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5話
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――夕方のは何だったんだろう――
日も完全に暮れ、すっかり寝静まった暗い道を、冥王星は一人歩いていた。
何をバカなコトしてるのか、と自分に問いかけてくる声もあった。だが、その声に従おうという思いより、夕方の声について知りたい、あの声の教えてくれるだろうことが知りたい、そんな気持ちの方が自分を引き留める声より強かった。
曇り空なため、前もろくに見えないなか、冥王星はただ夕方聞こえてきた声について考えていた。
どこか誘いかけるような声だった。どんな声だったのかわよく思い出せない。だが自分に語りかけていたことは、自分を誘っていたことはよく分かった。
どのくらいをそうしていただろうか、また、夕方の声が聞こえてきた。だが、今度の声は夕方の声よりはっきり聞こえてくる。
その、頭に直接響くような声に誘われ、フラフラと暗闇の中を進み続けた。行き先がどこであるのか、全く意識せず。
冥王星が入っていったのは、神殿の奥の更に奥にある、決して入ってはいけないはずの迷宮だった。
先ほどより更に一段と暗くなったなかを、聞こえてくる声を頼りに進んでいると、いきなり広い場所に出た。先ほどまでのように暗いはずの場所なのに、周りが明るく見える。
5,6歩進んで下を見ると、深く、大きな穴が口を開いていた。縁は切り立っていて、穴と言うより、崖と呼んだ方が正解だろう。
落ちたら怖いだろうな…、などと、意味のないことを考えていた、その時。
「キレイだね」
いきなり後ろから話しかけられた。バランスを崩しそうになったが、どうにか踏みとどまった。自分一人しかいないと思っていたなか、いきなり話しかけられたのだ。
「地球さん、いきなり話しかけるのは月さんだけで十分じゃないですか?」
突拍子な行動を取るのは月だけで十分だ、と伝えると苦笑する声が聞こえてきた。
そのまま、どのくらい静かにしていたのだろうか、すっと、後ろにいた人が動く布ずれの音がした。
「ゴメンね」
と、耳元で囁かれた。
日も完全に暮れ、すっかり寝静まった暗い道を、冥王星は一人歩いていた。
何をバカなコトしてるのか、と自分に問いかけてくる声もあった。だが、その声に従おうという思いより、夕方の声について知りたい、あの声の教えてくれるだろうことが知りたい、そんな気持ちの方が自分を引き留める声より強かった。
曇り空なため、前もろくに見えないなか、冥王星はただ夕方聞こえてきた声について考えていた。
どこか誘いかけるような声だった。どんな声だったのかわよく思い出せない。だが自分に語りかけていたことは、自分を誘っていたことはよく分かった。
どのくらいをそうしていただろうか、また、夕方の声が聞こえてきた。だが、今度の声は夕方の声よりはっきり聞こえてくる。
その、頭に直接響くような声に誘われ、フラフラと暗闇の中を進み続けた。行き先がどこであるのか、全く意識せず。
冥王星が入っていったのは、神殿の奥の更に奥にある、決して入ってはいけないはずの迷宮だった。
先ほどより更に一段と暗くなったなかを、聞こえてくる声を頼りに進んでいると、いきなり広い場所に出た。先ほどまでのように暗いはずの場所なのに、周りが明るく見える。
5,6歩進んで下を見ると、深く、大きな穴が口を開いていた。縁は切り立っていて、穴と言うより、崖と呼んだ方が正解だろう。
落ちたら怖いだろうな…、などと、意味のないことを考えていた、その時。
「キレイだね」
いきなり後ろから話しかけられた。バランスを崩しそうになったが、どうにか踏みとどまった。自分一人しかいないと思っていたなか、いきなり話しかけられたのだ。
「地球さん、いきなり話しかけるのは月さんだけで十分じゃないですか?」
突拍子な行動を取るのは月だけで十分だ、と伝えると苦笑する声が聞こえてきた。
そのまま、どのくらい静かにしていたのだろうか、すっと、後ろにいた人が動く布ずれの音がした。
「ゴメンね」
と、耳元で囁かれた。
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