転生陰陽師は男装少女！？～月影の少女と神々の呪い～（ライト版）

第３章：宮廷の闇、血塗られた神事

第3話：男装の陰陽師は絡み合う宿命に巻き込まれる１

僕が、女――。
その衝撃の事実が、まるでドカンと雷が落ちたみたいに、真白ましろと紅子べにこさんの心を撃ち抜いたのが、薄れゆく意識の中でもわかった。
……やっちゃったな、僕。

真白ましろは、僕のすぐそばで膝をついたまま、まるで時間が止まったみたいにカチンと固まっちゃってる。

（あー……やっぱり、そうなるよね……）

「本当に女だったのか」って言ってたから、前から、心のどこかでうっすらと感じてたんだよね。
それが今、否定しようのない現実になって、彼の目の前にバーンと突きつけられたんだ。
頭の中、真っ白だろうな。
思考、完全にストップしてる感じ。

でも、それと同時に、胸の奥からマグマみたいな熱い何かが込み上げてくるのも、感じてるみたい。
これまで親友として抱いてくれてた純粋な気持ちが、もっと別の――男女としての想いに、すごいスピードで変わっていくのが、瞳を通して僕にも伝わってくる。
まるで、獲物を狙ってるみたいな、熱っぽい瞳。
僕も、どうしていいか、わからなくなる……

その止められない気持ちに気づいちゃった自分に、真白ましろはさらにオロオロして、耳まで真っ赤になってるのが見える。

「朔夜さくやが女の子……やっぱり、女の子だった……え、マジかよ……」

さっきからずっと、小さい声でブツブツ言ってる。
うん、マジです。ごめん……


一方、紅子べにこさんは、一瞬めちゃくちゃ驚いた後、嵐みたいな感情に飲み込まれて、パニックになってるっぽかった。
真白ましろが特別な想いを寄せてるかもしれない相手。
それが、「少年」じゃなくて、「少女」だったっていう衝撃。
強力な恋のライバルの登場。
苦しそうにぎゅっと目を瞑るその表情から、焦りと嫉妬が、彼女の胸を刺したのがわかった。

でも、それと同時に、命がけで彼女を助けた僕への、深い感謝と負い目も感じてるみたい。
やっぱり、根が真面目で優しい人なんだと思う。

「朔夜さくや様……まともに嫉妬させてもくれないなんて、ズルい方」

困ったような微笑を浮かべる紅子べにこさんの、掠れた囁きが聞こえた。
ごめんね、紅子べにこさん……

夜刀やとは、そんな二人の激しい動揺には気づかないフリして、ただ黙々と僕に治療の術を施してくれてる。
緑色の柔らかい光が、彼の手から絶え間なく僕の傷口を包んでいく。
でも、その冷静に見える顔の裏では、僕の最大の秘密がこんなにあっさりバレちゃったことに、すっごく後悔してるんだろうな。

僕を守れなかったどころか、こんな大怪我させちゃって、その上、命懸けで守ってきたはずの秘密まで……
自分の不甲斐なさに、ギリッて唇を噛み締めてるのがわかる。

でも、そんな風に思わないで欲しい。
これは僕の選択で、夜刀やとのせいなんかじゃないんだ……

それと、夜刀やとは、真白ましろが、今、僕に向けてる視線が、前とは全然質が変わったことにも、気づいてるみたい。
夜刀やとの血みたいに赤い瞳の奥で、普段は絶対に見せない、静かだけど激しい嫉妬の炎が、ゆらって揺れた気がした。

「この男にだけは……主あるじの隣を、譲るわけにはいかない……」

夜刀やと……心の声、漏れちゃってるから。
僕は、どうすればいいんだろう……

やがて、夜刀やとの献身的な治療のおかげで、あんなに深かった僕の傷は、ゆっくりだけど、確実に塞がり始めてきた。
大量出血も完全に止まって、雪みたいに真っ白だった顔にも、ほんの少し血の気が戻ってきた感じ。
浅くて苦しかった呼吸も、だんだん落ち着いてきて、穏やかに変わっていく。

「……もう、大丈夫です」

夜刀やとが、ようやくホッとしたみたいに小さく息をついて、そっと額の汗を拭った。
真白ましろと紅子べにこさんも、今まで張り詰めてた緊張の糸がプツンと切れたみたいに、同時に大きなため息を漏らしたのがわかった。

僕もうっすら目を開けて、みんなの様子を確認する。

「よがっ……だぁ……」

真白ましろは、全身の力が抜けちゃったみたいに、その場にへなへなと座り込んじゃった。
そして、僕の顔を、改めて、じーっと見つめてる。
その、今まで意識したこともなかった、あまりにも無防備な僕の横顔に、真白ましろの心臓が、またドクンって大きく、甘く跳ねたのが伝わってくる。

「やっべ……マジで……オレ、こいつのこと……」

すごく小さい呟きだったけど、聞こえてしまった。
うん、彼の気持ち、今ハッキリと形になったみたい。
どうしよう、これ……