自作のキャラに続きを書けと転生させられました。

ミアキス

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一 これは夢です。

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「『わたセカ』の重版、並びにコミカライズ決定、おめでとー!」

「あざーすっ!これも、阿良々木あららぎさんの指導のおかげでぇす!!」

カンパーイ!と、二人でジョッキを軽く打ち合わせ、グイッと一気にビールを流し込む。
私、いずみ詩織しおり二十五歳。ネットでひっそり書いてた小説が、妹さんが読んでくれてたとこに兄の阿良々木さんが加わって…。
出版社で働いていた阿良々木さんが、色々助言してくれて、気がつけば作家デビューしてて、さらに阿良々木さんの担当作家さん(漫画家)がノリノリで挿絵担当してくれたばかりか、コミカライズの話をしてくれて…と。

「阿良々木大明神様様のお陰で、私は食べていけるのです!」

ドン!とテーブルにジョッキを下ろし、力説する私は、うん。完全に酔っ払いです。

「酔ってんなぁ……。ちゃんと帰れるのか?薫流かおるくん呼んどくか…」

手に負えなくなる前にと、阿良々木さんが私の弟の薫流に連絡をしてるのも気づかずに、私の感謝語りは止まらない。

「重版したのは、挿絵担当して下さった、ユエ先生のお陰です!そして、ユエ先生の担当が阿良々木さんだったから!ユエ先生が挿絵を引き受けてくださったとも言えるのです!!」

もう本心ダダ漏れで、止まんなかったよね。

「姉ちゃん、飲みすぎだろっ!」

迎えに来た薫流にしがみつき、苦笑する阿良々木さんに見送られながら帰途につく。

「薫流ぅ~。か~お~るくぅ~ん…」

「んだよ…」

両親は一昨年、事故で亡くなり、二人っきりの家族になって、五歳下の弟は進学を諦めて…。

「ごめんねぇ、姉ちゃんがもっと速くデビューできてたら、大学行けたよねぇ……」

就職したばかりの私は自分のことだけで手一杯だった。そんな折の両親の死亡。諸々の手続きに走り回り、家のことは薫流に押し付けっぱなしの最低の姉だったと思う。
それでも文句言わずに支えてくれた大事な弟。

「薫流の仕事が休めるようになったら、行けなかった温泉旅行行こうねぇ……」

「……だな…」

フラフラしながら、薫流より前を歩く。
歩道橋を上がり、反対側の階段を降りようとした時だった。

ドン!

「へ?」

肩に何かが当たったと思った瞬間、フワッと体が浮いた気がした。

「姉ちゃん!!」

目の前に地面があると認識した瞬間、私の意識は途切れてしまったーーーー。


**********


『渡る世界は君のために』。通称『わたセカ』は、私のデビュー作にして、唯一の作品だ。

 主人公の高校男子、駿河するが竜貴たつきが歩道橋から足を滑らせて死んだ所から作品は始まる。
そして、テンプレの異世界転生。そこからのチート能力を駆使して、ヒロインのアルティシアと共に、時には恋敵と手を組んだり、時にはすれ違ったりと、色んな人に出会って成長しながら、仲を深めていくラブコメっぽい、異世界転生物。

ぶっちゃけ挿絵で売れたような気がする。
挿絵効果あるある。ジャケ買いの鉄板効果恐るべし……。

それでも、ファンレター貰ったり、ネットで感想貰ったりしたら、そりゃ調子に乗るよね、嬉しくて。
たまに修羅場中のユエ先生のとこに差し入れがてら、おさんどんしてたら四コマ書いてくれたのネットに上げてて、そこから興味を持った人達にも買って貰えたのは本当にあると思う。
まあ、作品的には二人を結婚させて…めでたしめでたし。の王道予定だった。

……だった?何で過去形?

ふらつく頭を押さえながら体を起こそうとしたが、手も足もピクリと動かせた感じがない。

何だ、これ?

直前までの記憶を振り返れば、どう考えても歩道橋から落ちたような記憶で終わっている。

あ、これ。私、死んでるやつだわ……。

自作のキャラと同じ死因かよ!って突っ込みながらも、一人残すことになってしまった薫流の事が頭をよぎる。

ごめんよ、薫流。よりにもよって、最後の肉親の私があんたの目の前で死んじゃうなんて……。
とりあえず私の財産はあんたが全部貰ってよね。借金は……、多分なかったはずだから。印税とかの手続きも阿良々木さんが教えてくれるよね。
あー……。阿良々木さんやユエ先生にも迷惑かけちゃうな。
未完成のまんまになっちゃった『わたセカ』だけど、最終的にどんな感じになるのかは伝えてあるんだし、…って、無理だよね。人様の作品、勝手にするような人達じゃないもん……。
ま、これも運命だよね、仕方ないかぁ…。

なあんて、意識をゆっくりと手放そうとした時だった。

「ふざけんなっ!こんな死に方してんじゃねえよ!!」

「ひいっ!」

耳元で叫ばれ、その勢いで体が飛び起きた。

んん?起きれた?あれ?生きてる??

周りを見回せば、どこもかしこも真っ白な空間で、そこになんか見覚えのある集団がいました。

「……え?竜貴?竜貴とアルティシア?え?え?」

 目の前にいたのは、『わたセカ』の主要キャラ達です。

「………なあんだ。死んだんじゃなくって、夢見てんのかぁ……」

ホッとしました。
だって自作のキャラと作者が話せるなんて、夢の中の話ですよ。妄想です、妄想‪w

気絶してるのか、重体なのか分かりませんが、とりあえず生きてるのだと安心した。

「…いえ。あの創造主様はお亡くなりになってますのよ?」

金髪碧眼というお約束とも言える姿の聖女であるアルティシアが、頬に手を当てて可愛らしく首を傾げながら、とんでもない事を口にしてくれた。

「…………なんて?」

「ですから。創造主様はお亡くなりになっているのですわ」

……よし。寝よう!

私はどうやら夢の世界にいるのだと、再び眠りにつくのだったーーーー。








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感想 1

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みんなの感想(1件)

きんた
2021.12.02 きんた

そりゃ長期戦突入だねぇ(笑)

解除

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