戦略RPGの悪役元帥の弟 落ちてた『たぬき』と夢のワンダーランドを築く - コンビニ、ガシャポン、自販機、なんでもあるもきゅ -

ふつうのにーちゃん

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【降伏】全部なかったことにするために:是是是是是

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『2万……いや、生き残れるなら5万シルバー出したって惜しくない!』

『ちくしょうっ、とにかくそれでどうにかなるなら、今回の稼ぎを持ってけ泥棒っ!!』

『僕、妹を守りたい! 僕のおこづかい全部あげる! だから大好きな妹を守ってっ、領主様!』

『オホホホッ、坊やサイコーよぉーっ、アタシッ、坊やに10万シルバーあげちゃうっ!』

『なんじゃとぉっ!? ならわらわは20万シルバーじゃっ! ふっ、これでわらわの勝ちじゃなっ!!』

『それじゃ~、ママは40万シルバーあげるわ~♪』

『あたしがいないと本当にダメなんだからっ!』

『あ、あたしも……っ、今日まで稼いだお金っ、アルトにあげたい……っ!』

 きた! きた! きたきたきたっ!
 僕の中にお金パワーがたまってきたー!!
 今や僕は大フィーバー、ジャックポットの中心にいる男それが僕!

――――――――――――――――――――
【財政】
 ザラキアは数多の出資を受けた!
 ザラキアは【兵糧】2600と【金】3160、各種資源を受け取った!
 【兵糧】5040(+2600)
 【金】 5908(+3160)
 【木材】244(+100)
 【石材】212(+200)
――――――――――――――――――――

 そしてついに目標額達成! この戦、いける!

「な、なんだ……? アルト・ネビュラートは、何をやっている……?」

 ちょうどそこに襲撃者である騎士フィリップが突入してきた。
 しかし彼の登場はもはや手遅れ、次なるジャックポットへの確率変動キャラ登場だー! ラッキー! としかならない!

 金貨に埋もれて金の力を求める領主の姿に、彼は戸惑いに戦いを忘れてしまっていた。

「やあ、正義の騎士フィリップ・バートン、遅かったね」

 皮肉と受け取ってしまったのか、騎士フィリップは表情を曇らせた。それから目的を思い出したのか、血にまみれた剣を片手にこちらへ迫る。

 けれど騎士フィリップの前進を阻む者たちがあった。僕の仲間たちだ。陣痛で立っていられないはずのロゼッティアまでもが前に出て、希望の力を持つ僕をかばってくれた。

「く……っっ、何をやっているかわからぬが、頼む……もう降伏してくれ……自分はこれ以上、君たちを……っっ」

 騎士フィリップは高潔にして誠実。彼が民間人を斬ることはない。
 僕はかかげていた両手を下げて、自分を埋もれさせていた貨幣の山に登り直した。

「残念だけど、既にそういうターンは終わったんだ」

 それから挑戦的に両手を組み、相手を見下ろす。

「何……?」

「これから始まるのは、貴方がたった今かけたはずのチェックメイトを――」

 画面を高速で操作した。一斉に、全ての建設コマンドを実行するために、建設確認のウィンドウで画面を埋め尽くした。

 建設するのは以下の防衛施設だ。

――――――――――――――――――――――――――――
【関】
 Lv1【費用 金800 石材250】
    【効果:耐久2000/2000】
     【効果:耐久800/800】
【魔法結界】
 Lv1【費用 金2000】
    【効果:防衛施設耐久+1000】
【魔法銃眼】
 Lv1【費用 金2000】
 【効果:都市攻撃力+250 魔導師が銃眼より攻撃可能】
【落とし穴】
 Lv1【費用 金500 木材200】
    【効果:落とし穴発動】
【スライム罠】
 Lv1【費用 兵糧5000】
    【効果:スライム罠発動】

・全ての必要リソース
【金】  5300
【兵糧】 5000
【木材】 200
【石材】 250
――――――――――――――――――――――――――――

 これだけの防衛設備を整えたザラキアに、攻めかかる愚か者がいるだろうか、いやいない。
 これらの施設を最初から存在していたことにすれば、確実に、この場にある全てが改変される!


「僕がチェス盤ごと全部ひっくり返すターンなんだっっ!!」



―――――――――――――――――――――
 【施設:関】を建設してもよろしいですか?
 →・是 ・否

 【施設:魔法結界】を建設してもよろしいですか?
 →・是 ・否

 【施設:魔法銃眼】を建設してもよろしいですか?
 →・是 ・否

 【施設:落とし穴】を建設してもよろしいですか?
 →・是 ・否

 【施設:スライム罠】を建設してもよろしいですか?
 →・是 ・否
―――――――――――――――――――――

 是、是、是、是! 全て是!
 不足している【石材】38の【金】152での自動購入も脳死で是!
 僕は民と侵略者の目の前で、全ての建設もコマンドを実行させた!

「なんだ……? 今、何をしたのだ……?」

「何って、全部なかったことにするための特別な儀式だよ」

「ますますわからない……。とにかく降伏してくれ」

「いいよ、降伏する」

「な、何……っ、なっっ!?」

 僕は光となって消えてゆく貨幣の山から飛び下りた。そして一直線にロゼッティアの前に駆け込んで、ムチャばかりする彼女を抱き支えた。

「えへへ……人前でくっついてくるなんて、今日のアルトに積極的だなぁー……」

 その場に横にならせて、これで最期かもしれないから真剣に彼女を見つめた。

「改変が始まる前に、ロゼッティアに伝えておきたいことがあるんだ」

「へへ……何……?」

「もし、これで僕と君の関係が別の形に改変されてしまっても、僕たちが他人に戻ってしまっても、僕は必ず君を見つけだして、もう一度彼女になってもらうよ。お腹の中のこの子を、もう一度君と作るよ」

 大切な僕たちの子供が宿る、大切なお腹を撫でた。

「あはは……大げさだなー、アルトは……。でも大丈夫、心配ないよー。他人になっても、あたしの方からまたアルトを口説くから」

「いや、次は僕の番だ」

「無理無理、アルトって恋愛になるとヘタレだしー♪ じゃ、あたし……この子と一緒に、新しい現実で待ってるからね……」

 現実に目を向けると、既に改変が始まっていた。世界全体が真っ白に薄れていっていた。僕たちの周囲にいた人は、みんな光りとなって消えていった。

 こんな現象はこれまで見たことがなかった。それだけ今回の出来事は、改変による影響範囲があまりに大きくて、こうでもしないと修正が追いつかないのかもしれない。

 僕の両手からロゼッティアとお腹の声が消えると、涙があふれるくらいに重い喪失感が胸を突いた。

 僕は銀の目の力を使い、みんながくれたお金で新しい歴史を買った。
 ザラキアに完璧な防衛体制が整っていた可能性の世界を、ここにもたらした。

 全てが再構成されてゆき、僕も白い光の中に消えていった。
 敵も、味方も、死者も、生者も、もう一つの可能性の世界へと、逆らうことも許されずに飲み込まれていった。
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