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VS釈迦
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一回戦をあっさり突破した次郎は対峙している相手(2回戦目)に脂汗を浮かべていた。
鉄色の袈裟に数珠。穢れを感じさせない頭をしており、先程から瞳を閉じ何かを唱えている。仏教にあまり詳しくはないがおそらく念仏かなにかだろう。
そして何よりも1つ、常人では考えられない異能を見せつけていた。
「宙に浮いてる!?」
次郎がその光景に焦燥していると始まりのゴングが鳴った。
しかし、釈迦は動かずまだ唱えている。
次郎が先手を狙い、地を蹴る。神速をもって右拳を出す。いつもの敵ならこれでKOだが、今回はそう都合よくいかなかった。
「まさか手のひらで受け止められるとはな」
接触した瞬間、眉がピクリと動き念仏が止まった。効いているのだろう。一瞬の怯みを次郎は逃さなかった。すかさず右の脚で2撃目を加え、釈迦が吹き飛ぶ。壁が崩れる。
「倒して、ないよな」
舞った砂埃から人影が現れる。袈裟はボロボロになっていた。そして初めて念仏以外の言葉を発した。
「さすがですね、しかし敗けるわけにはいきません」
この戦いの参加者は勝利するためにここにいる。だから自分と同様、釈迦も勝利への執念がある。次郎は力強く首肯した。
釈迦が先程よりも速く念仏を唱える。唖然とする速さで、それはもはや呪文である。
そして、みるみると釈迦のステータスが上がっているのが分かる。
(まずいな。この念仏が仏の能力の一部だ。このまま唱えさせたら敗けてしまう)
思考巡らせている間にも釈迦は念仏を唱えている。ならば行動は1つしかない。
「吹き飛べぇぇぇ」
連撃を見舞う。しかし、全ての動きを読んでいるかのように弾く。しかも瞳は閉じたままだ。
刹那、釈迦の反撃の掌底が心臓に刺さる。
「ぐはっ」
会心の一撃だ。しかし持ちこたえる。
「次郎があそこまで苦戦するなんて」
「大丈夫っスよミレイユ!根拠はないっスけど!」
両足で踏ん張った次郎は宙に跳び踵落としをする。当たらず、地面に罅がはいる。
釈迦が隙をついてきた。それを弾く。
しばらく修羅が続く。そして距離を取ったとき次郎が口を開いた。
「お前、まだなにか隠してるな?」
釈迦が一瞬、呆然としていたが何かを悟ったように微笑んだ。
「あなた、私本来の力を見るがためにわざと喰らいましたね?」
次郎が笑みを浮かべ白状した。
「まぁな。本気で闘いたいしな」
釈迦と闘争しているとき、わざと手を抜いていた。直ぐに終わらせても面白くないから。釈迦はまだ何かを隠している。そう確信したのは釈迦が連撃を弾くとき、明らかに手数が足りないのに次郎の拳を受け流していたからだった。まるで見えない手があるように。
頬をぽりぽりとかくと釈迦は俯いた。
「わかりました。見せてあげましょう。ですが手加減しませんよ」
「あぁ、お互い様だ」
釈迦の本当の力とぶつかり合いたかった。だから、今からが次郎にとっての本当の闘いだ。
念仏を唱える。威圧。空気がざわめく。
身構える。すると、釈迦の本当の力が現れた。変身系 仏 それは神にも等しい力。
黄金色に輝く巨大な仏。無数に伸びた手がそこにあった。
「あれは、千手観音。。。!」
隠していた力がここまでとは想定外だが、それでも。。。
「絶対に勝ってやるぜ」
口角をあげ、拳に力をいれる。本気でいく。空気がざわめく。対峙している神を倒すのは罰当たりかもしれないが今はそんなことを躊躇っている暇はない。
「全身全霊をもって相手しましょう」
千手観音へと変貌した釈迦が重低音な声を発して、千手を次郎目掛けて伸ばす。
地を蹴る。全身の力を全て拳に捧げる。
「いっけぇぇぇぇ」
拳が千手に触れる。一対千の闘い。勝利は明らかなはずだった。だがそれは一瞬で覆った。
拳が千手を粉々に砕き、観音をぶっ飛ばした。一撃必殺。最強に相応しき力。それは神をも凌駕した。
「うぉぉぉぉぉおおお」
歓声が一斉に沸く。そしてゴングの音が響いた。
鉄色の袈裟に数珠。穢れを感じさせない頭をしており、先程から瞳を閉じ何かを唱えている。仏教にあまり詳しくはないがおそらく念仏かなにかだろう。
そして何よりも1つ、常人では考えられない異能を見せつけていた。
「宙に浮いてる!?」
次郎がその光景に焦燥していると始まりのゴングが鳴った。
しかし、釈迦は動かずまだ唱えている。
次郎が先手を狙い、地を蹴る。神速をもって右拳を出す。いつもの敵ならこれでKOだが、今回はそう都合よくいかなかった。
「まさか手のひらで受け止められるとはな」
接触した瞬間、眉がピクリと動き念仏が止まった。効いているのだろう。一瞬の怯みを次郎は逃さなかった。すかさず右の脚で2撃目を加え、釈迦が吹き飛ぶ。壁が崩れる。
「倒して、ないよな」
舞った砂埃から人影が現れる。袈裟はボロボロになっていた。そして初めて念仏以外の言葉を発した。
「さすがですね、しかし敗けるわけにはいきません」
この戦いの参加者は勝利するためにここにいる。だから自分と同様、釈迦も勝利への執念がある。次郎は力強く首肯した。
釈迦が先程よりも速く念仏を唱える。唖然とする速さで、それはもはや呪文である。
そして、みるみると釈迦のステータスが上がっているのが分かる。
(まずいな。この念仏が仏の能力の一部だ。このまま唱えさせたら敗けてしまう)
思考巡らせている間にも釈迦は念仏を唱えている。ならば行動は1つしかない。
「吹き飛べぇぇぇ」
連撃を見舞う。しかし、全ての動きを読んでいるかのように弾く。しかも瞳は閉じたままだ。
刹那、釈迦の反撃の掌底が心臓に刺さる。
「ぐはっ」
会心の一撃だ。しかし持ちこたえる。
「次郎があそこまで苦戦するなんて」
「大丈夫っスよミレイユ!根拠はないっスけど!」
両足で踏ん張った次郎は宙に跳び踵落としをする。当たらず、地面に罅がはいる。
釈迦が隙をついてきた。それを弾く。
しばらく修羅が続く。そして距離を取ったとき次郎が口を開いた。
「お前、まだなにか隠してるな?」
釈迦が一瞬、呆然としていたが何かを悟ったように微笑んだ。
「あなた、私本来の力を見るがためにわざと喰らいましたね?」
次郎が笑みを浮かべ白状した。
「まぁな。本気で闘いたいしな」
釈迦と闘争しているとき、わざと手を抜いていた。直ぐに終わらせても面白くないから。釈迦はまだ何かを隠している。そう確信したのは釈迦が連撃を弾くとき、明らかに手数が足りないのに次郎の拳を受け流していたからだった。まるで見えない手があるように。
頬をぽりぽりとかくと釈迦は俯いた。
「わかりました。見せてあげましょう。ですが手加減しませんよ」
「あぁ、お互い様だ」
釈迦の本当の力とぶつかり合いたかった。だから、今からが次郎にとっての本当の闘いだ。
念仏を唱える。威圧。空気がざわめく。
身構える。すると、釈迦の本当の力が現れた。変身系 仏 それは神にも等しい力。
黄金色に輝く巨大な仏。無数に伸びた手がそこにあった。
「あれは、千手観音。。。!」
隠していた力がここまでとは想定外だが、それでも。。。
「絶対に勝ってやるぜ」
口角をあげ、拳に力をいれる。本気でいく。空気がざわめく。対峙している神を倒すのは罰当たりかもしれないが今はそんなことを躊躇っている暇はない。
「全身全霊をもって相手しましょう」
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地を蹴る。全身の力を全て拳に捧げる。
「いっけぇぇぇぇ」
拳が千手に触れる。一対千の闘い。勝利は明らかなはずだった。だがそれは一瞬で覆った。
拳が千手を粉々に砕き、観音をぶっ飛ばした。一撃必殺。最強に相応しき力。それは神をも凌駕した。
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歓声が一斉に沸く。そしてゴングの音が響いた。
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