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村長の登場じゃ!
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「我が国の巫女の神託により、ファミル村に勇者パーティーの最後のメンバーがいると分かりましたが、ファミル村がどこにあるのか心当たりのある領主は一人もおらず、国の上層部はその村がどこにあるのかを調べるように文官達に命じました。そして国の資料によってファミル村が30年ほど前に起こった大戦で魔族に滅ぼされて消滅した事がわかりました」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!この村は消滅なんてしてませんよ」
「そのようですね。ですが、その大戦でこの辺り一体が魔王の支配領域になったのは事実です」
勇者メンバーに選ばれたとか、村が魔族に滅ぼされたことになっているとか、騎士から立て続けに衝撃的な事実を告げられて、ローラ達は受け止めきれずにいた。
ローラ達が口をぽっかり開けたまま固まっていると、家の扉が開く音がする。
「やれやれ、やっと騎士様に追いついたわい」
そんな言葉と共にやって来たのは、村長だった。
「そ、そ、そ、そ、そっ」
「うむ、うむ。マイクや落ち着きなさい。話はちゃーんと聞いておったでな」
マイクの肩を村長が落ち着かせるように優しく叩く。それだけで、マイクは気持ちが落ち着くのを感じた。
そんな二人の様子を黙って見つめていたノーラが少し考え込んだあと、村長に話しかける。
「村長?」
「なんじゃね?ノーラ」
「話を聞いていたって、我が家にいつ来「んんっ!ここまで歩いてきて、喉が乾いたのぉ。ノーラの美味しいお茶が飲みたいのぉ」…まあ、良いですけどね。時間もかかりそうですし、みんなのお茶もいれてきます」
「おお!ありがたいっ!」
「お母さん、私も手伝います」
ノーラは村長を問い詰めるのを諦めると、お茶をいれるため台所に向かう。
ローラもノーラを手伝うため、後ろからついていく。
部屋には男三人が取り残された。
「えーと、ずっと立ち話もなんですので、座ってください」
「いえ、私は…」
「儂は遠慮なく座らせてもらうぞ。騎士様もお座りくだされ。ながーい話になるじゃろうでの」
村長も一緒になって勧めると、ようやく騎士が椅子の背に手をかける。騎士が座わると、椅子が抗議するかのように大きな音を立てて軋む。どうやら騎士の鎧はとてつもなく重いらしい。椅子が壊れやしないかとマイクがハラハラするが、椅子はなんとか壊れずに、騎士の体重を受け止めた。
「「「……」」」
世間話などできる雰囲気ではなく、暗い空気が辺りを漂う。騎士は瞳を閉じると、座った状態のまま微動だにしない。村長は飄々としているが、マイクはその空気に耐えきれず、ノーラ達の様子を見にいくのを口実に席をはずそうと腰を浮かしたところで、ノーラ達がお盆を片手に戻ってきた。
「お待たせしました」
「村長!お母さんが作ったお菓子もありますよ!」
「それは楽しみだのう」
みんなの前にお茶とお菓子を置くと、二人も席につく。
「では、儂が知っていることを話そうかの」
最初に口を開いたのは村長だった。
「村長はその、この村が消滅した事になっているって知っていのか?」
「うむ」
「何でまたそんなことにっ!」
「それは私もお聞きしたい。この村にたどり着くまで、私は何度も魔物の襲撃を受けました。最初は10人いた部下達も怪我に倒れ、私以外は撤退を余儀なくされました。そんな場所でなぜ暮らせているのか」
ファミル村があるこの森では良質の薬草がとれることや関所を通らずに隣国に行くことが可能なため、魔族の支配下になった今でも危険を承知で森の中に入っていく愚か者が後を立たない。しかし、無事に帰ってこれる者より森の中で命を落とす者の方が圧倒的に多いことから、いつからか魔の森と恐れられるようになっていた。
魔の森に生息していた魔物達はあまりにも強すぎた。そんな森の中でどうして彼らは暮らせているのか。
「それは…」
村長の口から遂に謎が━、
「知らん」
━解き明かされなかった。
ズルッ!
期待していた四人は思わず椅子から転げ落ちそうになる。
「村長~」
マイクは椅子に座りに押すと、村長を恨めしそうに睨む。しかし、村長はどこ吹く風だ。
「まあ、なぜこの村が無事じゃったのかはわからんが、なぜこの村が消滅したことになっているかはわかっとるよ」
「そ、それは本当ですかっ!?」
先程のおちゃらけた雰囲気はなりをひそめ、村長は騎士をひたりと見つめて言った。
「国が儂らを見捨てたんじゃよ」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!この村は消滅なんてしてませんよ」
「そのようですね。ですが、その大戦でこの辺り一体が魔王の支配領域になったのは事実です」
勇者メンバーに選ばれたとか、村が魔族に滅ぼされたことになっているとか、騎士から立て続けに衝撃的な事実を告げられて、ローラ達は受け止めきれずにいた。
ローラ達が口をぽっかり開けたまま固まっていると、家の扉が開く音がする。
「やれやれ、やっと騎士様に追いついたわい」
そんな言葉と共にやって来たのは、村長だった。
「そ、そ、そ、そ、そっ」
「うむ、うむ。マイクや落ち着きなさい。話はちゃーんと聞いておったでな」
マイクの肩を村長が落ち着かせるように優しく叩く。それだけで、マイクは気持ちが落ち着くのを感じた。
そんな二人の様子を黙って見つめていたノーラが少し考え込んだあと、村長に話しかける。
「村長?」
「なんじゃね?ノーラ」
「話を聞いていたって、我が家にいつ来「んんっ!ここまで歩いてきて、喉が乾いたのぉ。ノーラの美味しいお茶が飲みたいのぉ」…まあ、良いですけどね。時間もかかりそうですし、みんなのお茶もいれてきます」
「おお!ありがたいっ!」
「お母さん、私も手伝います」
ノーラは村長を問い詰めるのを諦めると、お茶をいれるため台所に向かう。
ローラもノーラを手伝うため、後ろからついていく。
部屋には男三人が取り残された。
「えーと、ずっと立ち話もなんですので、座ってください」
「いえ、私は…」
「儂は遠慮なく座らせてもらうぞ。騎士様もお座りくだされ。ながーい話になるじゃろうでの」
村長も一緒になって勧めると、ようやく騎士が椅子の背に手をかける。騎士が座わると、椅子が抗議するかのように大きな音を立てて軋む。どうやら騎士の鎧はとてつもなく重いらしい。椅子が壊れやしないかとマイクがハラハラするが、椅子はなんとか壊れずに、騎士の体重を受け止めた。
「「「……」」」
世間話などできる雰囲気ではなく、暗い空気が辺りを漂う。騎士は瞳を閉じると、座った状態のまま微動だにしない。村長は飄々としているが、マイクはその空気に耐えきれず、ノーラ達の様子を見にいくのを口実に席をはずそうと腰を浮かしたところで、ノーラ達がお盆を片手に戻ってきた。
「お待たせしました」
「村長!お母さんが作ったお菓子もありますよ!」
「それは楽しみだのう」
みんなの前にお茶とお菓子を置くと、二人も席につく。
「では、儂が知っていることを話そうかの」
最初に口を開いたのは村長だった。
「村長はその、この村が消滅した事になっているって知っていのか?」
「うむ」
「何でまたそんなことにっ!」
「それは私もお聞きしたい。この村にたどり着くまで、私は何度も魔物の襲撃を受けました。最初は10人いた部下達も怪我に倒れ、私以外は撤退を余儀なくされました。そんな場所でなぜ暮らせているのか」
ファミル村があるこの森では良質の薬草がとれることや関所を通らずに隣国に行くことが可能なため、魔族の支配下になった今でも危険を承知で森の中に入っていく愚か者が後を立たない。しかし、無事に帰ってこれる者より森の中で命を落とす者の方が圧倒的に多いことから、いつからか魔の森と恐れられるようになっていた。
魔の森に生息していた魔物達はあまりにも強すぎた。そんな森の中でどうして彼らは暮らせているのか。
「それは…」
村長の口から遂に謎が━、
「知らん」
━解き明かされなかった。
ズルッ!
期待していた四人は思わず椅子から転げ落ちそうになる。
「村長~」
マイクは椅子に座りに押すと、村長を恨めしそうに睨む。しかし、村長はどこ吹く風だ。
「まあ、なぜこの村が無事じゃったのかはわからんが、なぜこの村が消滅したことになっているかはわかっとるよ」
「そ、それは本当ですかっ!?」
先程のおちゃらけた雰囲気はなりをひそめ、村長は騎士をひたりと見つめて言った。
「国が儂らを見捨てたんじゃよ」
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