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緊急事態宣言発出 15
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「矢島君、素晴らしいわ」
美津子が思わず声を上げた。これまで顔を合わせた時、日常会話的なことや軽い話くらいはしていたが、そこからの印象は普通の人くらいのイメージだったのだ。以前、私から矢島の将来の夢が居酒屋という話を聞くことでちょっと見る目が変わり、3号店の店長のようなことは夫婦の話としてはしていたが、直接熱く語る矢島の様子を見て、イメージがすっかり変化したようだった。
「今言ったこと、ずっと考えていたの?」
美津子が確認するように言った。
「はい。だから、同じようなことをやっているお店にもリサーチに行きました」
矢島が今話したことは単なる思い付きではなく、それなりに考えていた結果ということを説明しようという感じで言った。
「じゃあ、考えていたことをもう少し詳しく話してくれるか?」
矢島の口から出た話はまだ具体的な内容はない。だから私はその話をもう少し聞き、その上で他のみんなにも考えてもらおうと思った。
この時、他のみんなは飲み物も口に付けないままだった。矢島の発言からこのミーティングが本気のものだったことに気付いたようだった。
ただ、私の意識としてはいきなりそこまで持っていくのではなく、アルバイトのメンバーに対してはこういう時期だからこそみんなの気持ちを奮い立たせようというくらいのつもりだった。それが1号店のチーフから熱のこもった話を聞かされたので、気軽に飲んで食べて、といった雰囲気が一変したのだ。
それは2号店チーフの中村も同様だった。手は止まったままで、そこまでの気持ちはなかったためか、顔が少々うつむき加減になっていた。
「ほら、中村君。2号店のチーフとして何かない?」
美津子が気持ちが少々引き気味の中村の背中を押そうとした。
だが、事前の準備が何もない中村には美津子の指名にも返事がない。
ただ、黙っていても先に進まないので、ちょっと間を開けて口を開いた。
「矢島さん、さすが先輩です。おれ、2号店ではチーフやらせてもらっていますけど、正直店のために何か考えるという意識にはなっていませんでした。でも、この後の矢島さんの具体的なアイデアを聞かせてもらい、何か考えたいと思います」
矢島の気持ちが中村にも通じたようで、場の空気はさらに変わった。その上で中村は1号店、2号店を問わず、アルバイトのメンバーに目配せをし、みんなにもいろいろ意見を言うようにという趣旨のことを言った。矢島はそういう雰囲気を見た上で具体的なアイデアを話し始めた。
「今回のランチの企画ですから、開店時間はお昼ちょっと前というところは他店と同じです。でも、ウチはベースが居酒屋ということで、そこで出すメニューをメインディッシュにというところまではよくあるパターンだと思います。同じような業態のところを見ると、そんな感じでやっています。だから料理の味が違うということで差別化する必要があると思いますが、それは見た目では分からないので、なかなか新規のお客様は増えないと思います。だから、ベースになる味へのこだわりはそのままにして、先ほどお話ししたように女性にアピールするようなメニューを考えるんです。それは副社長である奥様がメインになり、2号店のアルバイトの女性も考えてもらう、というのはいかがでしょう」
矢島はそう言って今回アルバイトの中ではただ1人の女の子のほうを見た。突然話を振られた柏木は突然の話に大変驚いた。
美津子が思わず声を上げた。これまで顔を合わせた時、日常会話的なことや軽い話くらいはしていたが、そこからの印象は普通の人くらいのイメージだったのだ。以前、私から矢島の将来の夢が居酒屋という話を聞くことでちょっと見る目が変わり、3号店の店長のようなことは夫婦の話としてはしていたが、直接熱く語る矢島の様子を見て、イメージがすっかり変化したようだった。
「今言ったこと、ずっと考えていたの?」
美津子が確認するように言った。
「はい。だから、同じようなことをやっているお店にもリサーチに行きました」
矢島が今話したことは単なる思い付きではなく、それなりに考えていた結果ということを説明しようという感じで言った。
「じゃあ、考えていたことをもう少し詳しく話してくれるか?」
矢島の口から出た話はまだ具体的な内容はない。だから私はその話をもう少し聞き、その上で他のみんなにも考えてもらおうと思った。
この時、他のみんなは飲み物も口に付けないままだった。矢島の発言からこのミーティングが本気のものだったことに気付いたようだった。
ただ、私の意識としてはいきなりそこまで持っていくのではなく、アルバイトのメンバーに対してはこういう時期だからこそみんなの気持ちを奮い立たせようというくらいのつもりだった。それが1号店のチーフから熱のこもった話を聞かされたので、気軽に飲んで食べて、といった雰囲気が一変したのだ。
それは2号店チーフの中村も同様だった。手は止まったままで、そこまでの気持ちはなかったためか、顔が少々うつむき加減になっていた。
「ほら、中村君。2号店のチーフとして何かない?」
美津子が気持ちが少々引き気味の中村の背中を押そうとした。
だが、事前の準備が何もない中村には美津子の指名にも返事がない。
ただ、黙っていても先に進まないので、ちょっと間を開けて口を開いた。
「矢島さん、さすが先輩です。おれ、2号店ではチーフやらせてもらっていますけど、正直店のために何か考えるという意識にはなっていませんでした。でも、この後の矢島さんの具体的なアイデアを聞かせてもらい、何か考えたいと思います」
矢島の気持ちが中村にも通じたようで、場の空気はさらに変わった。その上で中村は1号店、2号店を問わず、アルバイトのメンバーに目配せをし、みんなにもいろいろ意見を言うようにという趣旨のことを言った。矢島はそういう雰囲気を見た上で具体的なアイデアを話し始めた。
「今回のランチの企画ですから、開店時間はお昼ちょっと前というところは他店と同じです。でも、ウチはベースが居酒屋ということで、そこで出すメニューをメインディッシュにというところまではよくあるパターンだと思います。同じような業態のところを見ると、そんな感じでやっています。だから料理の味が違うということで差別化する必要があると思いますが、それは見た目では分からないので、なかなか新規のお客様は増えないと思います。だから、ベースになる味へのこだわりはそのままにして、先ほどお話ししたように女性にアピールするようなメニューを考えるんです。それは副社長である奥様がメインになり、2号店のアルバイトの女性も考えてもらう、というのはいかがでしょう」
矢島はそう言って今回アルバイトの中ではただ1人の女の子のほうを見た。突然話を振られた柏木は突然の話に大変驚いた。
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