惑星監視官、魔王になる - 助けて魔王様って言われてもそりゃ銀河条約違反だっての! 勘弁してくれよ、ったくしょうがねぇなぁ!? -

ふつうのにーちゃん

文字の大きさ
26 / 46

・惑星監視官、サイボーグ部隊を迎え撃つ 1/2

しおりを挟む
 指定の座標で待つこと約1時間、やつらはようやく待ち合わせポイントである廃墟にやってきた。コルベット船のデータベースにはここが栄えていた頃の映像もあるが、今は誰も暮らしていない。

 そういった場所でなければ決戦場に不適当だった。
 ここはここの支配者が持っていた古いダンスホールだ。80名ほどの団体を迎えるにはちょうどいい。

「あ、どもーっす! アンタのクソ上司ならもうすぐくるんで、しばらく俺とお喋りでもどうっすかー!?」

 まず様子身だろう。正規兵とは思えない長髪の赤毛がやってきた。

「お、おう……軽ぃな……?」

「俺、アンタのファンなんす。特にあの演説、面白過ぎだったった!」

「マジ軽ぃのな、お前さん……」

「俺はジャックっす! で、ヨアヒムさんはどうやってファンタジアに降りたんすか? 軍用コルベット2隻でやっとこさ破れるくらいの堅固な惑星シールドを、研究用コルベットでどうやって……っっ!?」

 どうやらこの男は、全てを面白半分に受け止めて生きるたぐいの人種のようだ。少なくとも正規兵には見えなかった。

「おう、コルベットから地上にワープしたんだ」

「はははっ、生身でジャンプドライブ使ったってことっすかぁー!? 100億%死ぬっすよぉ、それぇーっ!」

「ま、知りたきゃ後で教えてやるよ。……後でな」

 俺はこいつら同胞を星の世界に帰す気はねぇ。だからといって同胞を殺すのも忍びねぇ。だから後で、よーくわかってもらうつもりだ。

「あ、やっとくるみたいっすよ」

「重役気取りかよ」

「俺、アイツ嫌いっすぅー、ハハハハッ!!」

「気が合うじゃねぇか。ま、アイツが好きなやつなんて、そうそう――おっと……」

 間の悪いタイミングでゴードンが現れた。ヤツはレーザーピストルを俺に向けたまま、青ざめた顔で足音を立てた。

「私は君が好きだよ、ジャックくん。君はこの男を殺戮してくれる優秀な戦闘員だからね……」

 ダンスホールに白兵部隊がなだれ込み、俺は囲まれた。コルベットの軍属は外で待機しているようだ。

「カメラを回せ、バーニィ、私と一騎打ちをしよう」

「いやぁ、レーザーピストル握って一騎打ちって言われてもなぁ……?」

「ならば全員がいいかね?」

「わかったよ。けど後で『こんなバカな』とか言わないでくれよ?」

 レーザーピストルはレーザー系武器やシールドがあれば防げる。分厚いプラスチール装甲でもいい。だが俺はそういった物は持ってこなかった。

「ヒヒヒッ、やめてくれたまえ。旧型のフレーム、旧型の動力しか組み込まれていない半端物の君が、私に勝てるわけがないだろう……?」

「使いこなせなきゃ意味ねぇよ。パーツの性能が戦力の決定的要因でないことを教えてやる」

 ゴードンは短気だ。挑発の混じった声色で言ってやると、やつのレーザーピストルが閃光を放った。

「無言でトリガーを引くとかよ、正気を疑うぜ、さすがによぉ……?」

「ぅ……ぁ……ぁぁ…………っ?」

 俺は惑星ファンタジアの監視官だ。科学の通じない奇跡の力・魔法にはよく精通している。その魔法の中にはあらゆる攻撃を歪め、反射させるものがある。

 反射魔法リフレクトだ。俺はX線レーザーを奇跡の力で跳ね返し、いけ好かねぇクソ上司の腹に命中させた。
 で、その結果、なんとも恐ろしい直径3センチもの風穴がヤツの腹に生まれていた。

「き、貴様……今、何をした……? な、なぜ……こ、これは……あ、穴……?」

「うおすげぇぇーっっ!? 今のなんなんだっ、ヨアヒムさん!? X線レーザーを跳ね返すやつとか、俺初めて見たっすぅー!」

「ははは、コイツぁ種も仕掛けもねぇ魔法だよ」

 ゴードンは再びレーザーピストルをこちらに向けた。突然のことでまだ何が起きたのかわかっていないようだ。

「止めとけよ、それ以上撃つと命に関わるぜ」

「高い金を払って作らせた身体に、こ、こんな醜い傷を……っ、殺してやる……殺してやるぞ、ヨアヒムゥゥ……ッッ!!」

 ゴードンはレーザーピストルを連射した。合計5つの閃光が走ると、その兵器は早くもエネルギー切れを起こした。

「ぐ……が……バ、バカ、な…………っ」

「言うなって言っただろ、そのセリフ。レーザーの出力を上げすぎたのが仇となったみてぇだな」

 胸部に2発、わき腹に1発、右ふとももに1発、それにこめかみをかすめるように最後の1発。光の盾にそれだけ跳ね返されても、ヤツは死ななかった。

「隊長、なんか風色が悪かねぇっすかぁ……? これいったん退却しちゃいましょうよぉ……っ」

「貴様、寝言を抜かすな……っ! こ、殺せっ、ヨアヒムを殺せぇぇーっっ!!」

 ジャックの判断は賢明だった。だが隊長の判断は攻撃だ。コモンウェルスのサイボーグ部隊が、プラスチール製の剣で一斉に襲いかかってきた。
 ジャックか? ヤツはちゃっかり命令に従って斬りかかってきたぜ。

「ライトニングチェインッッ!!」

「ギャーーッスッッ?!!」

 金属パーツだらけのサイボーグ部隊は雷魔法の餌食だった。この術は対象から対象へと連鎖するのが特徴で、密集状態の相手にもまた効果的だ。

「貴様ら気を付けろっ、ヨアヒムは惑星ファンタジアの猿どもと同じ超能力を持っている……!!」

「ははは、今さら気付いてもおせーよ」

「だが半分は生身っすっ! 首さえ取れば――うっげぇーっ?!」

「これはアイアンスキン。皮膚を鋼鉄に変える魔法だ」

「う、嘘だろぉっ、なんなんすかアンタァァーッッ?!!」

「お前こそやるじゃねぇか、ジャック。お前さん面白ぇし、俺っちの仲間にしてやってもいいぜ」

「それは惹かれるっすけど、俺にも契約があるっすから……残念っ!!」

 俺はサイボーグ部隊を一体一体無力化していった。やつらはやたらに頑丈だ。それに後のことを考えれば、機能に影響するような深いダメージを与えたくない。なかなか手を焼かされた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

王国の女王即位を巡るレイラとカンナの双子王女姉妹バトル

ヒロワークス
ファンタジー
豊かな大国アピル国の国王は、自らの跡継ぎに悩んでいた。長男がおらず、2人の双子姉妹しかいないからだ。 しかも、その双子姉妹レイラとカンナは、2人とも王妃の美貌を引き継ぎ、学問にも武術にも優れている。 甲乙つけがたい実力を持つ2人に、国王は、相談してどちらが女王になるか決めるよう命じる。 2人の相談は決裂し、体を使った激しいバトルで決着を図ろうとするのだった。

交換した性別

廣瀬純七
ファンタジー
幼い頃に魔法で性別を交換した男女の話

処理中です...