を崩壊させた元魔法使いだけど、ただの村人になりたいので、放っておいて欲しいんですけど!?

野々うさぎ

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1.プロローグ

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 ーーこれは、魔法使いによる悲劇の話。

「⋯⋯やっと、見つけた。みんな、死ねよ。⋯⋯あの靴は、母様の大切なものなのに」
 
 ある王国に母親譲りの美しい金髪を持つ、サンドリヨンという魔法使いの男がいました。

 彼には、ずっと探している大切なものがありました。海の中、山の中と数々の所を探しましたが、それを見つけることは出来ません。諦めかけて数年が経った、ある日のことでした。
 ついに、彼は見つけてしまったのです。その姿をみた瞬間に、彼の心は地獄の炎のように煮え立つ怒りでいっぱいになりました。

 なぜなら、ずっとずっと探していた彼の母親の大切な靴が、王妃様の足先にあったから。

 盗まれたはずの靴を何故、王妃様が持っているのでしょうか。
 怒り狂った彼は王妃様を殺し、王を殺すと、城に魔法で青い炎を付けました。炎はたちまち燃え広がっていき、国民共々、その国を焼き尽くしてしまったのでした。

 そして、彼自身も、その青い炎に包まれ、灰になり消えて無くなってしまいました。





 ーーそれから、約百年。

 燃えて灰になった俺は輪廻を巡り、再び、この世に生を受けた。

 ただの村人として。

「おっちゃん、いらっしゃい! 今日もビールいっちゃう~?」

 今世の俺の名はリオン。十七歳。男。
 村の酒場でバイトしている、ただの村人A。

 前世では、一つの国を崩壊させた悪い魔法使いだったけど、今は一応、普通の村人として生きてる。
 何故、一応なのって?
 だって、それは前世の記憶バリバリあるし、なんと今世でも魔法が使えちゃうチートな村人だからです。笑。

「ビール一丁~! ツマミは何にする~? 俺の自慢話? それともポリトニーウインナー?」

 でも、俺はもう魔法は使わない。

 前世で、たくさんの人を傷つけすぎた。反省の意味も込めて、今はただ静かに、村人として、そっと生きている。これからもずっと、そのつもりだ。だから、俺は前世で関わりがあった者達とも会わないようしたい。

「お前の自慢話はいらん。どうせ、女の子を偶然助けたら、婚約者になって欲しいの~って、迫られて大変だったとかそういう話だろ?」
「は~、酷いね~。流石の俺も泣くよ?」
「すまんすまん。ポリトニーウインナーにしようかな。リオンの作る料理は美味いからな~」
「あら、ほんと? そう言ってくれると、こっちも作りがいってもんがあるわ」

 料理は好きだ。
 色んなものを掛け合わせて作るってのが、魔法の演算式と似てるから。美味しく出来ると、自分も嬉しいし、お客さんにも喜んでもらえる。人を笑顔にできる、最強の魔法だ。

「そういえば、村に勇者が来てるみたいだぞ。なんか、魔王を倒す為に、仲間を集めてるとか、なんとか」

 最悪。

 そういう奴らって絶対、俺の事知ってそうじゃん。会いたくな~い。

 頭の中で、そんなことを考えていると、おっちゃんが俺の肩を掴んで、豪快に笑いだした。もう、酔っ払ってんな。

「お前のこと、紹介しといたぞ。ハハハッ!」
「は?」
「だから、紹介しといたって。なんか、料理番探してるって言ってたからな~!」

 は~あ~? 何してくれちゃってんの~!?

 叫びたい気持ちを抑えて、俺はカウンターテーブルに頭を打ち付けた。

 勇者の仲間って絶対、魔法使いがいるし、絶対俺の事知ってるよ。逆に同族で俺の事知らない奴がいる方がおかしいわ~。そっとしておいて欲しいんですけど。

「勘弁してよ~!」
 
 カウンターテーブルに伏せていた顔を上げ、俺は叫ぶ。

 俺のただの村人生活プラン、どうなっちゃうのよ~!





 そして、そのことを忘れかけた時に、あれ・・はやって来た。

 俺が森にハーブを取りに行った時のことだった。
 

ドンッッッ!!! ゴォーー!!!

 
 突然、とんでもない爆音がしたのだ。

 なんだなんだと思って、後ろを振り向くと、りんご五個分くらいの火炎球が、とんでもないスピードで周りの木を薙ぎ倒しながら、俺の方に飛んできていた。

 考えてるより先に、俺は唱えていた。

「ファントム・オブ・ビヨンド。弾け、光の盾ヴェール・ライト

 俺の目の前にカーテンのようなヴェールが現れ、間一髪の所で火炎球を受け止めた。ゴムボールのようにぶつかった火炎球は火の粉をあげて地面に飛び散っていった。

「あ、あっぶねー!!」

 突然のことに、流石の俺も肝が冷えた。

 いくら魔法が使えるチートな村人でも、急なことには対応出来かねますけど~!
 無意識だったけど、防御出来て、ほんと良かったわ~。魔法の修行頑張った前世の俺に感謝!!

 久しぶりに大きな魔法を使ったせいか、心臓の音がバクバクと煩いし、冷や汗は出るし、どっと疲れた。

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