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前世の記憶が戻って、一番嬉しかったのは「文字」だ。
(習わないものなぁ)
この国は「中華ファンタジー」の世界だからか、漢字文化圏。
だけれど、伝統的に女性は文字を読まない。
今までは、それが「普通」だったから特に不自由はなかった。
けれど、スラスラ文字を読めていた前世からすれば、現世は少し不自由だ。
(貴族階級でも、女性は文字なんか習わない)
手紙や文書だって、周りに読ませる。
ふ、と目を細めた。それって、なんか、なんだかなぁ。
(女性とか子供は蔑ろ、とまでは言わないにしろ)
なんていうか「男中心」の世界ではあるよなぁ……。
(違うか)
少し、思い直す。「弱い人」が抵抗できない世界、かもなぁ。
ところで、「前世の日本」で使っていた漢字とこの国、苒の漢字は少し違う。少しっていうか、だいぶ違う。
違うけれど、まあ数字くらいは読める。
「なんだろう、これ」
朝餉のあと、のんびり後宮内を散歩していると、廊下に一枚、紙が落ちていることに気がつく。
「……数字?」
小さな紙に、十までの数字が縦に書かれていた。
「あっ娘子」
小走りでこちらに向かってきた宮女さんが、私にさっと礼をろう……として、盛大にこけた。べちぃん! と木の廊下に顔面をぶつける音までする。い、痛そう!
「わぁっ、だ、大丈夫!?」
「う、うう、申し訳ございません、お見苦しいところをっ」
私は慌てて座って、彼女に手を伸ばす。
「怪我は?」
「じ、嫦娥様、なんとお優しい」
じいんとした顔をされるけれど、いや目の前であんなこけ方されたら誰だって心配すると思いますよ……。鼻、折れてないかな。
「何か急いでいるの?」
立ち上がるのを手伝いながら、私は聞いた。
「急いでいる、というか、わたくし、落とし物を」
「落とし物? もしかして、これ?」
ぴらりと紙を差し出すと、宮女さんは嬉し気に頭を下げる。
「これです! 娘子が拾って下さったのですか? ありがとうございます」
「ううん。……ねえ、これ何に使うの?」
数字が書いてあるけれど、と聞いてみる。
「ああ、これはですね……と、娘子は文字がお読みになれるのですね」
「うん」
少しだけね、と言いながら紙を返す。宮女さんは微笑んだ。
「さすがでございます。いままで誰もお側に寄せられなかった皇上がお認めになられた女性」
「いやうん多分何か違うんだけど」
いいように誤解されちゃってるなぁ……。
「あなたは、ええと。皇太后様のお付きの方かな?」
皇上のまわりでも、私の周りでも見たことがない。
「はい」
宮女さんはぺこりと頭を下げてくれた。
「皇太后様がこちらへ戻られることとなり、新たに召し上げられました宮女にございます」
李香桐と申します、と彼女は笑った。
「香桐さん」
「そ、そんな娘子。敬称など! 呼び捨てで……」
「だって香桐さん、少し年上みたいだし」
「いえですけれど」
なんだか押し問答みたいになったけれど、その後少し話して、どうやらこの紙はあのワンコちゃんたちを数えるのに必要なものらしかった。
「毎朝これで獅子狗さまをお数え申し上げるのです」
「し、獅子狗さま」
うーん、さすが宮廷犬。
「とはいえ、わたくしも新参者でよく分からないのですが」
そう言って香桐さんは「簡単! 獅子狗さまの数え方」を教えてくれた。
「獅子狗さまはほんとうに沢山いらっしゃいますので、毎朝全員がお揃いかを確認させていただいているのです」
「うん」
まぁそうしないと、あの群の把握は無理だろうなぁ。わちゃわちゃしてるし。
「ところが、獅子狗さまはお数えしようと思っても大変わがま……気ままでらっしゃいますので」
いま本音出ましたね。
「げふん。ですので、お並びいただいてお数えするというのは到底無理でございます」
「うん」
「ですので、朝のお散歩後、わたくしたち宮女が数人がかりで、とにかく目についた獅子狗さまをお数えし、この紙にある数字に丸をつけます」
「ふむふむ。……あ、じゃあ香桐さんも数字は読めるのね」
その言葉に、香桐さんは苦笑いして頷く。
「なんとなく、程度なのですが。最近教えていただきました」
「でも、読めると少し嬉しいよね?」
「ふふ、そうなのです。それに関しては獅子狗さま、様々なのです」
ふふ、と笑いかえす。香桐さんは続きを説明してくれる。
「そうして、お数えした獅子狗さまは別室にお運びし、そちらで遊んでいただくのです」
そしてその間に紙の数字を合計する、というのが獅子狗さまの数え方、らしい。
「偉そうにお話ししましたが、わたくし、今日が初めての獅子狗さま数えなのです」
「あ、そうなんだ」
「といっても、他の方がお数えになった獅子狗さまの数を、皇太后宮までお伝えに行くだけなのです」
皇帝の私的空間である内廷は、いくつかの建物でできている(らしい)。
そのうちのひとつが、皇太后様が居住される「皇太后宮」。
私が居室を与えられているのが永和宮。
皇太后様はこちらにも居室があって(こちらの方が庭で散歩させやすい、とのこと)獅子狗ちゃんたちの朝のお散歩は、こちらでさせているらしい。
「このお伝えに参りますのも、本来別の宮女の仕事だったのですが、体調不良で下がっておりまして」
咳がひどく、ほとんど喋れない状態だったのです、と香桐さんは言った。
「え、大丈夫なの?」
「あ、わたくしですか。大丈夫です、粗忽者ではございますが、いちおうその者からは数が書かれた紙を預かっておりますれば」
ひらりと取り出されたそれには「一百一」の文字。
「……101? あ、ええと、ごめんなさい、そうじゃなくて」
変な言い方だったかな?
「その、風邪ひいてる宮女さん? いま居室にひとりなの?」
「わ、恐れ入ります娘子。娘子から心配していただくなど……! 本人にも伝えておきます。熱もなにもないのです、単に咳だけで」
「そうなの? 無理しないように伝えてね」
季節の変わり目だからなぁ。風邪も引くよね。
「お気遣いいたみいりましてでございます……!」
やたらと感動されてしまった。なんかむず痒くてぽりぽりと頬をかくーーと、ほんの少しのヘコミに指が触れた。
(なんでだろう、完全に皇后候補扱いされつつあるよなぁ。顔に傷だってあるのになぁ)
司馬様に斬られた顔の傷。深くはなかったけれど、少しだけ痕が残ってしまった。
(ま、気にしない気にしない)
私はそう言い聞かせながら、朝の散歩の続きを始めた。
(習わないものなぁ)
この国は「中華ファンタジー」の世界だからか、漢字文化圏。
だけれど、伝統的に女性は文字を読まない。
今までは、それが「普通」だったから特に不自由はなかった。
けれど、スラスラ文字を読めていた前世からすれば、現世は少し不自由だ。
(貴族階級でも、女性は文字なんか習わない)
手紙や文書だって、周りに読ませる。
ふ、と目を細めた。それって、なんか、なんだかなぁ。
(女性とか子供は蔑ろ、とまでは言わないにしろ)
なんていうか「男中心」の世界ではあるよなぁ……。
(違うか)
少し、思い直す。「弱い人」が抵抗できない世界、かもなぁ。
ところで、「前世の日本」で使っていた漢字とこの国、苒の漢字は少し違う。少しっていうか、だいぶ違う。
違うけれど、まあ数字くらいは読める。
「なんだろう、これ」
朝餉のあと、のんびり後宮内を散歩していると、廊下に一枚、紙が落ちていることに気がつく。
「……数字?」
小さな紙に、十までの数字が縦に書かれていた。
「あっ娘子」
小走りでこちらに向かってきた宮女さんが、私にさっと礼をろう……として、盛大にこけた。べちぃん! と木の廊下に顔面をぶつける音までする。い、痛そう!
「わぁっ、だ、大丈夫!?」
「う、うう、申し訳ございません、お見苦しいところをっ」
私は慌てて座って、彼女に手を伸ばす。
「怪我は?」
「じ、嫦娥様、なんとお優しい」
じいんとした顔をされるけれど、いや目の前であんなこけ方されたら誰だって心配すると思いますよ……。鼻、折れてないかな。
「何か急いでいるの?」
立ち上がるのを手伝いながら、私は聞いた。
「急いでいる、というか、わたくし、落とし物を」
「落とし物? もしかして、これ?」
ぴらりと紙を差し出すと、宮女さんは嬉し気に頭を下げる。
「これです! 娘子が拾って下さったのですか? ありがとうございます」
「ううん。……ねえ、これ何に使うの?」
数字が書いてあるけれど、と聞いてみる。
「ああ、これはですね……と、娘子は文字がお読みになれるのですね」
「うん」
少しだけね、と言いながら紙を返す。宮女さんは微笑んだ。
「さすがでございます。いままで誰もお側に寄せられなかった皇上がお認めになられた女性」
「いやうん多分何か違うんだけど」
いいように誤解されちゃってるなぁ……。
「あなたは、ええと。皇太后様のお付きの方かな?」
皇上のまわりでも、私の周りでも見たことがない。
「はい」
宮女さんはぺこりと頭を下げてくれた。
「皇太后様がこちらへ戻られることとなり、新たに召し上げられました宮女にございます」
李香桐と申します、と彼女は笑った。
「香桐さん」
「そ、そんな娘子。敬称など! 呼び捨てで……」
「だって香桐さん、少し年上みたいだし」
「いえですけれど」
なんだか押し問答みたいになったけれど、その後少し話して、どうやらこの紙はあのワンコちゃんたちを数えるのに必要なものらしかった。
「毎朝これで獅子狗さまをお数え申し上げるのです」
「し、獅子狗さま」
うーん、さすが宮廷犬。
「とはいえ、わたくしも新参者でよく分からないのですが」
そう言って香桐さんは「簡単! 獅子狗さまの数え方」を教えてくれた。
「獅子狗さまはほんとうに沢山いらっしゃいますので、毎朝全員がお揃いかを確認させていただいているのです」
「うん」
まぁそうしないと、あの群の把握は無理だろうなぁ。わちゃわちゃしてるし。
「ところが、獅子狗さまはお数えしようと思っても大変わがま……気ままでらっしゃいますので」
いま本音出ましたね。
「げふん。ですので、お並びいただいてお数えするというのは到底無理でございます」
「うん」
「ですので、朝のお散歩後、わたくしたち宮女が数人がかりで、とにかく目についた獅子狗さまをお数えし、この紙にある数字に丸をつけます」
「ふむふむ。……あ、じゃあ香桐さんも数字は読めるのね」
その言葉に、香桐さんは苦笑いして頷く。
「なんとなく、程度なのですが。最近教えていただきました」
「でも、読めると少し嬉しいよね?」
「ふふ、そうなのです。それに関しては獅子狗さま、様々なのです」
ふふ、と笑いかえす。香桐さんは続きを説明してくれる。
「そうして、お数えした獅子狗さまは別室にお運びし、そちらで遊んでいただくのです」
そしてその間に紙の数字を合計する、というのが獅子狗さまの数え方、らしい。
「偉そうにお話ししましたが、わたくし、今日が初めての獅子狗さま数えなのです」
「あ、そうなんだ」
「といっても、他の方がお数えになった獅子狗さまの数を、皇太后宮までお伝えに行くだけなのです」
皇帝の私的空間である内廷は、いくつかの建物でできている(らしい)。
そのうちのひとつが、皇太后様が居住される「皇太后宮」。
私が居室を与えられているのが永和宮。
皇太后様はこちらにも居室があって(こちらの方が庭で散歩させやすい、とのこと)獅子狗ちゃんたちの朝のお散歩は、こちらでさせているらしい。
「このお伝えに参りますのも、本来別の宮女の仕事だったのですが、体調不良で下がっておりまして」
咳がひどく、ほとんど喋れない状態だったのです、と香桐さんは言った。
「え、大丈夫なの?」
「あ、わたくしですか。大丈夫です、粗忽者ではございますが、いちおうその者からは数が書かれた紙を預かっておりますれば」
ひらりと取り出されたそれには「一百一」の文字。
「……101? あ、ええと、ごめんなさい、そうじゃなくて」
変な言い方だったかな?
「その、風邪ひいてる宮女さん? いま居室にひとりなの?」
「わ、恐れ入ります娘子。娘子から心配していただくなど……! 本人にも伝えておきます。熱もなにもないのです、単に咳だけで」
「そうなの? 無理しないように伝えてね」
季節の変わり目だからなぁ。風邪も引くよね。
「お気遣いいたみいりましてでございます……!」
やたらと感動されてしまった。なんかむず痒くてぽりぽりと頬をかくーーと、ほんの少しのヘコミに指が触れた。
(なんでだろう、完全に皇后候補扱いされつつあるよなぁ。顔に傷だってあるのになぁ)
司馬様に斬られた顔の傷。深くはなかったけれど、少しだけ痕が残ってしまった。
(ま、気にしない気にしない)
私はそう言い聞かせながら、朝の散歩の続きを始めた。
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