勇者パーティの1人が悪の幹部に恋をしたのですが

鷹夜月子

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第1章 悪の対価勇者への代償

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この世界には正義と謳われる勇者一行と悪と言われる悪の組織、ユーベルがある。
勇者一行は勇者ギルドで集った者で結成されたパーティである。
今はギルドの依頼で魔物の大群が村を襲撃しないよう撃退に向かっている所である。
勇者一行は勇者、魔導師、アーチャー、銃使い、武闘家、神官、剣士の7人でパーティを組んでいた。
勇者の名前はファイゲ。勇者のテンプレみたいな金髪ツンツン髪に青い瞳。真っ赤な鎧を装備しやたら長い剣を装備。本人曰く、「リーチが長いと有利」との事。
魔道士の名前はスポイルド。ピンクのフワフワした髪が如何にも女の子らしい。瞳は淡い青、装備している杖には沢山の魔導石が埋め込まれている。威力を高める為らしい。
アーチャーの名前はルナ。水銀色に薄紫のメッシュという奇抜な髪色、その顔の表情はいつも心配そうな顔をしている。アーチャーではあるが回復も担うことがあるため、薬草やらを常備している。
銃使いの名前はノワール。黒い長髪で前髪が長い。瞳が真っ赤なのが恐れられている為前髪で隠している。いつも無表情だがルナとは仲が良いのか時折表情を変えるらしい。
武闘家の名前はアーロゲント。真っ赤な髪に鳶色の目。自分は強いから武器を使わないがモットーの傲慢で力自慢な男である。ルナに嫌われているが本人は全く気付いておらず空気を読まない行動が多い。
神官の名前はスコッレット。ウェーブがかった長い銀髪に深い蒼の目、人生で一度も切ったことのないらしい髭のせいで歳がかなり上と思わせる。主に補助や回復を担当している。
剣士の名前はリューゲ。焦げ茶色の短い髪はオールバックでまとめられており金色の瞳が輝きを放つ。剣はファイゲと違い普通の長さだ。
こんな7人で組まれているパーティなのだが…ー。
「目標の魔物の大群だ!」
リーダーであるファイゲの一言に武器を構える皆。
しかし攻撃をしているのはルナとノワールのみ。
他は構えるだけで何もしていない。
だがざっと30は居たであろう的の大軍は3分もしないうちに全滅。
「2人が強すぎて俺らが手を出したら逆に邪魔になるから。」とファイゲが言ってからこれが勇者一行での暗黙のルールになっていた。
「流石2人だよ。これでミッションは終わりかな。じゃあ、ギルドに戻ろうか。」
「待って、ファイゲ…さん。」
ルナは思い出したかの様にさんを付ける。
パーティ内でルナとノワールは浮いている。ファイゲだけは気にしていないが他のメンバーは2人を、あるいはどちらかを良く思っていないらしく、さんを付けないちと怒られてしまうのだ。
「ファイゲさん、向こうから物音して何か気配があります。」
ルナはそう言って魔物が現れた方にあった背の高い茂みを指さす。
「相変わらずルナは耳が良いな。」
ファイゲの言葉通りルナは他の人より耳が良い。そう、まるで人間ではないかのように…。
「誰…?」
「あらあら、随分勘が良いのね。」
そう言って白衣を着た女性が現れる。水銀色の髪、エメラルド色の瞳。妖艶な笑みを浮かべ近寄ってくる。
「初めまして、勇者様御一行。そしてさようなら。」
そう言って女性はメスをファイゲに向かって投げる。
「危ない!」
そう叫んだのはリューゲ。咄嗟になのかルナの襟首を捕まえて盾にした。
「っ!?ルナ!!」
それまで静かで無表情だったノワールが取り乱す。
「っ!!これは…」
ガクンと崩れ落ちるルナ。
「あらあら、可愛そうな子。」
そう言って女性は小さな壺を取り出す。
「今すぐ解毒してあげるからね。」
そう言って壺に入っている薬をルナの怪我している部分へ塗る。
「っ!!」
苦しそうに吐息をもらすルナ。一方でさっきまでの傷は癒えていく。
「…勇者一行って仲間を盾にするクズだったの?」
女性は倒れているルナを抱き上げる。
「随分と軽いのね…。」
「そうよ、こいつらは私とルナは仲間なんて思っちゃいないわ。」
そう憎々しそうに言うノワール。
「私とルナは少食だからってあまりご飯もらえないの。それにルナは優しいからその少ないのをさらに私に食べてって…。ほんの少ししかいつも食べてないんだから軽くて当たり前…。」
悔しくて唇を噛みながらノワールは言う。
「…この子ルナっていうのね。ふふ、良い事思いついたわ。私、この子を攫って行くわ。」
「えっ!?だ、駄目っ!!」
ノワールは慌てて止める。
「ルナを攫ってどうする気だ。」
ファイゲが怪訝そうに尋ねる。
が、ー。
「いいじゃないか、そいつは悪魔の子なんだから。」
そう言い出すのはルナを盾にしたリューゲ。
「でもほら、この子戦闘で役に立つじゃない?」
フォローしようとしたのはスポイルド。
「だけどこいつは死を呼び寄せる悪魔って有名だっただろ。実際、こいつを匿った村が滅んだこともあるって噂だ。」
噛み付くように言うリューゲ。そう、彼はルナが嫌いなのである。
「あくまで噂…なんでしょ?」
「だけどコイツが危険な奴に変わりはない。だったらコイツを切り捨てて自爆してもらえば良いじゃないか。」
リューゲの言葉に庇っていたスポイルドも押し黙る。
「…ルナを連れていくなら私も連れて行って。」
そう言い出したのはノワールだ。
「良いじゃねえか、厄介な2人がいなくなって清々する。」
リューゲはどうやら2人とも嫌いなようだ。
「だけど………いや、分かった。」
諦めたのかファイゲも了承してしまう。
「あらあら、人質のつもりが失敗ね。でもそれはそれで良いわ。クス、本当にお馬鹿な人達。ねえ、黒髪の子…本気で着いてくるの?」
「私の居場所はルナの隣以外にないの。なら着いて行くわよ。それが敵陣でも。…それにルナを盾にする様なアイツらといるよりマシよ…。」
そう言って気絶しているルナの頭を撫でる。
「懸命な判断、かもね。…ようこそ歓迎するわ。」
そう言うと黒い霧が現れ3人はその場から姿を消した。






「ここは…」
「あら、目が覚めた?」
「っ!!」
ルナは跳ね起きて身構える。
「クス、凄い反射神経ね。」
「あ、貴女は…。ここはどこ、仲間は…?」
「落ち着いて。まず順番に答えるわね。私はミヤ。貴女達の言う悪の組織ユーベルの幹部よ。ここはその本拠地。貴女仲間は無事よ。詳しくはその子に聞いて。」
そう言ったミヤの目線の先に居たのは…ー。
「ノ、ノワール!?」
「ルナ…良かった。傷、大丈夫?」
「ええ。でもなんで貴女まで…。」
「ルナ、一緒に逃げよう。」
「ちょっと待って、どういうこと?」
ノワールはルナが気絶していた時のことを説明した。
「…そう。まあ、私は嫌われていたからね。でも…うん、決めた。私は此処に残るわ。」
「え、ええ!?」
「あら、別に気まぐれで連れてきただけだから好きな所に言って良いのよ?」
「貴女の側に私を置いてくれません?…私貴女と一緒に居たい。」
「ちょ、ルナ、正気!?」
「正気よ。経緯は兎も角、助けてくれたし。 実験体くらいなら慣れてるから恩返しくらいしてからでも良いかなって。…それになんだか気になるの、ミヤさんが。」
「ふふ、私は実験体とかしない主義なの。でも…貴女のことは私も興味あるわ。仲間だった人が言ってたわ、貴女を匿った村が滅んだって。あれ、本当?」
「…ええ、そうよ。詳しくは話せないけれど…。」
「そうだったの、ルナ?」
「黙っていてごめんなさい。…仲間の中で唯一私を心から頼ってくれてる貴女を怖がらせてしまうって思って言い出せなかったの。」
「そんなことで私はルナを見捨てたりしないよ。アイツらとは違う、私は私を受け入れてくれたルナだからついて行こうって思ったの。」
「ありがとう。でも考えたら私が此処に残るってことは悪の組織の一員になるってことだからファイゲ達とは敵ってことになるよね。」
「私達、だよ。私の居場所はルナの隣なんだから。それに敵対良いじゃない。今まで私達への酷い扱いしてたこと後悔させてあげるんだから。」
「クス、何それ…。」
「っ!!ルナが笑った!良かった…。」
こうしてルナとノワールはユーベルの一員となった。






それから数日してー。
「ルナ…ミヤにばかり構って…。」
ノワールがポツリと呟く。
ルナはあの日からミヤとばかりずっと一緒にいる。ルナの方からミヤへ近づいている。そしてミヤも笑顔でルナの対応をしている。
「な、ルナってあんなに笑うの…?」
勇者一行に居た時は境遇からか心配そうな顔ばかりしかしていなかった。ノワールに対してもたまにしか笑うことはなかった。それがミヤといる時は笑顔が多くなっているのだ。
「寂しい…ですか?」
突然後ろからした声に驚き、弾かれた様にノワールは振り返る。
「だ、誰っ!?」
「おや、失礼しました。私はアルビノと申します。ミヤと同じ幹部の1人です。以後お見知り置きを。」
アルビノの名前に相応しい白い髪、真っ赤な瞳、服まで真っ白な位で立ちだ。
「…おや、私とお揃い、ですね。」
「は?」
「美しい真っ赤な瞳…。」
アルビノはそう言いながらノワールの前髪をサラリと搔き上げる。
「っ!!やめて!!」
慌ててアルビノから距離を取り、睨む。
「おや、嫌でしたか?」
「私、眼を見られるのは…。ルナ以外は駄目なの。」
「ルナさんは良くて何故他は駄目なんでしょう?」
「それは…私、この眼が好きになれない…から。コンプレックスなの。」
ノワールは赤い瞳が不気味だと忌み嫌われ続けてきた。そんなとある日に銃使いとして功績を残した事を気に食わない連中から暴力を受け、そこに現れたのがルナだった。彼女は連中を追い払うと「大丈夫?貴女は悪くないのに嫉妬で暴力なんて最悪な奴らだね。…その瞳、宝石みたいで綺麗ね。」そう手を差し伸べてきた。
そのままルナに仲間に誘われて勇者一行のパーティメンバーになるのだがパーティの説得もルナがしてくれた。そして今度は悪の組織にきて今に至る。
「なるほど…でも私も赤い眼ですよ。貴女のは私より少し黒っぽい赤ですね。私が林檎の色だとしたら差し詰めさくらんぼ色でしょうか。」
「さくらんぼってそんな赤黒くなくない?」
「いえいえ、赤黒いですよ。ほら、アメリカンチェリーとか。可愛いじゃないですか。」
「可愛っ!?さくらんぼがね、そうね。」
「いえいえ、貴女が可愛いと言ったのですが…。」
「な、な、な、な、何言って」
ノワールは顔を真っ赤にしながら走っていってしまった。
「からかい過ぎましたかね…。」
残されたアルビノは1人ポツリと呟いた。
「あら、アルビノ…こんなとこでどうしたの?」
そのすぐ後にミヤとルナが来た。
「いえ、ノワールさんに挨拶しまして。ちょっとからかいすぎました。」
「ノワールに何か…したんですか?」
怪訝そうに聞くルナ。
「いえ、可愛いと言ったら顔を真っ赤にして走って行かれまして。」
「…悪いことしてないなら良いの…。疑ってごめんなさい。」
「いえいえ、私もからかいが過ぎたのが悪かったです。まあ、可愛いと思ったのも事実なんですが…。それより、ルナさんも初めましてですね。私はアルビノと申します。」
「私達、やっぱり知れ渡ってるのね。」
「ええ、勇者一行から悪の組織の仲間なんて前代未聞ですがね。ミヤからの話を聞いて皆貴女達を歓迎しています。」
「…なんか複雑だわ。」
「ふふ、そうですか。時にルナさん、貴女はミヤとよく一緒にいるのを見かけるのですが…。」
「私が一緒にいたいってお願いしたのよ。…私、多分ミヤさんが好きだから。」
「多分、ですか?」
「し、仕方ないでしょ。私、恋愛なんて感情知らないもの。」
「ノワールさんは?」
「ノワールは双子の姉妹みたいなものよ。」
「双子とはまた…歳は違うでしょう?何故双子と?」
「息がぴったりなの、私達。考えとかも似ているし。」
「なるほど面白い…。ところでミヤ、貴女はどうしてルナさんと一緒にいるのですか?」
「そうね…最初は興味本意だったけど…関わっていくうちに可愛くなっちゃって。」
「なんだか母性が出てますよ、ミヤ。まあ、かわいがるのは止めませんが、あまり独占してるとノワールさんが可愛そうですよ。」
そう言ってアルビノは踵を返した。






〈勇者一行サイド〉
(おかしい…。戦闘ってこんなにもキツいものだったっけ)
ファイゲがそう思うのも無理はない。
今、敵に押されているのだから。
「くっ、詠唱が間に合わないわ。誰か時間稼いでよ。」
「無理だ、こっちは手一杯だ。」
「何よ、使えない口だけ剣士。」
「なんだと?」
遂にはイライラしたスポイドとリューゲが口喧嘩を始める始末。
「やむを得ません、撤退しましょう。」
スコッレットの一言に皆同意しなんとか撤退に成功した。





「全く、誰かさんがルナを追い出さなきゃ今回のミッションもすぐ終わってたのに。」
スポイルドはそう言って大きなため息をつく。
「あんなやつ居なくて清々するぜ。なあ、皆?」
「俺はリューゲに同意だ。元々は捨て駒だったんだし。」
そう言ったのはアーロゲント。
「私はスポイルドさんと同意見です。元々ルナさんは“人柱”として仲間に誘っていたんですからいないと意味がない。」
そう意見したのはスコッレット。
「なあ、その“人柱”ってなんだよ。」
「…悪の組織を滅ぼす為に破壊神を呼び出す儀式をするんだ。そいつに必要なのは1人の命。その代わり、呼び出した者の言うことをなんでも1つ叶えてくれるらしい。人柱の件は俺と儀式が出来るスコッレットの秘密だった。」
リューゲの質問に罰の悪そうな顔で答えるファイゲ。
「で、なんであいつを人柱に選んだんだ?悪い言い方をすりゃ、お前でも俺でも他の誰かスコッレット以外なら良いんじゃないか?」
そうアーロゲントの疑問に皆おし黙る。
「…ルナは生に対して執着がなかったから。それに悪魔の子って呼ばれてる様なやつなら人柱にしても誰も文句を言わない、そう思って…。」
やがてポツリとファイゲは言葉を漏らした。
「はあ…じゃあ儀式のために奪還すりゃ良いんだろ。これからの目標はそれだ。」





2つの運命の歯車が軋む音がした…ー。
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