心のエンゲージ

鷹夜月子

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第4話 優しく溶けゆく心

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海から車を走らせ30分、輪廻の家に着く。
家といってもマンションで輪廻は一階の端っこの方だ。
鍵が開くと殺風景な部屋が広がる。置いてあるのはテーブルと大きい本棚だけである。
「な、なんですか、黙りこんで。どうせつまらない部屋と思ったんでしょ。夏姫さんのことだし私の弱みになりそうな物でも探す気だったんでしょ。」
「あら、半分正解。」
「半分!?」
冗談に言ったことを半分肯定され驚く輪廻。
「つまらないとは思わないわ。私にとっては貴女の全てに興味あるもの。何かを探すってとこは正解。まあ、別に弱みを探そうだなんて思ってないけど。」
「さ、探すって一体何をっ!?」
「んー、アルバムとか?」
「ないですが?」
「ポエムノートとか?」
「ないです。」
「そうねー、輪廻ちゃんの好みを調べてみようかしら。」
「好み?」
「そ。本棚を見て見ようかしら。」
「っ!?や、やめてください!!」
「あら、意外な反応。なあに?見られてマズイものでもあるのかしら。」
「う…」
どうやら図星の輪廻。
「…私達、仮のとはいえ恋人よ?まあ、近いうちに仮じゃなくなるけれど。付き合ってたら否が応でも見られてしまうわよ?」
「っ!!」
恥ずかしいからなのか輪廻は顔を真っ赤にし、キッチンに走っていった。
「さてと…」
改めて本棚を見る。
一見普通だ。ホラー、ミステリーものばかり並んでいて、同じ作者の本ばかりだ。
「しかも、この”双葉馨子(ふたばかおるこ)って私の知り合いなのだけど。」
(誠といい、すごい偶然ね。)
そして一番下の段に官能小説が置かれていた。しかも全てが百合もの。
「ふふ、これが見られたくない奴ね。」
本を手に取ってみようかと手を伸ばしたがその手を輪廻に掴まれる。
「怒りますよ?」
「あら、別に良いじゃない。この本の様なこともうしてるんだし。」
「そういう問題じゃ…。」
「ふふ、ムキになって可愛い。あ、そういえば貴女の本棚って双葉馨子の本が多いのね。」
「ええ、昔からのファンなんです。全部楽しくて…。まるで作品に引き込まれているかの様な錯覚を起こすくらいに…。とにかくすごい人です。」
「…会ってみたい?」
「え?そうですね。会えるなら一度会ってみたいです。こんな凄い作品を生み出してくれる人がどんな人か気になります。」
「貴女にこんなに想われるなんて嫉妬しちゃうわね。」
「へ?」
「それにしても…こんな偶然、あるのね。貴女の御執心なその小説家は私の知り合いよ。」
「え?」
「そんなに会いたいなら会わせてあげるわ。但し、私が横に居るけれど。」
「良いの?私…」
「まあ、精神の疲れには好きなものが効果的だから良いじゃない?」
(ただ、私が嫉妬に溺れてしまわなければ良いのだけど…。)
「夏姫さん?ボーっとしてるけれど?」
心配そうに輪廻が夏姫の顔を覗き込んでいた。
「え?ああ、ごめんなさい。ちょっと考えごと。ふふ、らしくない自分がおかしくてね。」
「らしくない?」
「人を好きになったら性格も変化するのね。今まで知らなかっただけで本当の自分はこうなんだって。」
「そうなの?」
「あら、貴女には経験ない?」
「別に性格は…。夏姫さんはそうなの?」
「私割と、さっぱりした性格なの。なんというかものごとに対して執着心がないのよ。でも、貴女を好きになった時、全然違う感覚がしたわ。狂おしいくらいの感情に焼かれ、貴女が居ない日が退屈で仕方なかった。」
そう言いながら、夏姫は輪廻をふわりと押し倒した。
「いつの間にか貴女のいる日常がこんなにも愛おしくて会えない日が狂おしくなって…。今、貴女が別の女の話で嬉しそうにしてるのだって嫉妬でおかしくなってたわ。…本当に。」
「夏姫さん?」
「医者の私が貴女を笑顔にするのは時間を費やしたというのに、小説のおかげで馨子は名前だけで笑顔に出来た。悔しいわ。…貴女も困った子。私だけを見てれば良いのにってずっと考えてしまう。」
「私は…まだ仮の恋人で…」
珍しく不機嫌な夏姫に困惑し、どう言葉を紡ぎ出せば良いのかと輪廻は困り果てていた。
「だから…えっと…」
「ねえ、もう黙って。」
「んんっ!?」
両手で顔を包まれ口付けで口を塞がれる。
「ふ…ん、っ」
舌が絡まり、まるで口腔内の全てものを奪うかのように舌が蠢く。
息が苦しくて、眩暈がしてきたところで口が離れ、銀色の糸を紡ぐ。
「は…夏姫、さん…。」
「…あ、ごめんなさい。私ったら…。怖い思いをさせてしまったかしら?」
不機嫌が落ち着いたのか、慌てて謝る夏姫。
「ううん、大丈夫。」
そう言った時だった。
「あ、私お鍋に火をかけたままだった!!」
料理を作っていたのを思い出した輪廻は弾かれるようにキッチンへと向かった。
料理はギリギリ焦げてはなかったがなかなかに煮崩れている。
「…まあ、ギリセーフってことで。」
用意していた器によそうとテーブルへと運ぶ。
他にも冷蔵庫から海藻サラダを取り出し、並べる。
「ちょっと失敗してますができましたよ。」
「失敗?こんなに美味しそうな匂いがしてるのに?」
「ちょっと煮すぎてしまって崩れが酷いです。」
「ふふ、どうせ噛んで崩れてしまうから一緒よ。早速食べても良いかしら?」
「どうぞ。…ってなんか照れ臭いですね。」
輪廻はそう言ってそっぽを向く。
その頬は紅く染まっていた。
「ん、美味しいわ。とっても暖かくて優しい味。」
「辛すぎたりしません?だいぶ煮詰まってると思うのですが…。」
「丁度良いくらいよ。輪廻ちゃんって料理上手なのね。」
「上手って程じゃないですよ。1人だったから必要最低限のレベルです。」
「そうは思えないくらい美味しいけど…。料理習ってたりしたのかしら?」
「いえ、独学です。」
「独学でここまで上手く…。お世辞抜きで凄いわよ。」
「…白状すると、私昔付き合ってた人がいて、その人に喜んで欲しくて勉強してたんです。美味しいって喜んで食べてくれたらそれだけで幸せな気持ちで溢れて…。」
「そうだったの。どおりで美味しい訳ね。」
「っ!!本当ですか!?本当に美味しいですか?」
「ええ。どうしたの、いきなり?」
「あ、いえ…その、昔付き合ってたその人と酷い別れ方をしたから。夏姫さん優しいしお世辞じゃないのかなって。勿論、あの子とは違うって分かってます。でも不安で…。」
「私の方こそごめんなさい。辛いことを思い出させてしまったわね。でも、大丈夫なら聞かせて欲しいわ。その付き合ってたって子のこと。」
輪廻はしばらく黙り込み、深呼吸をした後に再び口を開く。
「私が高校生の時でした。クラスと部活が一緒の美人な女の子がいました。その子は皆に優しくて文武両道で誰からも好かれる様な子でした。…まあ、猫被りだっただけと後で分かったんですけど。でも当時の私は何も知らなくて…。その子に好きだから付き合ってって言われた時は嬉しくて何も考えずに了承してしまいました。それから一年半くらい付き合ってて。彼女、食べる事が好きだから私は料理を勉強して作って、彼女が笑顔になってくれるのが嬉しくて…。それがいつの間にか日課になって。それで…。」
そこで話が途切れる。
「大丈夫?」
「私…わた…」
次第に涙が溢れて輪廻は自分を抱きしめながら静かに大粒の涙を流す。
「大丈夫よ。」
そう言って夏姫は輪廻を優しく抱きしめる。
次第に輪廻は落ち着きを取り戻し再び口を開いた。
「ある日でした。私はいつも部活の自主練で朝早から学校にいて、たまたま早めに切り上げて部室を出たんです。部室の準備室の灯り…自分はつけないのについてたから気になって近づきました。そこには、私と付き合ってたその子と同じ部の子がいました。その子が言ったんです。私のことを『気持ち悪い』って。」
「っ!!」
「料理、たいして美味しくないのに作って来るから迷惑とか、ストーカーみたいに自分のこと調べて気持ち悪いとか…。私、何か事情があって言ってるんだって思って聞いたんです。その日の放課後に呼び出して。嘘だよね?って。そしてたら、笑われました、『おめでたい奴だ』って。さらに私は聞きました。どうして自分と付き合ったのか。遊びでした。私が付き合うにいくら、私が料理を作り出すにいくら、みたいに賭けの道具にされたんです。しかもその日渡していたカップケーキを彼女は私の前で踏んでゴミ箱へ…。」
「もういいわ。」
「踵を返す彼女に何か言わなきゃって。私追いかけようとして…」
「もういいって。」
「嫌がった彼女に突き飛ばされて階段から落ちて…目が覚めたら病院のベットの上、で…。」
「もういいって言ってるでしょ。辛いことを聞き出してごめんなさい。」
「…私、死にかけたって分かった時に決めたのに。もう、誰も信じないって。また裏切られてこんな苦しい思いするくらいなら、ずっと1人で居たら傷つくことないからマシだって。そう…思ってたのに。」
輪廻の言葉をただ静かに聞く夏姫。
「夏姫さんに出会って、私は温もりを…暖かさを、思い出してしまって…。」
輪廻は夏姫を強く抱きしめる。
「私、苦しいです。だから…その…ち、治療、してください!」
普段の輪廻からは想像出来ない言葉に夏姫は驚く。
「治療って…私がした荒治療のこと?」
輪廻はその問いに頷く。
夏姫は優しく笑うと輪廻を押し倒してシャツのボタンを開けていく。
「せっかく我慢してたのに。後悔しないでよ?」
「しませんよ。…わ、私だって我慢、してたんですから。」
「あら、そうなの?」
「…す、水族館の時に…耳…っ」
恥ずかしくなってきたのか、そこまで言って輪廻は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。
「ああ、耳攻められるの、そんなに気に入った?」
そう言って夏姫はイタズラな笑みを浮かべると輪廻の耳を舌でなぞる。
「ひうっ、や!み、耳!耳はっ」
全身をビクビクと震わせる。
「ふふ、耳だけでこんなに反応しちゃって可愛い。」
夏姫は耳から口を離すと今度は小さい蕾へと近づけた。
「んっ、胸は…あ」
モジモジと身じろぎ、内腿を擦り合わせる輪廻。
「そんなにしたかったの?」
夏姫はそう言う言って手で足を広げてそこを覆う布を取り去る。
ふーっと息を軽く吹きかけるとそこは物欲しそうにヒクヒクと動いた。
「は、恥ずかしいから…そんなまじまじと見ないで…」
「ふふ、じゃあどうしたら良いかしら?」
「っ!!い、意地悪、です。」
涙目で夏姫を見る輪廻。
「言わないと分からないわよ?」
その表情が夏姫の欲情をより、掻き立てる。
「うう…………て……い。」
「聞こえないよ。」
「指、入れて下さい。」
「何処に誰の指をかな?」
「っ!?な、夏姫さんの指を……う、うう」
輪廻の目に涙が溢れていく。
「ごめん、ごめん。虐めすぎたかな。」
夏姫はそう言って輪廻の額に口付けを落とすと指を自分の口へ入れ、唾液を絡める。
「こんなにぐちゃぐちゃに濡れて…これなら一気に入れても良さそうね。」
夏姫はそう言うといきなり3本もの指を中へ入れてきた。
「ひあっ!?」
一気に入れられるとは思ってなかったようで、大きく身体が跳ねたあと、輪廻は夏姫を睨みつける。
「いきなり…こんな…。」
「口で反抗しても身体は正直ね。ほら、私の指を離してくれないんだけど?」
輪廻のそこは夏姫の指を離すまいときゅうっと締め付けていた。
「は…先生…。」
「あら?先生って呼んで良いの?」
からかう夏姫。しかし、輪廻にはもう余裕はなく、快楽に溺れてしまった。
「……い、です。……て。」
ぽつりと輪廻が何か呟く。
「え?ごめん、聞こえなかったわ。」
「切ない、です。助けて…。」
「切ないの?」
「…胸がキュッてなって苦しい…。」
そう言って夏姫の手をいきなり掴んだかと思うと、自ら動かし快楽を得ようとする輪廻。
「ふあっ!!」
「輪廻ちゃん!?」
輪廻の意外な行動に驚く夏姫。
「んん、もっと…して、私……わた、し…っ!?」
そこで我に返った輪廻は慌てて手を離す。
「ち、違っ、私…っ!!」
顔を真っ赤にし、慌てて離れる輪廻。
「あら、どうしたの?もっと好きに楽しんでくれて良いのよ?積極的なのも好きよ。」
「い、今のは忘れてください!!」
そう言って輪廻は逃げようとするが夏姫に腕を掴まれ引き寄せられる。
「なんで逃げるのかしら。さっき自分からして欲しいって言ったじゃない。」
「い、言ってないっ。」
確かに輪廻は言葉に出して言った訳ではない。
「でも少なくとも拒否はしてないでしょう?私がして欲しいのか聞いたら頷いたじゃない。」
「う…き、気が変わりました。」
「あら、ダメよ。先生って呼んだお仕置きがまだ済んでないし、そんな可愛い姿見せられたら止まれるわけないじゃない。諦めて私に身を任せなさい。」
そう言って夏姫は逃げようとする輪廻の腕を掴むと引き寄せ押し倒す。
「だ、駄目っ!!声…外に漏れちゃう…。」
「あら、聞かせてあげれば良いじゃない、貴女の可愛い声を。」
「なっ!?可愛くないし、恥ずかしい…です。」
「うふふ、じゃあ塞いであげるわ。」
そう言って夏姫は唇を重ねる。
「んむっ!?」
舌が絡まり身体痺れ、何も考えられなくなった。
「今日はしない予定だったからそういうの持ってきてないけど…今度病院に来たらもっと凄いのしてあげるから今日は指で我慢してね。」
「んっ!」
夏姫の細くて長い指が3本、中に入ってくる。
ぐちゅぐちゅと膣をかき混ぜられ輪廻はガクガクと身体を震わせる。
「だ、駄目っ、も…あっ」
「可愛いわよ。もっと私で感じて。」
そう言って夏姫は指の動きを加速させる。
「んん、いきなり激しくされ、たらっ!!」
涙目になっていく輪廻。
「イきそうなのね。良いわ、イッて?」
「んああっ!!!」
大きく身体が跳ね、絶頂を迎えたことを知らせる。
と、その時だった。



ピンポンー。



玄関のチャイムが鳴る。



慌てて服を着て輪廻は玄関を開ける。
「あ、回覧板…です。」
「ど、どうも。でもなんでわざわざ…?今までポストに入ってましたよね?」
「それは…その、こ、声が漏れてるから教えておこうと…。」
その言葉に輪廻は一気に顔が赤くなる。
「っ!!ど、どこから聞いてました?」
「え?あの…だ、駄目って言ってるあたりからですが…。あ、お邪魔してしまいすいません。」
「い、いえ…。」
2人が話していると奥から夏姫が現れる。
「輪廻ちゃん、来客なら私……え?馨子?」
「あら、性悪医者じゃない。」
「え?」
状況が整理できず戸惑う輪廻。
「…もしかしてこの子襲ってたの?可愛そうに。」
「失礼ね。合意の上よ。」
「えっと~…」
「ああ、ごめんなさい。輪廻ちゃん、この人が双葉馨子よ。」
「え、ええっ!?」
まさか同じマンション、しかも隣に住んでいるとは思っていなかった。
「馨子、良かったわね。この子、貴女の大ファンらしいわ。」
「そうなの?」
「え?は、はい。本全部買って読みました!」
「全部って…私の作品官能小説もあるんだけれど…。」
「それも持ってたわよ。私が本棚見たとき、貴女の作品で3段は埋まってたわ。」
「ふうん?大人しそうな顔だけど意外とビッチなんだ?」
「びっ!?」
「そうそう。感じやすくてエロいわよ。」
「…夏姫さんは黙って下さい。」
少し怒っている輪廻。
「どうして怒ってるの?」
「夏姫さんが無神経だからに決まってるじゃないですか。」
「ところで君とそこの性悪は何で一緒に居るの?」
「私は…」
「恋人よ。」
「…ストーカーの間違いでは?」
思わず言い返してしまう輪廻。
「…そうだ、君に1つお願いしたいことがあってね。明日の夕方は時間あるかな?」
「ないわ。」
「なんで性悪医者が答えるのかしら。」
「夕方空いてますよ。」
「輪廻ちゃん?行くつもり?」
「え?そうですが…。」
「っ!!だ、駄目よ。私、明日は会議だから明後日にしなさい。」
「は?」
思わず聞き返す。
「その女は危ないわ。だから2人で会うのはやめなさい。」
「…夏姫さんが言える立場じゃないと思いますが。というか失礼ですよ。」
「っ!!」
夏姫は怒ってしまったのかそれから何も言うことなく、出て行ってしまった。
「ほう?あの夏姫があんな感情的になるなんてね。いやあ、珍しいもの見れたよ、ありがとう。じゃ、明日はよろしくねん♪」
一方、馨子はご機嫌に去っていった。




次の日、輪廻は仕事が終わると馨子の所へ向かった。
チャイムを鳴らすとしばらくしてから馨子が出てきた。
「いらっしゃい。上がってー。」
そう手招きされる。
「ちょい散らかってるけど…。」
上がった家は確かに原稿用紙が散乱していて散らかっていた。
「あの…それで、お願いとは一体何でしょう?」
輪廻が聞くと、馨子はにいっと笑うとその場に輪廻を押し倒した。
「ちょ、いきなり何ですか!?」
「…貴女、もっと警戒した方が良いんじゃないかしら。じゃないと、私みたいな悪い人に騙されるわよz。」
「え?」
理解が追いつかず、動けずにいると服が脱がされていく。
「ま、待って下さい!いきなり過ぎて何が何なのか…。私は何かお願いがあって呼ばれたんですよね!?」
「そうだよ。私のお願いはこれだから。」
「は?」
「昨日、貴女のお陰で新しい小説のネタがきたわ。だから新しい小説の執筆の為に責任持って協力してもらうわ。」
「え…えっと、ど、どんな小説を書くつもりなんですか?」
「気付いてるんじゃないの?私の小説全部読んで私のファンというなら、ね。」
輪廻はやっと理解出来た。
馨子の作品には官能小説もある。つまりはそういうことだ。
「官能…小説?」
「そうよ。昨日、夏姫としてた時の声に私は興奮したの。なんて艶やかで綺麗な声だろうって。それからインスピレーションが降って来たわ。だけど1つ大きな問題があって納得のいく作品が出来ないのよ。」
「大きな問題?」
「そう。大きな問題。私はしたことがなかったのよ。」
「…はい?」
「だから、官能小説を今までは想像でしか書いてなかったの。行き詰まったらネットで体験談を見たり、ネットで動画を見たりして何とかね。でも、それも限界があってね。やっぱりリアリティが出ないのよ。」
「えっと…話がまだ見えないんですけど。」
「ワザと?言わせたい何て実はSなのかしら。私は貴女を抱くわ。」
「っ!?私はだ、ダメです!」
「どうして?」
「どうしても何も私は夏姫さんと…」
(仮なのに恋人って言って良いのかな?)
なんて考えていると胸をやんわりと揉まれる。
「ん…」
「夏姫とは付き合ってないんでしょ?なら、問題ないじゃない。」
「ん、それは…」
返す言葉を探している内にも馨子の手が輪廻を犯してくる。
「や!?」
馨子の指が輪廻の秘部をなぞる。
「抵抗する割にここはぐちゃぐちゃに濡れてるわよ?ほんとは嬉しいんじゃない?」
「そんなことな、いっ!」
馨子の指がクリトリスを集中的に弄ってくる。
「う、あ…ら、らめっ!!」
ビクビクと輪廻の身体が震える。
「やっぱり女の子ってここ感じるのね。他はどこが良いのかしら?」
そう言いながら馨子は指を一本、輪廻の中へと侵入させる。
「やっ、あっ」
ずっとクリトリスを弄られてたせいか、中は狭く締め付けが凄い。
指を離すまいときゅうきゅうに締め上げている。
「そんな千切れそうなくらい締め上げて…気持ちいいってことかしら?」
馨子は中の指を動かしていく。
「ん、…ふ、あ…や」
必死に声を押し殺す輪廻。
「声我慢してるの見ると余計に激しくしたくなるわね。」
ニヤリと笑いながら指を色んな所へ動かし、刺激する。
…とー
「ひいんっ!!」
輪廻は声をあげ身体を震わせた。
「今の…イッたのかしら?初めてするから分からないわ…。でも、今の声はイッた可能性高いわね。…ねえ、どうなの?」
「ふ、っあ…」
輪廻は必死に声を押し殺そうとするのに誠意一杯で質問に答える所じゃなかった。
「そんな必死に腰を振っちゃって…そんなに気持ちいいの?」
「ち、違…腰振ってな、んかっ」
「そんなことないわ。……輪廻は否定しながらも身体は正直で、妖艶に腰を振る。」
突如に小説の一文の様な話し方になる。
「その蜜壺からは床に滴り落ちる程の愛液がぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てて溢れ出ている。」
否、彼女は小説を作っているのだ。今、この瞬間に。
「ふあ、も、しかして…これ、小説に…」
「ああ、流石に名前は伏せるがな。」
「っ!!当たり前です!!」
「ふふ、本当じ良いわ。まさに理想。」
そううっとりと呟く馨子。
「さあ、もっと私を昂らせて頂戴?」
そういうとさっき声をあげてしまった所を集中的に激しく攻められる。
「いっ!?や、やめっ!!」
懇願するが、聞き入れては貰えない。
やがって息が荒くなり、再び絶頂を迎える。
荒くなった息を整えていると、額にキスを落とされる。
「貴女程私の理想の人はいないわ。好きになっちゃった。」
「…は?」
理科出来ずに聞き直す輪廻。
「また手伝ってね、私の可愛い子。」
馨子はただ、そう微笑むのだった。
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