迷宮の星

リーア

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7話

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 カチャン、と音を立てて戸を閉めると、月は大人しく窓辺に乗っているハトの方を向いた。先ほどのことでルミナスに聞いた質問の答えを持ってきたようだが、このハトにルミナスが精神を同調シンクロさせている気がして仕方がない。

 すっと手を伸ばし、その足に巻き付いている紙を外すと、ハトはバタバタと音を立てながら月に肩に乗ろうとしてきた。邪魔なので払いのけると、しつこく乗ろうとしてくる。相手をするのもうっとうしいので、勝手にさせることにした。

『月、金、簪、赤色』

 とだけ書いてある短い紙切れを見た後、月は肩に乗っているハトを睨みつけた。こんな意味不明な暗号を持たされて一体どういうつもりだろうか。質問の答えにもなってない。

「これから何かを悟って欲しいのですか?」

 紙切れをのぞき込むハトに言った。紙をのぞき込んでいる辺り、やはりルミナスはこのハトと精神を同調させているのだろう。

 返事はなく――ハトなので当たり前だろうが――ただ黙って自分を見返すハトとしばらくにらめっこし、手の中の紙切れに視線を戻した。

 ふと右頬にかかった髪を耳にかける。普段から左側に垂らしている一房は気にならないのだが、それ以外の髪が顔にかかるとかなり邪魔である。何故いつも垂らしている髪が気にならないのだろうか、と自分でも思う。

「月はそのまま私のことだと思いますが……、金が金星のことでないよう祈りますよ。」

 そう言うと、肩のハトがポウ、と鳴いた。その奥にいるだろうルミナスに馬鹿にされた気がして睨みつけるが、ハトはどこ吹く風で、他所を見ている。

 はあ、とため息をついて紙切れとのにらめっこを続けていると、ふと昼間地球からもらった簪を思い出した。あの簪には金箔が貼られてあり、『金、簪』の部分に当てはまるかもしれない。というか当てはまって欲しい。自分が関わるのはおそらく確実である以上、金星のことであって欲しくない。

 ハトがバタバタと翼を打ち鳴らすので、さっさと追い払おうと庭へ連れて行くと、自分が何かするまでもなく勝手に飛び立っていった。

「な?」

 どこか逃げるようにも見えたハトの様子に驚いていると、ふと声が聞こえてきた。誘うような、優しいが、同時に恐ろしい声に、月は硬直した。声が空から聞こえる気がして見上げても何も無い。

 そのまま、地球と金星の物と思われる声が聞こえるまで月は空を見上げていた。
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