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分岐・山ノ内瑛
中学編エピローグ(side瑛父)【続きは高校編へ】
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まさか自分がタワーマンションに住むなんて思っていなかった。ここは30階で、網戸がない。虫も上がってこないから。だから、風景がよく見える。
「お、今日富士山見えるやん」
朝から瑛は楽しそうに言った。
「おお、……ほんまやな」
天気が良くて、ガスが少なければ横浜のこのマンションからも富士山が見えた。
「せやけどラッキーやな、おじさんが海外出向で」
「まぁなぁ」
東京転勤が決まった矢先、大手新聞社で部長をしていた親戚が、しばらくロンドンに行くとのことで、この横浜の家を快く貸してくれたのだ。分譲マンションの一室。
うーん、しかし公務員とはやはり給料が違うんだなぁ、と思わざるを得ない。なにしろこのマンション、地下鉄の駅とデパートに直結している。便利すぎる。いくらするのかは怖くて聞けていない。家賃はほとんどタダ。ありがたやありがたや。
「持つべきは金持ちの親戚やな」
「心の声ダダ漏れやでおとん」
瑛が呆れたように言う。そんな瑛との、二人きりの食卓にも慣れた。
俺はトーストとコーヒーだけやけど、瑛は結構なボリュームの朝食だ。朝からよう入る。
(もうすぐ1年やな)
俺も行く、東京。瑛がそう言ったのは去年、雨がやたらと降ってひどく寒い夏の日だった。
夜遅くに帰宅すると、困惑した顔の妻が食卓で瑛と向かい合っていて、どんなになだめすかしても「俺もおとんに付いていく」の一点張り。
(華さんのことかな)
何かあったのだろうか。しかし聞き出そうとしても、瑛は頑として口を割らなかった。
翌日には学校から推薦の話を持ってきた。特例としての、スポーツ特待生枠での転入。元々練習試合したことがあって、青百合の監督さんに気に入られていたらしい。
「学費もかからんし、おとん一人にしとくよりええやろ」
瑛は必死だった。なんでそこまで、というほどに。
結局俺たちは折れて、瑛と俺の横浜での二人暮らしが始まった。
(結局助かってるんだよなぁ)
炊事洗濯、さすが姉3人に仕込まれただけあって瑛はなんなくこなした。いや申し訳ないので、せめて食洗機と乾燥機付きの洗濯機は買ったけど。
仕事柄、夜遅くなることもあるが、朝食だけは一緒にとるようにしている。朝のニュースのひと場面、弘前城の桜、花筏の情景を見ながら、瑛は「あ」と呟いた。
「そういやな」
「うん」
「華の友達が誘拐されたことあったやん」
「ああ」
去年の12月のことだ。
「あれで捕まった華のクラスのやつ」
「おう」
「ちょっと前に、あの人から手紙もろうてな」
「手紙」
せやねん、と瑛は一枚のカードを見せてくれた。
「結局あれ、なんやったんやろ」
探るような目つきの瑛に、俺は淡々と返す。
「変な事件ではあったよな」
俺は渡されたカードを眺めながらそう言ったけど、実のところ結構詳しい。
横浜地検でこれを担当している検事は修習生時代の同期で、これに関して結構相談を受けたのだ。俺が京都地検時代にカルト宗教(ここまで規模が大きくはなかったけれど)を摘発したことがあったからなんやけど。
(しかし、同物同治ねぇ)
話に聞いたことはあったんやけど、でも他の動物ではあかんかったもんやろか。
同物同治、つまり「悪いところ」と「同じところ」を食べれば治る、という東洋医学的な考え方らしい。肝臓悪ければレバー食べて、目が悪ければ目ん玉……子供の頃、マグロの目玉とか食べさせられてたわ、そういや、と思い出す。
(やからって人間でやらんでもええ)
江戸時代くらいまでは、人間のミイラは漢方薬として売られてたとは聞いたことがあるけども。絶対飲みたくない。
だけれど、あの自称教祖はやろうとしたのだ。自分がもう"大人の女"になっていたから、"少女"の血を飲もうとしていた。
(うーん、理解しがたい)
つうか、できひん。しかも目的が「ハルマゲドンから自分たちを守るために救世主を産もうとしていた」とか、なんとか。
せやから聖母マリアがイエスを産んだ15歳前後の子供らを集めていた、なんて供述してるんやから救いようがない。
(自分をマリアに例えていたらしいし、なぁ)
本物のキリスト教徒が見たら卒倒するやろうなぁ、と思う。怒りで。
俺はもう一度カードを見た。
"ほんとうにごめんなさい"
これの送り主、石宮瑠璃は華さんの友達、鍋島千晶さんに自分が女子中学生連続失踪の犯人だと気づかれた、と思ったらしい。
実際は「ちょっと2人きりで聞きたいことがあるの」と言われただけ、らしいのだが。
(脛に傷があるとなぁ、なんでも怪しく思えるもんやから)
しかも鍋島さんが親友の華さんにも全部話している、と邪推して信者たちに華さんまで攫うように進言していた、というのだから。
その辺が重く見られて、石宮は家裁から逆送となったのだ。
利用されていただけではなくて、自分の意思で罪を犯している、との判断だ。精神鑑定もされたけれど、判断能力ありと結論付けられた。むしろ、少し大人びた部分もあったらしいから驚きだ。
(……ほんまに反省しとるんかいな)
俺は基本的に性善説は信じてない。
というか、犯罪するヤツなんか、98パーセントくらいクズやと思うて生きてる。2パーセントくらいの人は止むに止まれぬ、ってのもあるかもしれんけど、てかあることもあるんやけど、ほんっま大多数はだいたいクズや。反省なんかしとらん。あるんは"捕まったことに対する後悔"や。
「なんかなぁ」
瑛がぽつりと言った。
「捕まる前なんやけど、華と話しててな、そいつ」
「うん」
「笑ったんや」
「笑った?」
やっぱ反省なんかしとらんのか?
俺が眉を軽くひそめたからか、瑛は慌てて言った。
「ちゃうねん、なんていうか……憑き物が落ちた、言うんかな、そんな感じでな」
「憑き物?」
「せやねん」
瑛はうーん、と首を傾げた。
「嫌いになれへん、て華が言うたんや」
「華さんが?」
瑛は頷いて続けた。
「そしたらビックリしてやな、そいつ」
「せやろうなぁ」
「ほんでスッとやな、力が抜けたみたいになってなぁ」
「ほーん」
さすが瑛がベタ惚れしちゃう子なだけあるわ。
「まぁそんだけなんやけど。でも明らかに何かが変わってん。せやからそれ、自分の罪減らしたいからとか、弁護士に言われたからとか、そんなんちゃうと思うで」
「……なるほどな」
そして瑛が俺にこれを渡してきた理由も分かった。
(なるほどなぁ)
俺はこのカードを丁寧にシャツのポケットに入れた。
「ちゃんと担当に話しとくから」
「頼むわ、華が気にしててん。華の友達もな」
俺は肩をすくめた。華さんも鍋島さんも、心が広いというか、なんというか。
「せやけど、他にも被害者おるんやからな」
「それは分かってるけど」
「参考程度やで」
「うん」
「期待はすんなよ」
瑛は神妙に頷いた。まぁ一応、横浜に連絡取るだけは取ってやると約束する。
「ほな先行くわ」
「ん」
瑛は食器を下げながら言う。朝練がある瑛は俺よりよほど早い。
「食洗機のスイッチだけ頼むで」
「おー」
やたらと白いブレザー(しょっちゅう汚れる)を着た瑛がバックパックを背負ってリビングを出て行こうとする。少し違和感があって、すぐにその正体に気づいた。
「背ぇ伸びたな瑛」
「せやろ、175やで、おとん越したやろさすがに」
「アホか、俺もうちょいあるわ」
「ほんまに? ほな縮んだんちゃう」
「んなことないわ」
俺が憮然として言うと「ほな帰ってきたら背ぇ比べよや」と瑛は笑う。妻にそっくりの笑顔。
「ほな行ってきます」
「気ぃつけてな」
すっかり大人に近づいたその背中を見送る。
「さて」
俺はコーヒーを飲みながらふう、と息を吐く。
(華さんは俺についてどう思うやろ)
いま内偵を進めている件。
彼女の大伯父が絡む、とある事件、これが立件されたら。
(まぁ、どうしようもこうしようもないねんけどな)
粛々と起訴に向けて動いていくしかない。
(しかし、長期戦やなー)
あと1、2年は覚悟やなぁ。
俺は立ち上がり、何気なく窓の外を見た。うっすらと富士山を見下ろせる。
高いはずの山が下に見えるんは、地球が丸いせいやったかなぁ、なんて益体も無い事を考えながら出勤準備を始めた。
今日は少し暑くなりそうだ。
「お、今日富士山見えるやん」
朝から瑛は楽しそうに言った。
「おお、……ほんまやな」
天気が良くて、ガスが少なければ横浜のこのマンションからも富士山が見えた。
「せやけどラッキーやな、おじさんが海外出向で」
「まぁなぁ」
東京転勤が決まった矢先、大手新聞社で部長をしていた親戚が、しばらくロンドンに行くとのことで、この横浜の家を快く貸してくれたのだ。分譲マンションの一室。
うーん、しかし公務員とはやはり給料が違うんだなぁ、と思わざるを得ない。なにしろこのマンション、地下鉄の駅とデパートに直結している。便利すぎる。いくらするのかは怖くて聞けていない。家賃はほとんどタダ。ありがたやありがたや。
「持つべきは金持ちの親戚やな」
「心の声ダダ漏れやでおとん」
瑛が呆れたように言う。そんな瑛との、二人きりの食卓にも慣れた。
俺はトーストとコーヒーだけやけど、瑛は結構なボリュームの朝食だ。朝からよう入る。
(もうすぐ1年やな)
俺も行く、東京。瑛がそう言ったのは去年、雨がやたらと降ってひどく寒い夏の日だった。
夜遅くに帰宅すると、困惑した顔の妻が食卓で瑛と向かい合っていて、どんなになだめすかしても「俺もおとんに付いていく」の一点張り。
(華さんのことかな)
何かあったのだろうか。しかし聞き出そうとしても、瑛は頑として口を割らなかった。
翌日には学校から推薦の話を持ってきた。特例としての、スポーツ特待生枠での転入。元々練習試合したことがあって、青百合の監督さんに気に入られていたらしい。
「学費もかからんし、おとん一人にしとくよりええやろ」
瑛は必死だった。なんでそこまで、というほどに。
結局俺たちは折れて、瑛と俺の横浜での二人暮らしが始まった。
(結局助かってるんだよなぁ)
炊事洗濯、さすが姉3人に仕込まれただけあって瑛はなんなくこなした。いや申し訳ないので、せめて食洗機と乾燥機付きの洗濯機は買ったけど。
仕事柄、夜遅くなることもあるが、朝食だけは一緒にとるようにしている。朝のニュースのひと場面、弘前城の桜、花筏の情景を見ながら、瑛は「あ」と呟いた。
「そういやな」
「うん」
「華の友達が誘拐されたことあったやん」
「ああ」
去年の12月のことだ。
「あれで捕まった華のクラスのやつ」
「おう」
「ちょっと前に、あの人から手紙もろうてな」
「手紙」
せやねん、と瑛は一枚のカードを見せてくれた。
「結局あれ、なんやったんやろ」
探るような目つきの瑛に、俺は淡々と返す。
「変な事件ではあったよな」
俺は渡されたカードを眺めながらそう言ったけど、実のところ結構詳しい。
横浜地検でこれを担当している検事は修習生時代の同期で、これに関して結構相談を受けたのだ。俺が京都地検時代にカルト宗教(ここまで規模が大きくはなかったけれど)を摘発したことがあったからなんやけど。
(しかし、同物同治ねぇ)
話に聞いたことはあったんやけど、でも他の動物ではあかんかったもんやろか。
同物同治、つまり「悪いところ」と「同じところ」を食べれば治る、という東洋医学的な考え方らしい。肝臓悪ければレバー食べて、目が悪ければ目ん玉……子供の頃、マグロの目玉とか食べさせられてたわ、そういや、と思い出す。
(やからって人間でやらんでもええ)
江戸時代くらいまでは、人間のミイラは漢方薬として売られてたとは聞いたことがあるけども。絶対飲みたくない。
だけれど、あの自称教祖はやろうとしたのだ。自分がもう"大人の女"になっていたから、"少女"の血を飲もうとしていた。
(うーん、理解しがたい)
つうか、できひん。しかも目的が「ハルマゲドンから自分たちを守るために救世主を産もうとしていた」とか、なんとか。
せやから聖母マリアがイエスを産んだ15歳前後の子供らを集めていた、なんて供述してるんやから救いようがない。
(自分をマリアに例えていたらしいし、なぁ)
本物のキリスト教徒が見たら卒倒するやろうなぁ、と思う。怒りで。
俺はもう一度カードを見た。
"ほんとうにごめんなさい"
これの送り主、石宮瑠璃は華さんの友達、鍋島千晶さんに自分が女子中学生連続失踪の犯人だと気づかれた、と思ったらしい。
実際は「ちょっと2人きりで聞きたいことがあるの」と言われただけ、らしいのだが。
(脛に傷があるとなぁ、なんでも怪しく思えるもんやから)
しかも鍋島さんが親友の華さんにも全部話している、と邪推して信者たちに華さんまで攫うように進言していた、というのだから。
その辺が重く見られて、石宮は家裁から逆送となったのだ。
利用されていただけではなくて、自分の意思で罪を犯している、との判断だ。精神鑑定もされたけれど、判断能力ありと結論付けられた。むしろ、少し大人びた部分もあったらしいから驚きだ。
(……ほんまに反省しとるんかいな)
俺は基本的に性善説は信じてない。
というか、犯罪するヤツなんか、98パーセントくらいクズやと思うて生きてる。2パーセントくらいの人は止むに止まれぬ、ってのもあるかもしれんけど、てかあることもあるんやけど、ほんっま大多数はだいたいクズや。反省なんかしとらん。あるんは"捕まったことに対する後悔"や。
「なんかなぁ」
瑛がぽつりと言った。
「捕まる前なんやけど、華と話しててな、そいつ」
「うん」
「笑ったんや」
「笑った?」
やっぱ反省なんかしとらんのか?
俺が眉を軽くひそめたからか、瑛は慌てて言った。
「ちゃうねん、なんていうか……憑き物が落ちた、言うんかな、そんな感じでな」
「憑き物?」
「せやねん」
瑛はうーん、と首を傾げた。
「嫌いになれへん、て華が言うたんや」
「華さんが?」
瑛は頷いて続けた。
「そしたらビックリしてやな、そいつ」
「せやろうなぁ」
「ほんでスッとやな、力が抜けたみたいになってなぁ」
「ほーん」
さすが瑛がベタ惚れしちゃう子なだけあるわ。
「まぁそんだけなんやけど。でも明らかに何かが変わってん。せやからそれ、自分の罪減らしたいからとか、弁護士に言われたからとか、そんなんちゃうと思うで」
「……なるほどな」
そして瑛が俺にこれを渡してきた理由も分かった。
(なるほどなぁ)
俺はこのカードを丁寧にシャツのポケットに入れた。
「ちゃんと担当に話しとくから」
「頼むわ、華が気にしててん。華の友達もな」
俺は肩をすくめた。華さんも鍋島さんも、心が広いというか、なんというか。
「せやけど、他にも被害者おるんやからな」
「それは分かってるけど」
「参考程度やで」
「うん」
「期待はすんなよ」
瑛は神妙に頷いた。まぁ一応、横浜に連絡取るだけは取ってやると約束する。
「ほな先行くわ」
「ん」
瑛は食器を下げながら言う。朝練がある瑛は俺よりよほど早い。
「食洗機のスイッチだけ頼むで」
「おー」
やたらと白いブレザー(しょっちゅう汚れる)を着た瑛がバックパックを背負ってリビングを出て行こうとする。少し違和感があって、すぐにその正体に気づいた。
「背ぇ伸びたな瑛」
「せやろ、175やで、おとん越したやろさすがに」
「アホか、俺もうちょいあるわ」
「ほんまに? ほな縮んだんちゃう」
「んなことないわ」
俺が憮然として言うと「ほな帰ってきたら背ぇ比べよや」と瑛は笑う。妻にそっくりの笑顔。
「ほな行ってきます」
「気ぃつけてな」
すっかり大人に近づいたその背中を見送る。
「さて」
俺はコーヒーを飲みながらふう、と息を吐く。
(華さんは俺についてどう思うやろ)
いま内偵を進めている件。
彼女の大伯父が絡む、とある事件、これが立件されたら。
(まぁ、どうしようもこうしようもないねんけどな)
粛々と起訴に向けて動いていくしかない。
(しかし、長期戦やなー)
あと1、2年は覚悟やなぁ。
俺は立ち上がり、何気なく窓の外を見た。うっすらと富士山を見下ろせる。
高いはずの山が下に見えるんは、地球が丸いせいやったかなぁ、なんて益体も無い事を考えながら出勤準備を始めた。
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