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大団円?
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坊っちゃまの視線に合わせるように、マリアさんがスッと坊っちゃまの前に跪く。
「…坊っちゃま。よく泣かずに、頑張りましたね」
とても優しい手つきで、頬をひと撫でするマリアさんに坊っちゃまの目がじんわりと潤んでいく。
「マリア…。ホントのマリアだね。おかえりなしゃい」
最後は、涙声になりながらゆっくりとマリアさんに抱き付いていく坊っちゃま。それを受け止めながら微笑むマリアさんの顔は、まるでお母さんのようだった。
1枚の絵画のような再会のシーンを間近で見ながら思う。
(坊っちゃま、良かった…。マリアさんとまた会えて。やっぱり本物が一番だもん。
………あ、本物、ということは)
本物が戻ってきたら、臨時の偽者はお役御免ってことだ。急に、坊っちゃまがいる所と自分との間が遠くなった気がした。
でも、坊っちゃまはマリアさんと幸せそうに笑っていて、皆も笑顔で。
(まぁこれでいっか。うん、一件落着!)
応急措置でって、リサさんにほっぺの傷に絆創膏を貼ってもらいながら、寂しいって気持ちに無理やり蓋をする。
つまりは、私が来る前の完璧な状態にあのお屋敷は戻るわけだ。坊っちゃまの側には本物のマリアさんがいて、ニセモノのマリアはもう必要ない。
(ならば、ここは潔く退散しましょう!これ以上、天使な坊っちゃまに嘘をつかなくてもいいんだからね)
重たい体をなんとか持ち上げて、くるりと坊っちゃま達に背を向ける。
「まって!」
後ろ髪を引かれる思い…、ではなくリアルにスカートを引っ張られていた。ゆっくり振り向くと私を見上げる坊っちゃまがスカートの裾をきゅっと握っている。
「どこ行くの?マナ…おねえちゃん?いっしょに帰ろ?」
へなへなと膝をついたことで坊っちゃまと目線が合う。
「あの、私…マリアじゃないんですよ?」
「うん、マナってお名前なんでしょ?」
こてんと首をかしげる坊っちゃまの顔が、少し見えづらくなる。
「私、今まで坊っちゃまに嘘…ついてて」
「うん。ごめんなさいは?」
ご、ごめんなさいと反射的に謝ると、にぱっと満面の笑みの坊っちゃま。
「うん!いいよ!ボク許したからお家に帰ろう?」
視界がぼやけてポロポロと涙が落ちていく。
「でも、マリアさんがもういるから…」
「マリア帰ってきたよ!そしてマナおねえちゃんもボクも、アルバートも、皆も!一緒に帰るんだよ。だって、ボクが一緒にいたいんだもん」
だから一緒に帰ろう?と、抱き付いてきた坊っちゃまに、せめて鼻水は付けまいと必死にズビズビすすりながら頷くのが精一杯だった。
「…坊っちゃま。よく泣かずに、頑張りましたね」
とても優しい手つきで、頬をひと撫でするマリアさんに坊っちゃまの目がじんわりと潤んでいく。
「マリア…。ホントのマリアだね。おかえりなしゃい」
最後は、涙声になりながらゆっくりとマリアさんに抱き付いていく坊っちゃま。それを受け止めながら微笑むマリアさんの顔は、まるでお母さんのようだった。
1枚の絵画のような再会のシーンを間近で見ながら思う。
(坊っちゃま、良かった…。マリアさんとまた会えて。やっぱり本物が一番だもん。
………あ、本物、ということは)
本物が戻ってきたら、臨時の偽者はお役御免ってことだ。急に、坊っちゃまがいる所と自分との間が遠くなった気がした。
でも、坊っちゃまはマリアさんと幸せそうに笑っていて、皆も笑顔で。
(まぁこれでいっか。うん、一件落着!)
応急措置でって、リサさんにほっぺの傷に絆創膏を貼ってもらいながら、寂しいって気持ちに無理やり蓋をする。
つまりは、私が来る前の完璧な状態にあのお屋敷は戻るわけだ。坊っちゃまの側には本物のマリアさんがいて、ニセモノのマリアはもう必要ない。
(ならば、ここは潔く退散しましょう!これ以上、天使な坊っちゃまに嘘をつかなくてもいいんだからね)
重たい体をなんとか持ち上げて、くるりと坊っちゃま達に背を向ける。
「まって!」
後ろ髪を引かれる思い…、ではなくリアルにスカートを引っ張られていた。ゆっくり振り向くと私を見上げる坊っちゃまがスカートの裾をきゅっと握っている。
「どこ行くの?マナ…おねえちゃん?いっしょに帰ろ?」
へなへなと膝をついたことで坊っちゃまと目線が合う。
「あの、私…マリアじゃないんですよ?」
「うん、マナってお名前なんでしょ?」
こてんと首をかしげる坊っちゃまの顔が、少し見えづらくなる。
「私、今まで坊っちゃまに嘘…ついてて」
「うん。ごめんなさいは?」
ご、ごめんなさいと反射的に謝ると、にぱっと満面の笑みの坊っちゃま。
「うん!いいよ!ボク許したからお家に帰ろう?」
視界がぼやけてポロポロと涙が落ちていく。
「でも、マリアさんがもういるから…」
「マリア帰ってきたよ!そしてマナおねえちゃんもボクも、アルバートも、皆も!一緒に帰るんだよ。だって、ボクが一緒にいたいんだもん」
だから一緒に帰ろう?と、抱き付いてきた坊っちゃまに、せめて鼻水は付けまいと必死にズビズビすすりながら頷くのが精一杯だった。
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