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第1章
6話:ヒーロー登場
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スカベンジャーが高速で動き回るなか、赤色の剛腕はそれを迷いなく捉え、殴った。
殴って、殴って、殴った。四体の骸がバキバキと音を立てて壊れた。
「どう? 僕結構強いかな?」
「糸田くん……アンタ集中しなって!」
コウの言うように油断できるような状態ではなかった。幾ら死霊と戦う手段を手に入れたとは言え、志朗がダフネより強くなった訳ではない。
志朗が振り返ってコウに話し掛けた瞬間、ダフネは彼に近寄るスカベンジャーを倒していた。
「貴様、気を抜くな」
「あっ、ごめん……」
次いでダフネは槍の先端を伸ばし死霊たちを掃討した。三又の刃がそれぞれ別の方向に飛び出しスカベンジャーの頭蓋骨に直撃する。
志朗が一撃一撃全力で繰り出す必要があるのに対し、ダフネは要領よく急所を攻撃した。歴戦の猛者である彼女と、戦う力に目覚めたばかりの志朗とでは、その技に大きな差がある。
――だから、志朗は蹴り付けられた。
「くッ……」
志朗の死角からスカベンジャーが蹴りを放った。背中を蹴られ、その肥大した赤い右腕ごと吹き飛ばされる。
志朗はすぐに起き上がるが、その特徴的な攻撃に驚いた。
「そっか、足四本あるんだもんな……」
このとき志朗は警戒を怠っていた訳ではない。寧ろ一度は蹴りを見切っていた。
しかしスカベンジャーは両手両足が人間の倍も存在する化物、その連撃の多彩なバリエーションは人間を翻弄する。
「糸田!」
「見附くん、大丈夫だ」
ダメージは薄い、まだいける。志朗はそう心で唱えた。心配してくれる仲間たちを思うと、彼は力が沸いたのを感じた。
いや、実際のところ力は依然沸き続けている。志朗は戦いに目覚めたときから、自分の身体が自分のものではないような感覚を覚えていた。
「フッ!」
ぐっ、と足に力を込めて飛び出した。志朗が踏み出した土は、手榴弾でも爆破したかのように弾け、先の戦いでダフネが見せた圧倒的な速度を更に上回る躍動を生み出した。
「なにッ!?」
一行よりも驚いたのはダフネだった。志朗の重く鋭いタックルは、未だ戦う相手を定めていたスカベンジャーへ突き刺さった。
「すっげ……!」
交通事故かと思うほど激しい体当たりに虎太郎は瞠目する。スカベンジャーの一体はこれまでにないほどに原型なく砕けた。
「フン、つくづく日向聡と言う男は……」
聡が志朗に与えたのは身体強化――その攻撃力と防御力は、既に人間が持つ個性と呼べる枠を飛び越えている。
殴れば人類最強、走れば人類最速。極論ではなくそうなる素質が志朗には宿っている。
ダフネは気に入らないと思うも、彼女を含めたいまの一行に志朗の力は大きく寄与していた。
「……強いのがいるね」
志朗は体当たりから立ち上がると、一体の死霊の間合いに入っていた。
彼の発言をダフネ以外は理解できなかったが、志朗はスカベンジャーから漏れ出る魔力から、その力量を見極めていた。
「スカベンジャーは魔力を大きく吸い込んでいる者ほど強くなる。しかし喜べ、アレは先ほど空から飛来した者とは違う。貴様が戦いに目覚めたことで、新しく呼び寄せられたスカベンジャーだ」
「そうなんだ。嬉しいよ」
志朗は全然嬉しくなかったが応じた。
「どうする? あれだけ強い死霊と貴様が戦う必要もない。代わろうか?」
「やるよ。僕はみんなの為に戦う。雑魚のままじゃあいられないからね」
「人間風情が」
殴って、殴って、殴った。四体の骸がバキバキと音を立てて壊れた。
「どう? 僕結構強いかな?」
「糸田くん……アンタ集中しなって!」
コウの言うように油断できるような状態ではなかった。幾ら死霊と戦う手段を手に入れたとは言え、志朗がダフネより強くなった訳ではない。
志朗が振り返ってコウに話し掛けた瞬間、ダフネは彼に近寄るスカベンジャーを倒していた。
「貴様、気を抜くな」
「あっ、ごめん……」
次いでダフネは槍の先端を伸ばし死霊たちを掃討した。三又の刃がそれぞれ別の方向に飛び出しスカベンジャーの頭蓋骨に直撃する。
志朗が一撃一撃全力で繰り出す必要があるのに対し、ダフネは要領よく急所を攻撃した。歴戦の猛者である彼女と、戦う力に目覚めたばかりの志朗とでは、その技に大きな差がある。
――だから、志朗は蹴り付けられた。
「くッ……」
志朗の死角からスカベンジャーが蹴りを放った。背中を蹴られ、その肥大した赤い右腕ごと吹き飛ばされる。
志朗はすぐに起き上がるが、その特徴的な攻撃に驚いた。
「そっか、足四本あるんだもんな……」
このとき志朗は警戒を怠っていた訳ではない。寧ろ一度は蹴りを見切っていた。
しかしスカベンジャーは両手両足が人間の倍も存在する化物、その連撃の多彩なバリエーションは人間を翻弄する。
「糸田!」
「見附くん、大丈夫だ」
ダメージは薄い、まだいける。志朗はそう心で唱えた。心配してくれる仲間たちを思うと、彼は力が沸いたのを感じた。
いや、実際のところ力は依然沸き続けている。志朗は戦いに目覚めたときから、自分の身体が自分のものではないような感覚を覚えていた。
「フッ!」
ぐっ、と足に力を込めて飛び出した。志朗が踏み出した土は、手榴弾でも爆破したかのように弾け、先の戦いでダフネが見せた圧倒的な速度を更に上回る躍動を生み出した。
「なにッ!?」
一行よりも驚いたのはダフネだった。志朗の重く鋭いタックルは、未だ戦う相手を定めていたスカベンジャーへ突き刺さった。
「すっげ……!」
交通事故かと思うほど激しい体当たりに虎太郎は瞠目する。スカベンジャーの一体はこれまでにないほどに原型なく砕けた。
「フン、つくづく日向聡と言う男は……」
聡が志朗に与えたのは身体強化――その攻撃力と防御力は、既に人間が持つ個性と呼べる枠を飛び越えている。
殴れば人類最強、走れば人類最速。極論ではなくそうなる素質が志朗には宿っている。
ダフネは気に入らないと思うも、彼女を含めたいまの一行に志朗の力は大きく寄与していた。
「……強いのがいるね」
志朗は体当たりから立ち上がると、一体の死霊の間合いに入っていた。
彼の発言をダフネ以外は理解できなかったが、志朗はスカベンジャーから漏れ出る魔力から、その力量を見極めていた。
「スカベンジャーは魔力を大きく吸い込んでいる者ほど強くなる。しかし喜べ、アレは先ほど空から飛来した者とは違う。貴様が戦いに目覚めたことで、新しく呼び寄せられたスカベンジャーだ」
「そうなんだ。嬉しいよ」
志朗は全然嬉しくなかったが応じた。
「どうする? あれだけ強い死霊と貴様が戦う必要もない。代わろうか?」
「やるよ。僕はみんなの為に戦う。雑魚のままじゃあいられないからね」
「人間風情が」
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