恋敵はアマテラス!?神様に彼氏を奪われました

吉野昇

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合格祈願

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私たちは神社の鳥居の前で待ち合わせることにした。

私は終始ドキドキしっぱなしで時間の感覚が狂ったのか、待ち合わせよりかなり早めに着いてしまった。

「どうしようかな・・・。」
私は辺りを見回す。

すると、入り口に今流行りのかわいらしいお守りを売っているのを見つけた。

「奏にあげれば喜ぶかな・・・。」

私はお守りを手に取って見つめる。

家内安全に無病息災・・・どれも受験と関係のないものばかりだ。

私は売場を一回りする。

すると、「必勝」と書かれたお守りが目に入った。

「必勝・・・。」

なんか響きが受験っぽい。

必ず、勝つかあ。

見た目も真っ赤できれいな刺繍が施してある。

私はそれを二つ手に取った。

シャランとお守りから鈴の音が鳴る。

「喜んでくれるといいな・・・。」



その後しばらくして、奏が鳥居の前に到着した。

「みこ、ごめん。待った?」

奏は慌てた様子だ。

遅刻したと思ったらしい。

息が切れている。

「大丈夫、全然待ってないよ。」

私は笑う。

しかし奏を目の前にすると、急に初デートという事実を意識してしまう。

なんだか頬が熱くなってきた。

私はさっき買ったお守りを手の中できゅっと握る。

「あの・・・ここでお守り買ったの。」

私は売場を指差す。

心臓がドキドキする。

息が続かないかも。

「良ければ奏にも・・・。」

やっとのことでそこまで言えた。

私はお守りをスッと奏の前に差し出す。

またシャランと鈴の音が鳴った。

「わあ、きれいなお守りだね!」

奏は無邪気にお守りを手に取る。

「必勝かー、必ず勝つってなんだか縁起がいいね!」

そう言って私の手を握る。

こんな人が多いところで、大胆すぎる。

「ありがとう!」

澄んだ笑顔で奏はお守りをポケットにしまった。

それを見て、私は安心する。

どうやら気に入ってもらえたみたい。

「良かった。」

小さくそう呟くと、奏はニコッと笑った。

「もっと縁起のいいところに行こう。」

「うん、行こうかな。」



私たちは赤い鳥居をくぐり抜けた。

すると、いかにも神様が宿っていますよという風情の大木がある。

周りに巻かれたしめ縄が印象的だ。

「わあ、すごいね。綺麗。」

私は思わず大木に見とれてしまう。

「ここで合格祈願するの?」

奏に尋ねると、「うん、そうだよ。」とニコニコと私に説明してくれる。

「ここの神様は結構オールマイティーなんだって。だから合格祈願もいけると思って。」

なんだか大雑把だけど、奏が言うなら本当なんだろうな。

「諸願成就っていうことだよ。」

諸願成就は神様に願った物事が叶うことらしい。

それなら確かに合格祈願もいけそうだ。



私たちは大木を背にして参拝へ向かう。

そこは参拝客で賑わっていた。

どこを見ても人の海だ。

私はなんだか気後れしてしまう。

「みこ、手を繋いで。」

奏はそう言うと私の手をぎゅっと握る。

私はその安心感で奏の手をそっと握り返す。

温かい。



私たちは参拝の列へ並んだ。

「奏は何をお願いするの?」

私はふと、奏が何をお願いするのか気になり始める。

奏が誘ってきた合格祈願だ。

何か理由があるのかな?

「うーん、内緒。ここで言っちゃうとお願いにならないでしょ?」

奏はそう言うと人差し指を口に当てた。

「でも願い事は前から決まってるんだ。」

奏は力を込めて私の手を握り直した。

いつもよりも真剣な目で私のことを見る。

「みこも決まってる?」

「うん、そうだね。」私はうなずく。

そんなことを話していると、参拝の順番が近づいてきた。

しばらくすると、私たちの番になった。

作法にのっとって手を合わせる。



-2人とも合格しますように-



私は心の中で呟く。

すると、境内の空気がリン、と張り詰めた気がした。

「なんと美しい人間であろう。」

聞きなれない声が頭の中で響く。

私はハッと顔を上げ、辺りを見回す。

隣では奏が手を合わせているのが見えた。

なにこの声・・・。

奏には聞こえてないの?

私は急に不安になる。

「気に入った、我が世界に連れ帰ろうぞ。」



そう聞こえた瞬間に、音が消える。



景色が暗転し、私は思わずしゃがみこんで目を閉じた。




しばらくして私は恐る恐る目を開ける。


「なにこれ・・・。」

足元には金色の光が波打つのが見えた。

こんなのあり得ない、ここはなに?



さっきまで境内にいたのに。



私は混乱して、顔を上げ立ち上がる。

そこでハッと奏の姿がないことに気付く。

すると、「お前まで呼んでしまったか、人間よ。」とさっきの声が頭上から鳴り響いた。

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