迷宮の星

リーア

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6話

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「ごめんね」

 耳元で囁かれた言葉に、振り向こうとすると、目が何かに覆われた。足にも不自然な重みがつく。

 相手の手が離れた隙に振り向いたが、目を覆っている何かのために相手が見えない。

「なっ」

 何してるの?と聴こうとしたが、言い終える前に両肩を押された。

 たいした力ではない。たいした力ではなかったのだが、後ろは大きく口を開けている穴、言うならば崖だ。ほんの少しの力でも落ちる。

 耳元で風がヒュウヒュウ鳴るのが聞こえた。
 こんな状況だというのに、このまま落ちるのかな…などと、何故か落ち着いたまま考えられた。

「冥王星!」

 自分を呼ぶ声が聞こえ、その直後、左手首が強く握られ、ガクンッという衝撃とともに落下が止まった。

「大丈夫?」

 と、聴かれた。この状況に大丈夫も大丈夫じゃないもないだろうと考えながら、頷いて無事を知らせると、左手が引っ張り上げられ、壁からつきだした形になっている石に当たった。
 手に当てられている石をつかみ、空いている手でもその石をつかんで、壁に空いていた洞窟のようなものの中へ転がり込んだ。

 頭の周りに巻かれている布のような物に手を伸ばし、どうにかはずそうと四苦八苦してから、この目隠しであるだろう布を外すことは一旦諦め、今度は足に付いている物をはずそうとした。だが、金属の枷が付いているようで、手にどれほど力を入れても外れない。

「もっと気をつけていれば……」
 こうはならなかったのかな……。

 隣にいた、自分を助けてくれた人が、自分に言い聞かせる様にいった言葉に、冥王星はそちらを見た。まあ、周りが一切見えないのは変わらなかったが。

「地球だった。前々から何かしそうだとは思っていたけど……」
 まさかこうなるとは……。

 問いかけるように冥王星に見られていたためか、聞いてないことを教えてくれた。

 地球が冥王星を突き落としたのなら、落ちる前に自分の後ろにいた人はやはり地球だったのだと、納得できた。

 ふと、冥王星はその声がよく知った太陽の物であることに気付いた。ただ、その声にいつもの空元気な様子はない。どこか驚愕しているような、どこか恐怖を感じているかのような、そんな声だった。

 この時、冥王星は太陽を信じ切っていた。何せ先ほど助けられたばかりだ。ただ、そのために地球が一人でいるはずがないことにも、それを月が許すわけがないことも気付かなかった。
 ましてやいま、隣にいる太陽が不自然な甘い香りを漂わせていることのも気付かなかった。
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