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この村はやっぱりおかしい!

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今回は短めです。

―――

「え?王都ではコボルト族に畑の手伝いをしてもらはないんですか?」
「何をいってるのですかっ!早くそのコボルトから離れなさい!コボルト族は魔物です。襲われる前に早く倒さなければっ」

ローラを救出しようと、ラインハルトは腰に下げた剣に手をかける。

「お、おいら達は大好きな穴堀をさせてくれる人間を襲わないよ!」

怖がってローラの後ろにかくれていたポチが、ラインハルトの暴言に黙っていられずに反論する。

「そうですよ!コボルト族はとってもお利口なワンちゃ、ごほんっ!私たちのよき隣人なんです」
「今、犬って言わなかったか?」
「気、気のせいですよ?」

ラインハルトの人でなしを見るような目にローラは視線をそらすと、吹けもしない口笛を吹く。
しかし、それでも誤魔化されないと分かると、ラインハルトに猛然と食って掛かる。

「コボルト族は畑仕事も手伝ってくれて、毛並みをモフモフさせてくれるとても優しい種族なんです。ファミル村では長きにわたって、良き隣人兼ペット…、相棒として仲良くしてきた彼らを魔物扱いしてくる騎士様の方が人でなしだと思うのですけどっ!」
「コボルトが畑仕事?そんな馬鹿な事が」
「魔物は会話もできないし、私たち人間を見たら問答無用で襲いかかってくるじゃないですか!あんなのとコボルト族を一緒にしないでください!」
「ローラちゃんっ!!オイラ、これからも頑張るワン!!」

ローラの言葉に感動したポチはちぎれそうになるほどの早さで尻尾を振ると、決意を新たにする。
興奮したためか、ポチの語尾が微妙におかしな事になっていた。
そんな可愛らしいポチの姿にローラはデレッと顔を緩ませると、ポチの頭を慣れた手つきで撫でまくる。

「畑仕事を頑張った後は私にモフら、ブラッシングさせてくださいね」
「わぁっ!おいら、ブラッシングも大好き!」
「ふふっ。それじゃあ、一緒に耕しましょっか」
「はーいっ!」

ラインハルトをその場に残し、ローラとポチは新たな土地を開拓するべく、その場を立ち去る。
後に残されたラインハルトはハッと我に返ると、大声で叫ばずにはいられなかった。

「やはりこの村はおかしいっ!!!」
「近所迷惑ですよ!」
「す、すまないっ」

すぐにローラに叱られ、謝ることになったが。

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