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初デート!?
しおりを挟む「寺沢さんのことが好きなんだ、付き合ってください。」
晴天の霹靂だった。
こんな私が彼の恋人になれるなんて思っていなかった。
「私も、芹沢くんのことが好きです・・・。」
か細い声でこう伝えるのが精一杯。
でも、「嬉しいよ!」まぶしい笑顔で芹沢くんは私の手を握る。
これが私、寺沢みこの春の始まりだった。
「みこ、一緒に帰ろう!」
元気な声が教室に響く。
振り向くと彼氏、芹沢奏がにこにこと走って来た。
付き合ったことをきっかけに私たちはお互いのことを名前で呼ぶようになっていた。
しかし、教室での急な「みこ」呼びに私はドギマギしてしまう。
「いいけど、ちょっと声が大きいよ・・・。」
私は思わず顔を伏せる。
まだ教室にはパラパラとクラスメイトが残っていた。
奏の声は大きいからちょっとした注目を浴びる。
「ごめん、びっくりした?」
奏は真っ赤になる私の顔を心配そうに見る。
サラサラした前髪から覗く瞳は、相変わらず一点の曇りもない。
「だっ大丈夫。帰ろう。」
私は通学鞄を持って奏を見る。
すると、奏はニコニコと「じゃあ、行こうか。」と歩き出した。
私は奏の横に並ぶ。
二人で少しざわつく教室を後にした。
すると、教室の方から「え、あの二人付き合ってんの?」
「まさかー、芹沢くん優しいしたまたまじゃない?」とひそひそ声が聞こえた。
「だよね、似合わないし。」
私はきゅっと唇を噛む。
わかってるよ、そんなこと。
言われなくてもわかってる。
奏は明るいし誰にでも分け隔てない人気者だ。
一方私は地味で目立たない日陰者。
釣り合わないよ。
私はだんだん自分が情けなくなってきた。
目に涙がたまる。泣きたくない。
それを知ってか知らずか奏は私の手を握ってきた。
「みこ、大丈夫だよ。」
奏は柔らかい笑みを浮かべてさらにぎゅっと私の手を握る。
「みこは俺を信じてくれればいいよ。」
どうやらさっきの声は奏にも聞こえていたようだ。
さらに私は申し訳なくなる。
こんなに優しい奏がどうして告白してくれたのか、付き合って3ヶ月になるけど私はよく知らない。
校舎を出ると、もう空がオレンジ色に染まっていた。
少しの間、私たちは無言で駅に向かっていた。
靴音だけが響いている。
「・・・ごめん。」
いたたまれなくなった私は、蚊の鳴くような声
で奏に謝る。
うつむく私を見て、「そうだ、明日休みだから俺と付き合ってくれない?」
奏は底抜けに明るい声で、歩きながら私に提案する。
「え?付き合うって何を?」
私は唐突な申し出になんとも間抜けな返答をしてしまった。
「俺とみこの大事なことをお願いしに行くんだ。」
私の頭に?マークが浮かんだ。
奏の発言はいつもつかみにくい。
「神社に行こう。俺たち受験だからね。」
私はそれを聞いて、奏の発言が腑に落ちた。
私たちはこの春に受験を控えている高校三年生
だ。
私は家の隣の市にある調理の専門学校に進路を決めている。
どうやら奏は合格祈願に行こうとしているみたいだ。
「いいよ、一緒に行こう。」
私は精一杯の笑顔を見せる。
いつでも暗い顔をして奏に気をつかわせてはいけない。
「じゃあまた土曜日に。みこと一緒に行くの楽しみにしてる。」
奏は安心したようにニコッと笑うとみこの手を離す。
もう目的地の駅が見える。
いざ奏の手が離れてしまうとなんだかなごりおしい。
「俺とみこの初デートだね。」
さらっと奏はそう言うと、みこに手を振って駅に消えていった。
初デートという言葉に私はしばらくその場所を動くことができなかった。
「初デート・・・。」
どんどん顔に熱が集まるのを感じる。きっと今、私の顔は真っ赤だろう。
土曜日に奏とデート、さっきまで沈んでいたのが嘘のように私は口元がほころぶのがわかった。
でも、この時の私はまだ知らなかった。初デートがきっかけで、奏があんなことになるなんて。
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