思わず広めたくなった実話

ソーダ割りロック

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道端のおばあちゃん

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 ある日、あるところに、出不精の若者がおりました。
 彼女は出不精ではありますが、月に一度程度、自分の意志で外に出る日がありました。

 それは、書店に漫画やラノベを買いに行く日でした…!!

 彼女がてくてく歩いてゆくと、通り道の老人ホームらしき場所の庭で、おばあちゃんが草むしりをしていました。

 おばあちゃんが、

「おつかれさま。今日もいい天気だねぇ。」

 とそのように挨拶してくれたのですが、普段からあまり気の利いたことの言えない若者は、心の中でワタワタモタモタ慌てながら、なんとか「こんにちは」を捻り出したそうです。

 おばあちゃんはそんな彼女にもゆったりと「こんにちは」と返しましたが、何しろ頭の中がごちゃごちゃしてまともに考えられない状態だった若者は、そのまま去っていきました。


 書店まで行った帰りに、目当てのものを買ってウキウキしながらも、若者はまたそこを通りかかりました。まだ、あの挨拶をしてくれたおばあちゃんは草むしりを続けていたようです。

 若者は一声掛けてから通るべきかとは思いましたが、どう話しかけていいのか全くわからず、しかし足は確実におばあちゃんの近くまで歩いて行っているのでした。

 しかし、若者の心配はスコンとどこかへ行ってしまいました。

 おばあちゃんがまた、話しかけてくれたのです。

「軍手、草まみれになってしまったわ~」

 といった感じで話しかけて、文字通り草まみれになった軍手を見せてくれたものですから、もう心の中で「ほわ~ほっこりする~、おばあちゃんかわええ…」となりながら、若者は次の言葉を探しています。

「なりますよね~」

 とかなんとか言ってはみるのですが、もっと気の利いた返しができなかったのか~!!と若者はめちゃくちゃ後悔しまくって、なんだかもう恥ずかしくなってそのまま去ってしまいました。

 去ったあとに、あれ、もしかして今の感じ悪かったかも!?とか気づきましたが、ちょっと申し訳ないとか思いつつもおばあちゃんかわいかったなぁ…と思い出してはほっこりするのでした。

 若者は、「また会いたいなぁ。今度はもうちょっと対人耐性というか、気の利いた言葉を送る語彙力を磨けていたらいいなぁ」、と思いながら眠ったそうです。


めでたしめでたし。

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