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VSグレゴール
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レイヴンの事件のあと次郎たちは優勝を目指しネオン街の闘技場へ足を運んだのであった。
大通りの近くに聳え立つ巨大な闘技場。空まで届くのではないかというぐらいの巨大さだ。次郎たちは闘技場の大きさに呆気にとられていた。
その後、受付を済ませて次郎たちは控え室へ向かった。
「内装は意外と近代的だな」
壁面は石造りと古代的だが、ところどころモニターやベンチがあり、近代的でもあった。
「次郎さん今回の参加者の情報を入手しました。ええっと...」
レイヴンが開いた画面とにらめっこすると一瞬驚きの表情を浮かべだが、その表情は徐々に強ばっていった。その異変に気づいた次郎がレイヴンに声をかける。
「えぇ、はい大丈夫です。ただ...この参加者の能力を見てください」
レイヴンに言われ画面を覗くと次郎もレイヴンのように少し表情を強ばらせて呟いた。
「伝説系 ベルゼブブ」
伝説系能力。かつて偉大な功績を残した者の能力につけられる名誉。ラミレジのメンバー全員が伝説系に登録されているが、伝説系の能力者は只者ではないと次郎は知っていた。
「伝説系とだけしか載っていないから変身系か召喚系かわからんな」
次郎が顎に手を当て俯く。
伝説系ベルゼブブ。今回で一番苦闘しそうだ。
控え室についた次郎たちはモニターを真剣な眼差しで見ていた。
次郎たちが控え室についた頃にはもう大会が始まっていた。少し歩くのが遅すぎたようだ。
「ぐはっ...スパン うわぁぁぁぁぁ」
鋭利な刃物で切られた腕が血飛沫を撒き散らしながら床に転がる。しかし、刃物は手で持つものではなかった。いや、ある意味では手で持っていた。
「向上系 ハンドナイフっスか」
ラムが興味津々に画面を見る。
腕を切り落とされた者は気絶し、同時に観客の歓声が闘技場に響く。
「なかなかグロテスクだったわね」
血の気が引けて青ざめた顔のミレイユが呟いた。ゼノという名前で登録されたその男は勝利しても表情をピクリとも動かさず去っていった。その様子に次郎は少し違和感を覚えた。
「気づいたかレイヴン」
「はい。今の選手の動きのパターンが決まっていました」
思い詰めた表情で見ていると自分の番が回ってきた。
「私たちは観客席で応援しているから」
「勝って賞金ゲットっスよ!次郎!」
ミレイユたちが椅子から立ち上がる。
次郎が首肯すると3人は控え室から出た。
さっきのことが気になったが今は試合に集中するときだと自分に言い聞かせ、頬を叩いた。
観客たちの歓声が響き、砂埃がまっている。そして目の前に直立している大男。
対峙する二人。
「向上系 腕力のグレゴールか」
太い腕にチンピラのような服装。人を蔑むような眼をした巨漢だ。
「お前ごとき俺の一発でおしまいだ」
試合開始のゴングが鳴る。
グレゴールが地を蹴り、次郎に拳を向ける。しかし次郎は動かず佇んでいる。
「嘗めやがって!」
拳が次郎にあたる。グレゴールが勝利を確信して笑みを浮かべる。
「バカめ!気絶してんのか?」
グレゴールが煽る。
しかし勝利の確信は僅しか続かなかった。
グレゴールが拳を退こうとするも離れないまるで誰かに掴まれているように。
拳が勝手に横に動くそして今まで拳で隠れて見えなかった次郎の表情が明確になる。
不敵な笑みが。
「この程度か?散々煽っていたが」
グレゴールの顔面に汗が浮かぶ。
刹那。次郎の回し蹴りがグレゴールの脇腹に当たり、神速をもって壁にぶつかり、砂埃が舞う。
「うぉぉぉぉぉぉ」
歓声が響く。そして、勝利を意味するゴングが響いた。
「一回戦目は突破ね」
「さすが次郎っスね」
このときの次郎たちはこれ以降、苦戦が連続することを思いもしなかった。
次郎が控え室に戻るとミレイユが頬杖をつきながら座っていた。
「お疲れ様。はい、タオル」
「おう、サンキュー」
次郎は差し出してきたタオルで汗を拭いた。
「レイヴンたちはまだ観客席か?」
「うん。相手の情報収集だってさ」
ミレイユがそう言うと扉が勢いよく開いた。この勢いはラムしかいない。
「次郎!次の相手が決まったスよ!」
「お、おう。どんなやつだった?」
その勢いに少し怯んだが情報を問う。
すると、後から穏やかに入ってきたレイヴンが苦渋の色を浮かべながら言った。
「次の相手は
能力 変身系 仏 選手名 釈迦
だそうです。試合の様子から強敵かもしれません」
釈迦と言えば歴史上、仏教を伝えた偉人だ。このプレイヤーのニックネームもおそらくそれからきている。
「大丈夫だ。絶対勝ってみせる」
不安そうなレイヴンの頭を撫でるとレイヴンは頬を赤らめて首肯した。
みんなのためにもここで負けるわけにはいかない。
大通りの近くに聳え立つ巨大な闘技場。空まで届くのではないかというぐらいの巨大さだ。次郎たちは闘技場の大きさに呆気にとられていた。
その後、受付を済ませて次郎たちは控え室へ向かった。
「内装は意外と近代的だな」
壁面は石造りと古代的だが、ところどころモニターやベンチがあり、近代的でもあった。
「次郎さん今回の参加者の情報を入手しました。ええっと...」
レイヴンが開いた画面とにらめっこすると一瞬驚きの表情を浮かべだが、その表情は徐々に強ばっていった。その異変に気づいた次郎がレイヴンに声をかける。
「えぇ、はい大丈夫です。ただ...この参加者の能力を見てください」
レイヴンに言われ画面を覗くと次郎もレイヴンのように少し表情を強ばらせて呟いた。
「伝説系 ベルゼブブ」
伝説系能力。かつて偉大な功績を残した者の能力につけられる名誉。ラミレジのメンバー全員が伝説系に登録されているが、伝説系の能力者は只者ではないと次郎は知っていた。
「伝説系とだけしか載っていないから変身系か召喚系かわからんな」
次郎が顎に手を当て俯く。
伝説系ベルゼブブ。今回で一番苦闘しそうだ。
控え室についた次郎たちはモニターを真剣な眼差しで見ていた。
次郎たちが控え室についた頃にはもう大会が始まっていた。少し歩くのが遅すぎたようだ。
「ぐはっ...スパン うわぁぁぁぁぁ」
鋭利な刃物で切られた腕が血飛沫を撒き散らしながら床に転がる。しかし、刃物は手で持つものではなかった。いや、ある意味では手で持っていた。
「向上系 ハンドナイフっスか」
ラムが興味津々に画面を見る。
腕を切り落とされた者は気絶し、同時に観客の歓声が闘技場に響く。
「なかなかグロテスクだったわね」
血の気が引けて青ざめた顔のミレイユが呟いた。ゼノという名前で登録されたその男は勝利しても表情をピクリとも動かさず去っていった。その様子に次郎は少し違和感を覚えた。
「気づいたかレイヴン」
「はい。今の選手の動きのパターンが決まっていました」
思い詰めた表情で見ていると自分の番が回ってきた。
「私たちは観客席で応援しているから」
「勝って賞金ゲットっスよ!次郎!」
ミレイユたちが椅子から立ち上がる。
次郎が首肯すると3人は控え室から出た。
さっきのことが気になったが今は試合に集中するときだと自分に言い聞かせ、頬を叩いた。
観客たちの歓声が響き、砂埃がまっている。そして目の前に直立している大男。
対峙する二人。
「向上系 腕力のグレゴールか」
太い腕にチンピラのような服装。人を蔑むような眼をした巨漢だ。
「お前ごとき俺の一発でおしまいだ」
試合開始のゴングが鳴る。
グレゴールが地を蹴り、次郎に拳を向ける。しかし次郎は動かず佇んでいる。
「嘗めやがって!」
拳が次郎にあたる。グレゴールが勝利を確信して笑みを浮かべる。
「バカめ!気絶してんのか?」
グレゴールが煽る。
しかし勝利の確信は僅しか続かなかった。
グレゴールが拳を退こうとするも離れないまるで誰かに掴まれているように。
拳が勝手に横に動くそして今まで拳で隠れて見えなかった次郎の表情が明確になる。
不敵な笑みが。
「この程度か?散々煽っていたが」
グレゴールの顔面に汗が浮かぶ。
刹那。次郎の回し蹴りがグレゴールの脇腹に当たり、神速をもって壁にぶつかり、砂埃が舞う。
「うぉぉぉぉぉぉ」
歓声が響く。そして、勝利を意味するゴングが響いた。
「一回戦目は突破ね」
「さすが次郎っスね」
このときの次郎たちはこれ以降、苦戦が連続することを思いもしなかった。
次郎が控え室に戻るとミレイユが頬杖をつきながら座っていた。
「お疲れ様。はい、タオル」
「おう、サンキュー」
次郎は差し出してきたタオルで汗を拭いた。
「レイヴンたちはまだ観客席か?」
「うん。相手の情報収集だってさ」
ミレイユがそう言うと扉が勢いよく開いた。この勢いはラムしかいない。
「次郎!次の相手が決まったスよ!」
「お、おう。どんなやつだった?」
その勢いに少し怯んだが情報を問う。
すると、後から穏やかに入ってきたレイヴンが苦渋の色を浮かべながら言った。
「次の相手は
能力 変身系 仏 選手名 釈迦
だそうです。試合の様子から強敵かもしれません」
釈迦と言えば歴史上、仏教を伝えた偉人だ。このプレイヤーのニックネームもおそらくそれからきている。
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不安そうなレイヴンの頭を撫でるとレイヴンは頬を赤らめて首肯した。
みんなのためにもここで負けるわけにはいかない。
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