下の命令で私を迎えに来ているのです。私がついていかなければ、罰せられてしまうでしょう。
「……分かりました…」
そして、私は周囲を彼らに囲まれて、用意されていた部屋へと案内されました。
「……なんてお労しい……」
部屋に入るなり、まずは身綺麗にしましょうと、浴室へ連れて行かれました。
ですが、裸になった私の姿に、世話をしてくれていた年配の侍女がそう言って、私に跪いたのです。
「あぁ。側妃様によく似たお子だとお聞きしておりましたのに、こんなに肌も髪も汚れて傷まれて……。お世話をする者はいなかったのでございますか!?」
あまりの汚れように湯船に入る前にと、全身を洗われると、あっと言う間に湯が黒く汚れて、それを何度か繰り返して、ようやく湯船に浸かることができました。
「……あったかい……」
お湯の入った浴槽に入るのは初めてでした。
足腰の弱った老夫婦に、たっぷりのお湯を用意してもらうのは申し訳なくて、いつもタライに注いだ湯を使って身体を拭くくらいでした。なので、全身を湯船に浸かることが初めての私は思わず息を漏らしてしまいました。
「そのままおくつろぎ下さいね。その間に髪に香油を塗り込みますから……」
ふわりと香るのは、吸い込めばスーッと気持ちが晴れるような香りでした。
「次はお肌を何とかしましょうね」
そう言って湯船から出され、横たわる私の全身にも香油が塗り込まれていきました。
「かなりお痩せになられてますが、これからたくさんお召し上がりになれば、国一番の美姫と言われた側妃様のようになられるでしょう!」
そう言って、私は生まれて初めて綺麗なドレスを身にまとい、化粧をされた自分の姿を鏡で見せられました。
「……これが私……?」
離宮に鏡などなく、水面に映る姿でしか見たこと無かった自分の姿を初めて見ました。
母と同じ色のプラチナブロンドの髪は、サラサラと肩に流れ落ち、父譲りと聞いた瞳は、色濃い青色の瞳でした。
そして、私の顔立ちは、亡くなった頃の母のように窶れていましたーーーー。
それは突然の出来事でした。
身分の低い側室の子である私は、第六王女として産まれたものの、最も離れた場所にある朽ちかけた離宮で、病気で母が亡くなった後、管理人の老夫婦に育てられながら、忘れられた存在として過ごしていました。
そんなある日。突然、大勢の騎士達が離宮に現れ、私の周りを囲んだのです。
「????」
突然の事で訳も分からず怯える私に、彼らは気の毒そうな視線を向けていました。
「……第六王女エリシア様でございますか?」
その中でも一際目立った騎士様に声をかけられ、頷きました。
途端に周りの方々が、ホッと息を吐き出すのがわかりました。
「国王陛下がお呼びでございます。どうか我等と共にお越しください」
その言葉に、私は思わず首を横に振りました。
今の私は王女とは名ばかりで、老夫婦から与えてもらった平民の服を着ているのです。
何より、恐らく初めて会う父親である国王陛下に、このような姿で会えるはずもありません。
ですが、それは彼らも理解していたようです。
「王宮にお着替えと世話をする侍女も用意しております。どうぞご心配なさりませんように……」
そう言われては断ることも出来ません。そもそも彼らは陛下の命令で私を迎えに来ているのです。私がついていかなければ、罰せられてしまうでしょう。
「……分かりました…」
そして、私は周囲を彼らに囲まれて、用意されていた部屋へと案内されました。
「……なんてお労しい……」
部屋に入るなり、まずは身綺麗にしましょうと、浴室へ連れて行かれました。
ですが、裸になった私の姿に、世話をしてくれていた年配の侍女がそう言って、私に跪いたのです。
「あぁ。側妃様によく似たお子だとお聞きしておりましたのに、こんなに肌も髪も汚れて傷まれて……。お世話をする者はいなかったのでございますか!?」
あまりの汚れように湯船に入る前にと、全身を洗われると、あっと言う間に湯が黒く汚れて、それを何度か繰り返して、ようやく湯船に浸かることができました。
「……あったかい……」
お湯の入った浴槽に入るのは初めてでした。
足腰の弱った老夫婦に、たっぷりのお湯を用意してもらうのは申し訳なくて、いつもタライに注いだ湯を使って身体を拭くくらいでした。なので、全身を湯船に浸かることが初めての私は思わず息を漏らしてしまいました。
「そのままおくつろぎ下さいね。その間に髪に香油を塗り込みますから……」
ふわりと香るのは、吸い込めばスーッと気持ちが晴れるような香りでした。
「次はお肌を何とかしましょうね」
そう言って湯船から出され、横たわる私の全身にも香油が塗り込まれていきました。
「かなりお痩せになられてますが、これからたくさんお召し上がりになれば、国一番の美姫と言われた側妃様のようになられるでしょう!」
そう言って、私は生まれて初めて綺麗なドレスを身にまとい、化粧をされた自分の姿を鏡で見せられました。
「……これが私……?」
離宮に鏡などなく、水面に映る姿でしか見たこと無かった自分の姿を初めて見ました。
母と同じ色のプラチナブロンドの髪は、サラサラと肩に流れ落ち、父譲りと聞いた瞳は、色濃い青色の瞳でした。
そして、私の顔立ちは、亡くなった頃の母のように窶れていましたーーーー。
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