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第一章 Dead or Alive
1.銀髪の来訪者
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俺の名前は空風 陸。高校に入れば彼女ができると思っていたDT野郎だ。
女は高身長が良いって聞いたことがある。でも何故だ? 俺はもう十七だ。……だってのに彼女なんてできたことがない。
俺は中学に入ったら彼女を必ず作ってみせると心に決めた。百八十の高身長だし大丈夫だと、俺も兄貴みたいなプレイボーイになれるとそう思って……。
しかし、現実は違った。中学も高校も変わりゃしない。俺の周りに集まるのはいつも男連中ばかり。今日も今日とて朝から卑猥な話で盛り上がるのだ。
「――なぁおい! 陸! 見たか!?」
「何をだよ」
「何って、お前まさか寝てたのか? 今日は新しい先生が来るって話だっただろ?」
「あー」
そういえばそんな話だったな。どうでもよすぎてマジで忘れてた。
俺は机に突っ伏した状態で、少量のよだれを垂らしながら眠っていた。多分、つまらない授業のせいだ。あの社会科の先生、話長いし喋るスピード遅いんだよなぁ。歴史とかどうでもいい。彼女さえ作ることが出来ればそれでいい。……彼女……さえ……。
「……陸、お前……泣いてんのか?」
泣いている? 俺が?
「何言ってんだ泣いてねぇよバカ。よだれだ」
「……んまぁそれならいいけ……ってそれもそれだけどなっ!」
そんな訳は無いだろうと思うが、俺は念の為自分の目元を右手で触れてみた。
(……涙?)
どうやら俺がよだれだと思っていた液体の正体は、涙のようだった。
「なぁ親友……お前、魔法ってあると思うか?」
「は? んだよ急に。ある訳ねぇだろ。お前、夢の中で異世界でも旅してたのか? 寝ぼけてんのか?」
こいつの反応を見る限り……
「だよな……すまん、忘れてくれ」
悪夢……か。それにしてはリアルだった。でも、もうほとんど覚えていない所を見るとやはり夢だったようだ。……嫌な一日になりそうだ。
「……んで? 男?」
第一声で性別を聞く俺も相当病気だと思う。
「それがよ! 女の先生らしいんだよ! ワクワクするな!」
「ふ、ふーん」
どうせベテラン女教師だろ。季節は冬。こんな時期に若い先生が来るわけ無い。
「それがよ! 喜べ親友! 実は若い先生なんだ!」
「ほ、ほーう」
い、いや。違う。若いだけだろ。どうせメガネで貧乳で表情一つ変わらないような真面目な――
「でな! すんげーーー美人でよ! しかも胸もデカくてよ! もうとにかくたまらねぇんだよ! なぁ親友!」
「落ち着けって――」
「これが落ち着いてられるかよ! 俺等同じDTTだろ? ……おい、まさかお前――」
「無い無い。大丈夫、まだ同じ仲間だ。なんならお前とは一生涯仲間だとすら思っている。悔しいがな」
「良かったぜ親友! てっきり裏切ったのかと思ったぜ? もし裏切ってたら俺……お前殺してたかもしんねぇもんな」
「さらっと怖いこと言うな。大丈夫、心配すんな」
DTTとは、『童貞チーム』の略だ。考えたのは俺じゃなく、今まさに俺の前で熱弁しているコイツ、新堂 健児だ。
DTTが発足したのは中学の頃。コイツとは中学の頃に出会った。謎のシンパシーをお互いに感じ、いつの間にか親友になって、そしてこんな不名誉なチームに強制加入させられた。
入るなんて一言もいった覚え無いのにいつの間にか加入したことになってたんだぜ?
当初メンバーは何十人も居た。しかし、気付けばもう俺達二人だけになっていた。……早く俺もこの不名誉なチームを抜け出したい。
親友? そんなのどうでもいい! そんなことより俺はDTを卒業したい! それが先生でも良い! もちろんお互いの同意があることが前提だ。その辺俺はきっちりしている。
「まずはキスから……いや胸からか?」
「おいおい陸のアニキよ~? 考えが早いぜ~? 見ろ、周りの視線」
「あ? ……あ」
どうやら俺達の声は教室の隅々まで届いていたようだ。女子だけでなく、男子からも嫌な視線を感じる。軽蔑の目だ。その中には元DTTのメンバーも居る。
「気にすんなよ、陸。……あいつらは俺達を裏切ったんだ。俺はぜってぇ許さねぇ!」
「あ、ああ」
(悪いな、親友。俺もいつでも裏切るつもりだ……)
そんな事を考えていると話題の人物が建付けの悪い扉を開け、教室に入ってきた。
「――皆さん、おはようございます。そして始めまして。今日からこのクラスを受け持つ事になりました、『セルス・ヒルテ』と申します。どうぞ、よろしくお願いします」
銀髪巨乳の女がやってきた。その長い銀髪と大きな胸を揺らして。
その瞬間、クラス中の男女が思わず歓声を上げた。ざわつく教室、男連中だけならまだしも、女子までも。それほどまでに完成しすぎていた。まるでどこかの国のお姫様のようだ。
「ほら! 見たろ!? 陸! 俺の情報通りだったろ!? ……陸?」
「……想像以上だ」
「なんだよ、開いた口が塞がらないってやつか~? まぁ分からなくもないがな。にしても外国の人か? すんげー美人だな。俺あの人と卒業してぇなー」
なんだよ、これはダメだろ……美人とかそういうレベルじゃない。こんなの生徒と教師の禁断の愛とか夢見ていたが、まじで夢で終わるやつじゃねぇか……。俺はこの時、何故か運命を感じた。
「お静かに」
そのたった一言で、生徒は静まりかえる。
おいおい嘘だろ? コイツらいくら美人だからってたった一言で黙る奴らだったか!? 前の担任、松岡のハゲオヤジの時のコイツらは黙るのに二十秒は掛かってたぞ!?
その度、松岡は溜め息を吐き、見るたびに髪が薄くなっていた。その松岡というと、どうやら殺人を犯し捕まったらしい。
ニュースにもなった程だ。だが、本人は無罪を主張している。嵌められたと、容疑を否認していると。まぁどうでもいいが。なんせ、そんなニュースが流れた日、クラスの連中は俺も含めて”あいつならしかねない”と、そう思ったからだ。だれも疑わなかった。皆、ついにやったかあいつ。的な考えだった。
そんなどうしようもない程、無自覚の問題児だらけのこのクラスをこの美人は、たった一秒で黙らせやがった……デキるな……この人。
「さて、では改めて。前任の先生が不祥事を起こしたとのことで、代わりに私がこのクラスに配属されました――」
「はい! セルス先生!」
手を上げたのはDTT唯一の仲間のケンだ。
「えっと……すみません、私まだ貴方達の名前を把握していませんので、出来れば自己紹介をお願いできますか?」
「はい! 俺の名前は新堂 健児って言います! 未婚の十七歳であります! 皆……というか親友からはケンって呼ばれてます! 出来ればセルス先生も俺のことをケンとお呼び頂ければ嬉しいであります!」
なんだその気持ち悪い口調は。
「ケンくんですね。分かりました。それで何かありますか?」
「おい見ろよ親友! ケンくんだってよ! うひょー!」
「良かったな。ケンくん」
「……お前からのは全然うれしくねーわ」
「そうかよ。てか、何かあるなら早くしてやれよ。先生困ってんだろ」
「あ、そうだった! えっと……セルス先生は結婚してますか!? もしくはお付き合いしている人がいる……とか」
(なんだよその質問。今する質問じゃねーだろ)
ほら見ろ、クラスの連中が鋭い目つきで睨んでるぞ……ってなんで俺まで睨まれてんの? ……あそうか、同じDTTだからか。なんてチームだ。不名誉極まりない。さっさと抜け出さなければ……。
「していません」
「あなんだ、よかっ――」
「しかし、想っている方は居ます」
「……え」
(ほう、意外な展開だなこれは)
「ですので、変な期待はしないように、ケンくん。さぁ、これ以上何もなければ席に着いて下さい」
「……はい」
「フッ、残念だったな? ケンくん?」
俺は親友に満面の笑みで言ってやった。
「るせぇ! まだだ! まだ俺は諦めねぇ! 畜生!!」
ほんと懲りないやつだな。自分が今まで何回フラレてるのか忘れてるのか? 中学からコイツは変わらない。好きになった子にはすぐ告り、そしてすぐさまフラれる。もう数え切れないほど連敗中である。
それも無理もない。こいつの顔は悪くはない。だが狙う相手が悪い。初対面なのにも関わらず学校のマドンナ的存在の人や、ただヤらせてくれるだろうって理由だけで不良ギャルにさえお構いなしに告っていた。
勿論、ギャルみたいな陽キャに彼氏が居ないなんて訳はなく、告った翌日、その彼氏にボコられていた。しかし、それでもコイツなりに何か可能性を感じたのか、懲りずにギャルをターゲットに絞り、告っては彼氏にボコられる。そんな日々であった。パンパンに腫れた顔で登校してくるコイツは中学でもかなり有名だった。
そんなコイツを俺はもはや尊敬している。なぜなら俺は一度も女子に告ったことなど無いからだ。フラれるのが怖い……すぐ近くで何度もフラれるこいつを見てたら余計に。
そんなことから俺は一度も彼女が居たことが無い。受け身で行こうとしても女は寄って来ない。
(クソッ! 高身長でそこそこ顔も悪くないはずなんだが……)
兄がプレイボーイだったが故に、兄弟である俺も悪くないと思うんだよ……まさかコイツが近くにいるからとか、じゃないよな? いや、何考えてんだ俺は。
コイツののせいにするな。俺はただ恋に臆病なだけだ。尊敬すべき親友のせいにするな俺!
「……そこのあなた」
(でも、もうDTTを抜けるのは無理そうだな。いっそ諦めて魔法使いになるまでこの貞操、守り続けるか)
「ねぇ!」
(空風家の子孫繁栄はプレイボーイの兄貴に任せるとしよう。俺は魔法使いにでもなって兄貴達みたいなリア充を呪う魔法でも――)
「聞いていますか!? そこのあなた!」
「……お、おい。陸、セルス先生がお前をご指名だぞ……」
「え?」
俺なんかしたか? 先生怒らせるような事した覚え無いんだが……。てか、まだ出会ったばかりだし。
「なんですか、先生」
「……あなた名前は?」
「え、俺ですか? えっと……」
俺の名前は説明しやすい。それ故、いつも決まってこう名乗る――。
「雲の上とかの”空”に、風が吹くとかの”風”で空風。んで――」
「リク……ようやく会えましたね」
…………え?
俺まだ下は名乗った覚えないんだが……?
女は高身長が良いって聞いたことがある。でも何故だ? 俺はもう十七だ。……だってのに彼女なんてできたことがない。
俺は中学に入ったら彼女を必ず作ってみせると心に決めた。百八十の高身長だし大丈夫だと、俺も兄貴みたいなプレイボーイになれるとそう思って……。
しかし、現実は違った。中学も高校も変わりゃしない。俺の周りに集まるのはいつも男連中ばかり。今日も今日とて朝から卑猥な話で盛り上がるのだ。
「――なぁおい! 陸! 見たか!?」
「何をだよ」
「何って、お前まさか寝てたのか? 今日は新しい先生が来るって話だっただろ?」
「あー」
そういえばそんな話だったな。どうでもよすぎてマジで忘れてた。
俺は机に突っ伏した状態で、少量のよだれを垂らしながら眠っていた。多分、つまらない授業のせいだ。あの社会科の先生、話長いし喋るスピード遅いんだよなぁ。歴史とかどうでもいい。彼女さえ作ることが出来ればそれでいい。……彼女……さえ……。
「……陸、お前……泣いてんのか?」
泣いている? 俺が?
「何言ってんだ泣いてねぇよバカ。よだれだ」
「……んまぁそれならいいけ……ってそれもそれだけどなっ!」
そんな訳は無いだろうと思うが、俺は念の為自分の目元を右手で触れてみた。
(……涙?)
どうやら俺がよだれだと思っていた液体の正体は、涙のようだった。
「なぁ親友……お前、魔法ってあると思うか?」
「は? んだよ急に。ある訳ねぇだろ。お前、夢の中で異世界でも旅してたのか? 寝ぼけてんのか?」
こいつの反応を見る限り……
「だよな……すまん、忘れてくれ」
悪夢……か。それにしてはリアルだった。でも、もうほとんど覚えていない所を見るとやはり夢だったようだ。……嫌な一日になりそうだ。
「……んで? 男?」
第一声で性別を聞く俺も相当病気だと思う。
「それがよ! 女の先生らしいんだよ! ワクワクするな!」
「ふ、ふーん」
どうせベテラン女教師だろ。季節は冬。こんな時期に若い先生が来るわけ無い。
「それがよ! 喜べ親友! 実は若い先生なんだ!」
「ほ、ほーう」
い、いや。違う。若いだけだろ。どうせメガネで貧乳で表情一つ変わらないような真面目な――
「でな! すんげーーー美人でよ! しかも胸もデカくてよ! もうとにかくたまらねぇんだよ! なぁ親友!」
「落ち着けって――」
「これが落ち着いてられるかよ! 俺等同じDTTだろ? ……おい、まさかお前――」
「無い無い。大丈夫、まだ同じ仲間だ。なんならお前とは一生涯仲間だとすら思っている。悔しいがな」
「良かったぜ親友! てっきり裏切ったのかと思ったぜ? もし裏切ってたら俺……お前殺してたかもしんねぇもんな」
「さらっと怖いこと言うな。大丈夫、心配すんな」
DTTとは、『童貞チーム』の略だ。考えたのは俺じゃなく、今まさに俺の前で熱弁しているコイツ、新堂 健児だ。
DTTが発足したのは中学の頃。コイツとは中学の頃に出会った。謎のシンパシーをお互いに感じ、いつの間にか親友になって、そしてこんな不名誉なチームに強制加入させられた。
入るなんて一言もいった覚え無いのにいつの間にか加入したことになってたんだぜ?
当初メンバーは何十人も居た。しかし、気付けばもう俺達二人だけになっていた。……早く俺もこの不名誉なチームを抜け出したい。
親友? そんなのどうでもいい! そんなことより俺はDTを卒業したい! それが先生でも良い! もちろんお互いの同意があることが前提だ。その辺俺はきっちりしている。
「まずはキスから……いや胸からか?」
「おいおい陸のアニキよ~? 考えが早いぜ~? 見ろ、周りの視線」
「あ? ……あ」
どうやら俺達の声は教室の隅々まで届いていたようだ。女子だけでなく、男子からも嫌な視線を感じる。軽蔑の目だ。その中には元DTTのメンバーも居る。
「気にすんなよ、陸。……あいつらは俺達を裏切ったんだ。俺はぜってぇ許さねぇ!」
「あ、ああ」
(悪いな、親友。俺もいつでも裏切るつもりだ……)
そんな事を考えていると話題の人物が建付けの悪い扉を開け、教室に入ってきた。
「――皆さん、おはようございます。そして始めまして。今日からこのクラスを受け持つ事になりました、『セルス・ヒルテ』と申します。どうぞ、よろしくお願いします」
銀髪巨乳の女がやってきた。その長い銀髪と大きな胸を揺らして。
その瞬間、クラス中の男女が思わず歓声を上げた。ざわつく教室、男連中だけならまだしも、女子までも。それほどまでに完成しすぎていた。まるでどこかの国のお姫様のようだ。
「ほら! 見たろ!? 陸! 俺の情報通りだったろ!? ……陸?」
「……想像以上だ」
「なんだよ、開いた口が塞がらないってやつか~? まぁ分からなくもないがな。にしても外国の人か? すんげー美人だな。俺あの人と卒業してぇなー」
なんだよ、これはダメだろ……美人とかそういうレベルじゃない。こんなの生徒と教師の禁断の愛とか夢見ていたが、まじで夢で終わるやつじゃねぇか……。俺はこの時、何故か運命を感じた。
「お静かに」
そのたった一言で、生徒は静まりかえる。
おいおい嘘だろ? コイツらいくら美人だからってたった一言で黙る奴らだったか!? 前の担任、松岡のハゲオヤジの時のコイツらは黙るのに二十秒は掛かってたぞ!?
その度、松岡は溜め息を吐き、見るたびに髪が薄くなっていた。その松岡というと、どうやら殺人を犯し捕まったらしい。
ニュースにもなった程だ。だが、本人は無罪を主張している。嵌められたと、容疑を否認していると。まぁどうでもいいが。なんせ、そんなニュースが流れた日、クラスの連中は俺も含めて”あいつならしかねない”と、そう思ったからだ。だれも疑わなかった。皆、ついにやったかあいつ。的な考えだった。
そんなどうしようもない程、無自覚の問題児だらけのこのクラスをこの美人は、たった一秒で黙らせやがった……デキるな……この人。
「さて、では改めて。前任の先生が不祥事を起こしたとのことで、代わりに私がこのクラスに配属されました――」
「はい! セルス先生!」
手を上げたのはDTT唯一の仲間のケンだ。
「えっと……すみません、私まだ貴方達の名前を把握していませんので、出来れば自己紹介をお願いできますか?」
「はい! 俺の名前は新堂 健児って言います! 未婚の十七歳であります! 皆……というか親友からはケンって呼ばれてます! 出来ればセルス先生も俺のことをケンとお呼び頂ければ嬉しいであります!」
なんだその気持ち悪い口調は。
「ケンくんですね。分かりました。それで何かありますか?」
「おい見ろよ親友! ケンくんだってよ! うひょー!」
「良かったな。ケンくん」
「……お前からのは全然うれしくねーわ」
「そうかよ。てか、何かあるなら早くしてやれよ。先生困ってんだろ」
「あ、そうだった! えっと……セルス先生は結婚してますか!? もしくはお付き合いしている人がいる……とか」
(なんだよその質問。今する質問じゃねーだろ)
ほら見ろ、クラスの連中が鋭い目つきで睨んでるぞ……ってなんで俺まで睨まれてんの? ……あそうか、同じDTTだからか。なんてチームだ。不名誉極まりない。さっさと抜け出さなければ……。
「していません」
「あなんだ、よかっ――」
「しかし、想っている方は居ます」
「……え」
(ほう、意外な展開だなこれは)
「ですので、変な期待はしないように、ケンくん。さぁ、これ以上何もなければ席に着いて下さい」
「……はい」
「フッ、残念だったな? ケンくん?」
俺は親友に満面の笑みで言ってやった。
「るせぇ! まだだ! まだ俺は諦めねぇ! 畜生!!」
ほんと懲りないやつだな。自分が今まで何回フラレてるのか忘れてるのか? 中学からコイツは変わらない。好きになった子にはすぐ告り、そしてすぐさまフラれる。もう数え切れないほど連敗中である。
それも無理もない。こいつの顔は悪くはない。だが狙う相手が悪い。初対面なのにも関わらず学校のマドンナ的存在の人や、ただヤらせてくれるだろうって理由だけで不良ギャルにさえお構いなしに告っていた。
勿論、ギャルみたいな陽キャに彼氏が居ないなんて訳はなく、告った翌日、その彼氏にボコられていた。しかし、それでもコイツなりに何か可能性を感じたのか、懲りずにギャルをターゲットに絞り、告っては彼氏にボコられる。そんな日々であった。パンパンに腫れた顔で登校してくるコイツは中学でもかなり有名だった。
そんなコイツを俺はもはや尊敬している。なぜなら俺は一度も女子に告ったことなど無いからだ。フラれるのが怖い……すぐ近くで何度もフラれるこいつを見てたら余計に。
そんなことから俺は一度も彼女が居たことが無い。受け身で行こうとしても女は寄って来ない。
(クソッ! 高身長でそこそこ顔も悪くないはずなんだが……)
兄がプレイボーイだったが故に、兄弟である俺も悪くないと思うんだよ……まさかコイツが近くにいるからとか、じゃないよな? いや、何考えてんだ俺は。
コイツののせいにするな。俺はただ恋に臆病なだけだ。尊敬すべき親友のせいにするな俺!
「……そこのあなた」
(でも、もうDTTを抜けるのは無理そうだな。いっそ諦めて魔法使いになるまでこの貞操、守り続けるか)
「ねぇ!」
(空風家の子孫繁栄はプレイボーイの兄貴に任せるとしよう。俺は魔法使いにでもなって兄貴達みたいなリア充を呪う魔法でも――)
「聞いていますか!? そこのあなた!」
「……お、おい。陸、セルス先生がお前をご指名だぞ……」
「え?」
俺なんかしたか? 先生怒らせるような事した覚え無いんだが……。てか、まだ出会ったばかりだし。
「なんですか、先生」
「……あなた名前は?」
「え、俺ですか? えっと……」
俺の名前は説明しやすい。それ故、いつも決まってこう名乗る――。
「雲の上とかの”空”に、風が吹くとかの”風”で空風。んで――」
「リク……ようやく会えましたね」
…………え?
俺まだ下は名乗った覚えないんだが……?
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